ブレードランナー ファイナル・カット : リドリー・スコット監督&主要キャスト インタビュー

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ブレードランナー ファイナル・カット ブレードランナー ファイナル・カット

絶え間なく酸性雨が降り続ける2019年のロサンゼルス。この大都会に迷い込んだ新型アンドロイド、レプリカントを追う、ブレードランナー特捜班の刑事(ハリソン・フォード)の姿を映し出した、リドリー・スコット監督のダークな未来派フィルム・ノワール「ブレードランナー」(82)。斬新かつ先駆的なビジュアルと哲学的なストーリーから、今なお議論が絶えず、“SF映画の金字塔”とまで讃えられる伝説の映画が25年の時を経て、スコット監督自らの手で再編集・デジタル処理されたのが、いよいよ日本でも劇場公開される真の最終版「ブレードランナー ファイナル・カット」(07)だ。今年9月初頭にベネチア国際映画祭でプレミア上映された際に、 スコット監督をはじめ、ルトガー・ハウアー、ダリル・ハンナ、エドワード・ジェームズ・エルモスら、この再編集版のカギを握る人物たちへの独占インタビューを敢行。「ブレードランナー」の熱狂的なファンの方も、これから初めて見る方も、読んでナットクの裏ネタ集を加えた大特集をご一読あれ。(取材・文:佐藤睦雄

リドリー・スコット監督&主要キャスト インタビュー

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リドリー・スコット監督インタビュー
「何の後悔もない。これが最終版だ」

──「ブレードランナー」とは、あなたにとってどのような存在ですか?

「良質の映画は良質の本のようなものだ。本棚にある1冊をいつでも手に取り、読み直すことができる。映画の一部は後世まで残って“アート”と呼ばれる。何度も見る価値のあるシネマアートは少ない。撮影監督や特撮監督(ダグラス・トランブル)の芸術的手腕、俳優たちの素晴らしい演技、ヴァンゲリスの音楽、アートディレクション(シド・ミード)、衣装デザイン(メビウス)……。この映画は全てアートだ」

──カルトな人気があるのは、どういう部分だとお考えですか?

撮影中のリドリー・スコット監督(左)とハリソン・フォード撮影中のリドリー・スコット監督(左)とハリソン・フォード

「『ブレードランナー』はフィルム・ノワールとして作られたものだ。未来に生きる男デッカードには、私立探偵フィリップ・マーロウのようなキャラクターを想定した。進むべき道に迷い、任務が高じて窮地に陥る。デッカードはレプリカントと名づけられた人造人間を追跡している。こういうストーリーだ。『バットマン』のようにダークなSFで、笑えるタイプのSFではない。脚本は素晴らしく、キャラクター描写も優れており、これが観客の感情を激しく揺さぶるのだろう」

──新しいバージョンが存在する理由は?

「25年前、ワークプリント版のテスト試写(スニーク・プレビュー)後に聞かれた質問を憶えている。“なぜ、善玉は悪玉にこてんぱんにやられるのか”というもので、それはデッカードのことだった。というのも、デッカードを演じたハリソン・フォードは、まさに『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』でスターとして大ブレイクしていた時だった。

一方、私は『エイリアン』をロンドンで撮影した後で、ハリウッドでは新人監督。初めてのハリウッド映画だったが、弟(トニー・スコット)もとても気に入っていた。ところが、試写の反応は最悪で、ほとんどの観客が首をかしげたわけだ。僕の創り出した世界観に対してね。なぜいつも雨が降っているのか、なぜいつも暗いのか、なぜ悪役に同情的なのか、当時の観客は困惑した。観客はなぜハッピーエンドでないのかと不満だった。私はフィルム・ノワールなのだと主張したのだが、彼らは、エレベーターの前でユニコーンの折り紙を拾うシーンに納得いかなかったようだ。

