コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第8回

2013年2月13日更新

編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番

第8回:文化庁メディア芸術祭に行ってみよう

今年で16回目を迎えた文化庁メディア芸術祭の受賞作品展が2月13日から24日、東京・六本木の国立新美術館をメイン会場に開催されます。

同展は、文化庁メディア芸術祭実行委員会が主催するアートやエンターテインメントの祭典で、「アート」「エンターテインメント」「アニメーション」「マンガ」の4つの部門で優れた作品を顕彰し、受賞作品展などのイベントを通して、メディア芸術の創造と発展を促していこうというもの。毎年12月に受賞作品が発表され、翌2月に受賞作品展を開催。入場無料で誰でも自由に受賞作品を楽しむことができます。

アニメーション部門大賞受賞作「火要鎮」
アニメーション部門大賞受賞作「火要鎮」

当コラムとしては、やはりアニメーション部門に注目です。これまでに第1回(1997年度)の「もののけ姫」から第15回(2011年度)の「魔法少女まどか☆マギカ」まで、さまざまな作品が大賞を受賞してきた同部門の大賞(※下記参照)は、大友克洋監督の短編「火要鎮(ひのようじん)」が受賞。短編作品の大賞受賞作には、アカデミー賞も受賞した「つみきのいえ」(2008年度)などもあり、同作以来の短編作品の大賞受賞となりました(ちなみに「火要鎮」も今年のアカデミー賞短編アニメーション部門のノミネート候補までは進みましたが、残念ながら最終ノミネートはならず)。

「火要鎮」は、18世紀中頃の江戸を舞台に、商家の娘と火消しの男の恋を描いています。日本画の画風を取り入れながら、江戸の風俗や道具、生活を再現する描写にこだわり、作画のアニメーション表現と3DCGによる表現を融合させて描いた12分43秒の短編。受賞理由には「歌舞伎を2階の最前列で鑑賞しているような、昔のジオラマのスペクタクルな画面を追体験しているような特別な興奮があった」とあり、緻密かつダイナミックな作風で知られる大友監督が描く江戸とはどのようなものか、興味はつきません。

会場には設定画、イメージボード、絵コンテなど関連資料も (上)「火要鎮」(下)「おおかみこどもの雨と雪」の展示
会場には設定画、イメージボード、絵コンテなど関連資料も (上)「火要鎮」(下)「おおかみこどもの雨と雪」の展示

現在のところまだ劇場未公開のため、同作を鑑賞できる機会は限られています(森田修平監督の短編「九十九」とあわせた「SHORT PEACE ショート・ピース」として劇場公開予定はあるようですが)。今回のメディア芸術祭ではダイジェスト版の映像と、絵コンテ、イメージボードなどが上映・展示されているほか、サテライト会場(シネマート六本木)では本編上映もあり、その少ない機会のひとつ(スケジュールは公式サイトで確認を)。

また、惜しくも大賞は逃したものの、優秀賞は「アシュラ」「おおかみこどもの雨と雪」「グスコーブドリの伝記」「グレートラビット」と昨年劇場公開されたアニメーション作品がズラリ。選考対象は劇場アニメに限らず、TVアニメやOVA、非商業作品まで幅広く含まれますが、それだけ昨年の劇場アニメの水準が高かったといえるのかもしれません(アニメーション部門の応募数は502作品/劇場アニメ=23、短編アニメ=370、テレビアニメ=61、OVA=14、その他=34)。これらの作品も同様に会場ではダイジェスト映像や関連資料の上映・展示、サテライト会場で本編の上映もあります。最新の日本アニメの秀作を見たければ、足を運んでみるのもよいかもしれません。

マンガ部門大賞のBD「闇の国々」 サテライト会場のマンガライブラリーで閲覧可能
マンガ部門大賞のBD「闇の国々」 サテライト会場のマンガライブラリーで閲覧可能

日本アニメを紹介する主旨の当コラムからは少し外れますが、メディア芸術祭にはアニメーション部門はもちろん、全部門にわたり海外からも多数応募作・受賞作があり(今年は国内外3503作品の応募から受賞した120作品を展示)、たとえばマンガ部門の大賞受賞作「闇の国々」は、いわゆるバンド・デシネ(BD/フランス、ベルギーのコミックのこと)の作品で、BDといえば昨年他界したメビウス(ジャン・ジロー)など映画界とも無縁ではありません(偶然にも大友監督もBDに影響を受けたといわれる作家の1人)。アートやエンターテインメント部門の作品にも、表現方法としてアニメーションを取り入れた作品もあります。

「芸術」と言われると少し構えてしまうかもしれませんが、アート部門やエンターテインメント部門には、実際に触れることのできる作品や体感するインスタレーション作品などもあり。行って見て触って、最新のメディア芸術を楽しんでみてはいかがでしょうか。

※歴代 アニメーション部門大賞作品

1997年度 第1回 「もののけ姫」
1998年度 第2回 「クジラの跳躍」(短編)
1999年度 第3回 「老人と海」(短編)
2000年度 第4回 「BLOOD THE LAST VAMPIRE」
2001年度 第5回 「千と千尋の神隠し」「千年女優」(※2作品同時受賞)
2002年度 第6回 「映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」
2003年度 第7回 「連句アニメーション『冬の日』
2004年度 第8回 「マインド・ゲーム
2005年度 第9回 「浮楼」(短編)
2006年度 第10回 「時をかける少女
2007年度 第11回 「河童のクゥと夏休み」
2008年度 第12回 「つみきのいえ」(短編)
2009年度 第13回 「サマーウォーズ」
2010年度 第14回 「四畳半神話大系」(TVアニメ)
2011年度 第15回 「魔法少女まどか☆マギカ」(TVアニメ)

■第16回文化庁メディア芸術祭受賞作品展 受賞作品展

会期:2013年2月13日(水)~2月24日(日)

メイン会場:国立新美術館
10時~18時(金曜日は20時まで/入場は閉館の30分前まで/2月19日休館)
入場無料

文化庁メディア芸術祭公式サイト

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

映画.com編集部・あさかよしあき。編集部のアニメ好き。若手女優やアイドルのチェックにも余念がない。もちろん普通に映画も好き。

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