M・スコセッシ監督、「ヒューゴの不思議な発明」に幼い自分を投影 : FROM HOLLYWOOD CAFE

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コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第163回

2011年12月15日更新 小西未来

第163回:M・スコセッシ監督、「ヒューゴの不思議な発明」に幼い自分を投影

画像1 (C)Paramount Pictures 2011 [拡大画像]

 マーティン・スコセッシ監督の最新作「ヒューゴの不思議な発明」は、監督の長いキャリアのなかでもかなりの異色作だ。初の3D映画であるばかりか、少年を主人公にした家族向けのファンタジー作品だからだ。

この映画企画が誕生したきっかけは、実はジョニー・デップにある。児童作家ブライアン・セルズニックのファンである彼は、原作「ユゴーの不思議な発明」を子どもたちに読み聞かせているときに、映画化の可能性に気付く。そして、有名プロデューサーのグレアム・キングとともに映画化権を獲得したのだ。もっとも、デップ本人にしても、まさかスコセッシ監督ほどの巨匠が興味を示すとは思ってもみなかったという。

ヒューゴの不思議な発明」の舞台は、1930年代のパリ。駅の時計台で暮らす孤児のヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、毎日、駅のあちこちにある時計のネジを巻いて暮らしている。ひとりぼっちのヒューゴにとって、唯一の趣味は父が遺した機械人形の修理だ。しかし、その機械人形には秘密のメッセージが隠されていた――。

あらすじを読んだだけではスコセッシ監督が惚れ込んだ理由がわからないと思うけれど、その後の展開を見れば誰でも納得できるようになっている。ネタバレになるといけないので詳しくは書かないけれど、スコセッシ監督が情熱を傾けるもののほとんどが題材となっていると言っても過言ではないと思う。

でも、原作を初めて読んだとき、スコセッシ監督を捉えたのは主人公の境遇そのものだったという。

「わたしは3歳のときに喘息(ぜんそく)になって、それ以来、すべてから隔離されるようになった。スポーツはおろか、走ることも笑うことすら許されなかった。だから、駅で孤独に暮らす少年にたちまち共感したよ」

スコセッシ監督は、15、6歳になるまで普通の生活は許されなかったという。しかし、その期間に映画の魅力に気付き、クリエイティビティを養っていくことになる。一方、物語の主人公ヒューゴもきっかけこそ違うものの、同様の道のりを歩んでいくことになる。

もしかしたら、「ヒューゴの不思議な発明」は、監督にとってもっともパーソナルな作品かもしれない。

ヒューゴの不思議な発明」は、2012年3月1日に全国で公開。

[筆者紹介]

小西未来

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」(http://www.miraikonishi.com)では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。

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