モダン・タイムス

ALLTIME BEST

劇場公開日:

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モダン・タイムス

解説

チャールズ・チャップリンが監督・脚本・製作・作曲・主演を務め、機械文明と資本主義社会を痛烈に風刺した名作喜劇。

大きな工場で働くチャーリーは、毎日同じ機械を使って単調な仕事を続けていたせいで錯乱し、病院へ送られる。ようやく退院したものの、今度はデモ隊のリーダーと間違われて投獄されてしまう。やがて無罪が判明し自由の身となった彼は造船場で働き始めるがすぐに解雇され、刑務所へ戻る方法はないかと考えるように。やがて無銭飲食をして捕まったチャーリーは、護送車の中でパン泥棒の少女と知り合う。

ヒロイン役に、チャップリンの当時のパートナーだったポーレット・ゴダード。チャップリンが映画の中で初めて肉声を発し、自身の作曲による「ティティナ」で歌声を披露。ラストシーンで流れる名曲「スマイル」も印象を残した。

1936年製作/87分/アメリカ
原題:Modern Times
配給:KADOKAWA
劇場公開日:2022年11月3日

その他の公開日:1938年2月9日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)Roy Export SAS

映画レビュー

5.0これが集大成 これが頂点

2024年3月10日
PCから投稿

この作品からメッセージ性が強烈になって、アメリカ国内で非難を浴びるようになります。

前作「街の灯」はペーソス寄りで、このあと「独裁者」「殺人狂時代」「ライムライト」「ニューヨークの王様」と問題作続くので、これがスラップスティック的、いわゆるチャップリン的シャシンの集大成です。

話の構成も刑務所とシャバを行ったり来たりしながら工場、造船所、デパート、ショーパブと舞台が目まぐるしく変わり、テンポが良いという次元を超えてアクロバット的な高速展開にロマンスが絶妙に絡んでゆきます。

ラストの唄と踊りとパントマイムは最早神業です。凄すぎて泣きそうです。

初めて歌舞伎を見る人には「勧進帳」か「助六」を勧めるように、初めて先輩の映画を観る人には「モダンタイムス」でしょう。

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越後屋

5.0人間は機械じゃない‼️

2024年2月15日
スマートフォンから投稿

笑える

楽しい

興奮

チャップリンが機械文明に挑戦‼️時代はトーキー真っ盛りなのに、あえてサイレント映画の手法で、ミュージカルのようにリズミカルでスタイリッシュな映像世界を創造‼️大量生産時代、暴走する資本主義、警察国家の悪夢を喜劇に仕立て上げるその手腕‼️脱帽です‼️工場における社長のテレビによる監視の目‼️テレビの放送開始よりも20年近くも前に現代の巨大モニターを先取りしている凄まじい先見の明‼️現代でも実用化されていないオート給食マシンは、椅子に座るとスープが流し込まれ、パンを押し込み、トウモロコシが口の前でゆっくり回転、ナプキンが口をぬぐう‼️アイデアの塊ですね‼️そんなオート給食マシンに襲われたり、工場の歯車と戯れるシーンはあまりにも素晴らしく呆然としてしまいます‼️一方で、チャップリンのパントマイム芸術の集大成であり、絶妙な芸人ぶりが発揮された作品でもあります‼️デパートでのローラースケートシーンのウマさ、誰も解読できない造語で歌われた「ティナティナ」‼️ホントに堪能させてくれます‼️そしてヒロインを演じる実生活でのチャップリンの奥様ポーレット・ゴダードの魅力‼️明るくて快活で優しくてホントに美しい‼️彼女が演じるスカーレット・オハラも是非観てみたかった‼️そんな彼女とチャップリンが、腕を組んで歩み去る後ろ姿のラストシーン‼️これほど素晴らしいラストシーンが他にあるでしょうか⁉️やっぱりチャップリンは天才です‼️

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活動写真愛好家

3.5コメディアンの

2023年8月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

教科書だというのが分かる。廃屋のシーン、椅子をなぎ倒して逃げるシーン笑える。歯車と言えばこれが決定版。けれど、眠たくなってしまう自分が居る・・・デタラメな歌詞の訳は困難なんだろうな。

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共感した! 3件)
トミー

5.0不運に次ぐ不運。そんな二人の行く先。チャップリン氏の生き様。

2023年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

萌える

チャップリン氏映画初鑑賞。
 あらすじだけをみると、孤児が出てくる映画が多いが、ご自身の人生の反映か?

