コラム：編集長コラム　映画って何だ？ - 第49回

2022年9月9日更新

今年は「指輪イヤー」！「ロード・オブ・ザ・リング」をIMAXで見よう

「ロード・オブ・ザ・リング」が日本で初めて公開されたのは、2002年3月のことでした。前年の12月1日には「ハリー・ポッターと賢者の石」が公開されており、この頃から、VFXを活かしたファンタジーアドベンチャー大作が続々製作されるというムーブメントが世界を席巻し始めたわけです。

当時、私の勤めていたWeb製作会社では「ロード・オブ・ザ・リング」の公式サイトを日本語にローカライズする仕事をしていましたが、シリーズ3部作の宣伝に、公式サイトを有効活用するという試みも、同作はかなりスマートに行っていました。予告編の解禁、新しい場面写真の初出しなんかは、公式サイトが担っていたので、ファンは毎日サイトをチェックしていましたね。TwitterもYouTubeもない時代です。

日本語字幕が炎上して、原作のファンがピーター・ジャクソン監督に翻訳者交替の嘆願書を送った件とかもあって（この時は2ちゃんねるが大活躍）、公式以外でもネットで異常な盛り上がりを見せた作品です。個人的にも、「マトリックス」と並んで思い出に事欠かない。3作目の「王の帰還」がアカデミー賞の作品賞を受賞した時は、スタッフみんなで涙流しながら授賞式を見守っていた記憶があります。

当時、映画.comでは原作の「指輪物語」とJ・R・R・トールキンにフォーカスした記事を作っていますので、最後にリンクを置いておきます。20年前にやった特集がちゃんと残ってた。

さて、初公開から20年、IMAX版「ロード・オブ・ザ・リング」の日本初上陸です。9月16日からのロードショーに先がけて、9月6日に試写会がグランドシネマサンシャインで開催されました。

私も、本編を見るのは20年ぶりでした。ストーリーラインや設定はすっかり忘れていましたが、この試写会にタイミングを合わせて、Amazon Prime Videoが配信を始めた「ロード・オブ・ザ・リング　力の指輪」を自宅で見たのが幸いしました。中つ国やモルドールなどの地名や、エルロンド、ガラドリエルなどの人名が登場します。2エピソード見て、ウォーミングアップ十分でIMAX版に臨みました。

そして……圧倒されました。20年前より大きな画面、デカい音量で見られる幸せと喜びをかみしめながらの3時間。世界遺産クラスのニュージーランドの自然、WETAのVFXの重厚さ、ガンダルフの頼もしき存在感、そしてハワード・ショアによる例のテーマ曲ですよ。もう、身体中から湯気を出しながら見ていました。

改めて痛感したことには、すべてのRPGゲームのルーツがここにありますね。私は、今でこそゲームはプレイしませんが、初期の「ドラゴンクエスト」なんかは夢中でプレイしていました。その記憶を思い起こすに「RPGの内容、全部『ロード・オブ・ザ・リング』の中にあるじゃん」ってなりました。若いゲーマーの皆さんに、是非見てもらいたいと思った次第。「ロード・オブ・ザ・リング」はRPGみたいな映画なんです。

1作目「ロード・オブ・ザ・リング」がアカデミー賞13部門ノミネートで4部門受賞、2作目「ロード・オブ・ザ・リング　二つの塔」が同じく6部門ノミネートで2部門受賞、3作目「ロード・オブ・ザ・リング　王の帰還」が11部門ノミネートで11部門すべて受賞と、作品力はもう圧倒的です。日本における興行収入も、1作目が90.7億円、2作目が79億円、3作目が103.2億円と、こちらも圧倒的。残りの2作品も、IMAXで必ず見ます。「力の指輪」も全部見ます。思いがけず、2022年は「指輪イヤー」になりましたね。

A Young Person’s Guide to LOTR
第1回「旅の仲間」：トールキンのココだけは押さえる！
https://eiga.com/movie/1114/special/

筆者紹介

駒井尚文（こまいなおふみ）。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ（旧デジタルプラス）を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。

Twitter：@komainaofumi