コラム:OSOREZONE ANNEX by 映画.comホラー映画部 - 第4回

2019年9月13日更新

OSOREZONE ANNEX by 映画.comホラー映画部

「怪談王2019」OSOREZONE独占配信記念!日本最大級の怪談イベント舞台裏に潜入!

最恐の怪談師を決定する「怪談王2019」決勝大会の模様を、ホラー作品に特化した動画配信サービス「OSOREZONE」が独占配信! 今回は、「怪談王」ってどんなイベント?というところから、名勝負に次ぐ名勝負で怪談ファンが熱狂した決勝大会の舞台裏までたっぷりとご紹介します。

「怪談王」の座をかけたガチの怪談バトル
「怪談王」の座をかけたガチの怪談バトル

「怪談王」は、怪談だけでなく、都市伝説・UFO・オカルトと幅広い守備範囲を誇る作家の山口敏太郎氏のプロデュースで2016年に始まったイベントです。今回で第5回を迎え、今年は8月24日に愛知・名古屋の東建ホール・丸の内で決勝大会が開催されました。全国6地区の予選大会を勝ち上がった怪談師や芸人7人と、怪談王2018優勝者の「怪談和尚」こと三木大雲さんの合計8人の出場者が、令和初の「怪談王」を目指し、トーナメント形式でぶつかり合いました。

突然ですが、皆さんが一番怖いものって何ですか? 幽霊? 災害? それとも……? 「怖さ」って人それぞれですよね。なのに、どのように「最恐」を決めるのでしょう?

「怪談王」では、構成力(10点)、パフォーマンス(10点)、間合い(10点)、声色(10点)、雰囲気(10点)、リアリティ(25点)、怖さ(25点)の7項目(合計100点)を審査します。重要視されるのは、リアリティと怖さ、そして表現力です。決勝大会は、審査員4人の総計400点で集計し、合計得点が多い方が勝者となります。

審査員の野水伊織さん、河野一二三さん、小中千昭さん、小松史生子さん(左から)
審査員の野水伊織さん、河野一二三さん、小中千昭さん、小松史生子さん(左から)

さらに、「実話のみ」「制限時間10分」というのもポイント。10分を超えると1分ごとに10点減点されてしまいます。前年チャンピオンの三木住職に聞くと、日頃から僧侶として全国を巡り「怪談説法」を説いていますが、「怪談王」ルールでは「お説法の部分はどうしても削らないといけない」そう。ちなみに、賞レース引退となる本大会では、「私はこれが言いたかったんだなと、観客の皆さんにくみ取ってもらえるような怪談ができればいいな」と語っていました。

本番前。リハーサルを終えた出場者たちが集まる控室は、戦意むき出しのピリピリムード、かと思いきや和気あいあいとおしゃべりが弾んでいます。山口プロデューサーも「みんな今年はリラックスしているなあ」と意外そうな表情。第1回戦の注目カードをうかがうと、「志月かなでと竹内義和、早瀬康弘と三木大雲のジェネレーション対決」とのこと。果たして若手による下克上、あるんでしょうか?

控室で談笑する山口プロデューサー、志月かなでさん、渋谷泰志さん(左から)
控室で談笑する山口プロデューサー、志月かなでさん、渋谷泰志さん(左から)

午後2時。開場とともに、428人を収容するホールはみるみるうちに全国から集まった怪談ファンで埋め尽くされて満員御礼。静かな興奮で満たされ、ついに幕が上がります!

頂上決戦の火ぶたを切ったのは、関東大会の優勝者、大赤見展彦さんと、関西大会優勝の渡辺裕薫さんの芸人対決。初っ端からハイレベルです。最初の波乱は、第1回戦第2試合。北海道・東北大会の優勝者で怪談インターネット投票により決勝大会の出場権を手に入れたオカルト研究家の由乃夢朗さんが、関西代表のベテラン盗聴バスターの渋谷泰志さんを破りました。命がけの怪談(そのヤバさはOSOREZONEで!)をぶつけた甲斐がありました!