羊の群れ、人々の出勤風景。
社長が取り組むパズル。
ラインでの作業風景。
歯車に飲み込まれる主人公。
 誇張された風刺を簡潔にテンポよく見せてくれる。

食事の自動化。生産性向上を目論んだ人間の機械化計画。
 実際に、オートメーション化された工場が立ち並んだ頃、パフォーマンスを上げるための様々な実験ーどんな照明が良いかとかーが行われていた。

この映画を観れば、人間性の喪失を憂えることができるのに、その皮肉に笑いも出るのに、
 実際の生活では、子どもたちが栄養素が凝縮されたカロリーメイト等を片手に、食事する間も惜しまされて、勉強しているとか、
 画面による工員管理≒最近はやりの、仕事場にいながら、家にいるわが子をモニターする装置とか。
 時間で管理されて、塾や習い事の掛け持ちとか。
この映画を笑えない状況が進んでいる。

そんな場で働き、おかしな行動をとるようになり、入院治療を受けることになった主人公。
治ったかと思ったら、あらぬ誤解で刑務所へ。
刑務所内では、ひょんなことから厚い待遇を受けることになるものの、
推薦状を得て職に就けば、さしたるOJTもなく、大ポカをやり、失職。
結局、生きるために罪を犯す。今も、刑務所等で問題になっている回転ドアのループ。
何とか職を得ても、事件に巻き込まれたり、デモが始まったり、理不尽な罪に追われたりして失職。
なんて人生ままならぬ。

支えあう少女も、今の言葉で言えば貧困女子。妹たちの食料を何とかして母の代わりに家事をするヤングケアラー。父も不慮の事故(と言えるのか)で失う。しかも、安定した職を得たと思ったら、パンの窃盗罪で連行されそうになるのならともかく、私には理解不能な罪で追われる。
こちらもままならぬ人生。

そんな二人の日々が、ロマンティックに、コミカルに描かれる。

 新婚夫婦をみて憧れた少女が、家を見つけてきて、キレイに整える。座ろうとすれば床が抜け、ドアを閉めれば梁が落ちてきてという家ではあるが。二人で、テーブルで食べる食事のおいしそうなこと。

 デパート。外には食事もまともにできない子どもたちが溢れているが、ここには何でもある。女王のように、ロープをまとい、ふかふかのベッドで寝る少女。その前のボロ小屋の床で寝ている姿を観ているだけに、涙が出てくる。

 少女は夢見ることを忘れず、叶えるための努力を怠らず、自分を助けてくれた主人公を大切に思い、最高の笑顔を向ける。
 主人公は、とぼけた表情ながら、相手を大切に扱い、腐らず、淡々と自分のやるべきことを自分なりにはやろうとする(失敗続きではあるが)。

 場当たり的と言えば、場当たり的ではあるが、前述のように、努力しても実らぬ日々。そんな中で、(盗みはするし、勝手に使うけれど、必要最小限)人をだまして陥れることなく、その時その時を最善のものにしようとする姿が愛おしく。

チャップリン氏のパフォーマンスに笑わされるが、全体的には、大きな歯車に巻き込まれ、自分の力では抜け出せないーーレストランでの一場面が端的にそれを表現していて秀逸ーー様が描かれている。そのやりきれなさ・口惜しさは『自転車泥棒』を彷彿とさせる。
 だから、気持ちの良いカタルシスは得られない。
 それでも、ラストの「スマイル」。孤児であったチャップリン氏の生き様が反映されているのか、そんな運命に押しつぶされない人間性に強く心打たれて、じんわりとする。

と、映画の筋だけを追うと、もやもやも相まって、評価はあまり高くない。

それでも、チャップリン氏のパフォーマンスにくぎ付けになる。
 ローラースケート、ダンスと歌は圧巻。永久保存版。それ以外でも、工場中を逃げ回る場面でも、体の軽いこと、美しいこと。バレエの素養があるのだろうか。

パフォーマンスだけではない。
最初と、次のデフォルメされた工場内の美術・演出。
刑務所内での寸劇。
造船場での間のおかしさ。
パトカー内。
レストランでの演出。あの、フロアダンスの見事さ。

一つ一つが素晴らしい。語り継ぐべきシーン。
観る価値あり。

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とみいじょん
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