続く第3試合では、本大会で「怪談王」卒業を表明していた志月かなでさんが、“怪談修行”を終えて2年ぶりに復活を遂げた作家・竹内義和さんに敗退。笑顔のハグで「怪談王」の舞台を去りました。そして第4試合は、ヒトコワ系怪談で異彩を放つ放送作家コンビ「都市ボーイズ」の早瀬康広さんを、三木住職が本大会最高得点の333点をたたき出して阻止。いや~、1回戦から激戦。観客席はしーんと静まり返っているのですが、内に秘めた熱気が場内いっぱいに膨れ上がっていました。

三木住職の得点に、対戦した早瀬さんもこの表情!
三木住職の得点に、対戦した早瀬さんもこの表情!

休憩時間の控室。奇しくも全滅してしまった先手の関東勢は、「通夜よりも暗い」どんよりさ。「続きは準決勝で」作戦を仕掛けた大赤見さんは、「もう二度とこの話はしません!」と悔しそう。その横で、大金星をあげて意気揚々の由乃さんは、「次もヤバいやつです」と断言。さわりだけでも危険な香りがプンプンしてきて、聞いているそばからハラハラ。本大会にかける意気込みが伝わってきました。

準決勝では、語り口に拍車がかかり、お客さんたちもさらにのめり込んでいるのがわかります。2試合とも互角の戦いで、渡辺さんが4点差で由乃さんを下し、竹内さんが3点差で三木住職に競り勝ちました。山口プロデューサーが「本命」と目していた三木住職の敗退に、客席から「ああ~」と惜しむ声が挙がりましたが、審査員の金城学院大学文学部・小松史生子教授の「三木さんのお話はミステリー要素が強かったのでは。怪談は理不尽な結末のほうが怖い印象を受ける」という名解説に一同うなずいていました。三木住職、2連覇ならずでしたが、イベント終了後に「大ファンの竹内さんと戦えて悔いなし」とすがすがしい笑顔で語ってくれました。

ついに決勝戦。人情味や無念さが心を揺さぶる怪談を披露してきた渡辺さんと、まるで映画を見ているかのように光景がありありと目に浮かんでくる竹内さんの対決です。

先手の渡辺さんは、音楽関係者がビジネスホテルで体験した恐怖の出来事。全身を使ったパフォーマンスは、まさに圧巻。まるで現場に居合わせてしまったかのような臨場感は、いま思い出しても、圧倒されてしまうほど。すごかった。対する竹内さんは、母親が目撃した「ベランダを走る男」の話。恐怖が超越した時に生まれる笑いを差し込みつつ、最後までグラフィカルな描写で聴衆を魅了しました。

結果は、315点対317点の大接戦。「怪談王2019」を制したのは、渡辺さんです! おめでとうございます!! 2年ぶり2度目の優勝を果たし、うれしさをかみしめた面持ちで「これからも邁進します」と謙虚な受賞スピーチ。控室に戻ってきたところを直撃すると、すでに虎視眈々と次を見据えていました。

「怪談王2019」チャンピオンは渡辺裕薫さん!おめでとうございます!
「怪談王2019」チャンピオンは渡辺裕薫さん!おめでとうございます!

「ホッとしています。(お客さんに気持ちを)のせてもらいました。特に最後は自分たちがつくる以上にそういう空気をつくってもらった感じがします。実話怪談は自分の人生を掘り起こす作業ですから、自分自身の歴史をつくっていくというか、自分の気づかなかった部分をもっと掘り起こしていくというか、どう創造していくかですね。まだまだこれからしっかり向き合っていきたいと思っています」。

こうして日本最大級の怪談イベントは、幕を閉じました。普段はホラー映画ばかり(ホラー映画部ですから!)で、怪談にはあまり馴染みのなかった筆者ですが、4時間にわたる熱戦で、怪談にも個性とバラエティが豊富にあることを知り、その魅力にとりつかれました。どの対決も怖さと人間ドラマを話芸として堪能できます。ぜひ、OSOREZONEでお楽しみください!

ホラー作品に特化した動画配信サービス「OSOREZONE」は月額500円(+税)で全作品が見放題。まずは無料お試し2週間でお楽しみいただけます。 OSOREZONE公式サイトで「怪談王2019」をいますぐチェック!

筆者紹介

映画.comホラー映画部のコラム

映画のことなら「映画.com」のホラー好きが「ホラー映画部」としてスピンオフ。日本中のホラーファンを、ホラー映画専門の定額制動画配信サービス「OSOREZONE(オソレゾーン)」に“感染”させるべく、Twitter(@osorezone)で日夜ホラー情報を発信中。ホラー映画だけでなく、エクストリームでファンタスティックなジャンル映画にも目を光らせてます。

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