25年を経て、時代がようやく「ブレードランナー」を受け入れられるようになった25年を経て、時代がようやく「ブレードランナー」を
受け入れられるようになった

そこで劇場公開するため、“意図したもの”と“そうでないもの”とを混ぜ合わせたハイブリッド版が出来上がった。(状況説明をする)ボイスオーバーも、ハッピーエンディング(デッカードとレイチェルの逃避行)も全くバカげたものだったがね。その結果、映画評論家には酷評されたり、こっぴどくやられたもんだ。このことは、のちにMTVが出現するまで忘れていた。当時のMTVでは『ブレードランナー』のラッシュフィルムかと見間違う創造的な映像があふれていた。映像作家たちは劇場公開版を見ていない世代だろう。ある特定の世代には大受けしていたわけだ。やがてワーナーはこの“進化”を見て、『ディレクターズカット』を進言してきた。15年後、細かい修正がなされた『ファイナル・カット』がこうしてリリースできるようになった」

──劇中に描いたことで、今実際に起こっていることはありますか?

「私が広告を手がけていた頃からニューヨークへよく行っていた。『エイリアン』が41歳、『ブレードランナー』が42歳の時だった。あの頃のニューヨークはかなり汚くて、時には危険なこともあった。香港でもよく撮影した。ゴテゴテした最初の高層ビルの香港銀行ビル(89年建設)が建てられる前の話だよ。まるでガラクタだらけの都会で、汚かった。その2つのコンビネーションが未来のイメージだと感じたんだね。全てが“オーバーロードし(詰め込み過ぎ)ている”だろうと、ね。今のニューヨークは見事な大都会だが、不測の事態(9・11)以後、お金によっていっそうオーバーロードされているね」

──この映画では酸性雨が絶えず降ります。ところが、同じ原作者フィリップ・K・ディックのSF映画「マイノリティ・リポート」にはハイブリッドカーが登場します。エコロジカルな問題についてどうお考えですか?

紆余曲折をへたが、これこそが本当に最終版紆余曲折をへたが、これこそが本当に最終版

「『ブレードランナー』で、かい? もちろんさ。だからオープニングで空は赤い。工業都市的な光景から入っていったわけだ。僕はニューカッスル(イングランド)のハートリプール出身だ。そこには巨大な製鉄所がある。日本の鉄鋼業はもう斜陽だろ。『ブラック・レイン』では日本の製鉄所を撮影したよ」

──このバージョンには望んでいた全てを盛り込めたのでしょうか? 

「実は、25年前の観客が首をかしげたバージョンと大差ない。どちらかというと、ルトガー・ハウアー演じるレプリカントのほうに同情的な(笑)、正真正銘のフィルム・ノワールだ。ストーリーの中で、遺伝子工学の粋とも言えるレプリカントが存在するという、SF映画らしい“独自の真実”がある。この独特の世界観が今の観客なら受け入れられるはずだ。だから、何の後悔もない。これが最終版だ。この形でボックスの中に収まる。永遠にね」

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ABOUT THE MOVIE

  • ブレードランナー ファイナル・カット 画像 [拡大画像]
  • ブレードランナー ファイナル・カット
  • 日本でも未だに根強いファンを持つSF映画の金字塔「ブレードランナー」。初公開から25年を迎えた本作に、リドリー・スコット監督自らが再編集とデジタル修正を施して蘇らせたファイナル・カット版。酸性雨で荒廃した2019年のロサンゼルス。人間にそっくりな外見を持つ人造人間“レプリカント”たちが植民地惑星から逃亡してきた。レプリカント専門の捜査官“ブレードランナー”のデッカードが追跡を開始するが……。
  • 原題:
    Blade Runner: The Final Cut
    監督:
    リドリー・スコット
    脚本:
    ハンプトン・ファンチャー、デビッド・ウェッブ・ピープルズ
    製作総指揮:
    ハンプトン・ファンチャー、ブライアン・ケリー
    製作:
    マイケル・ディーリー
    原作:
    フィリップ・K・ディック
    撮影:
    ジョーダン・クローネンウェス
    音楽:
    バンゲリス
    美術:
    シド・ミード
    特撮:
    ダグラス・トランブル
    出演:
    ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、ダリル・ハンナ、エドワード・ジェームズ・オルモス、ジョアンナ・キャシディ、ブライオン・ジェームズ、M・エメット・ウォルシュ、ウィリアム・サンダーソン、ジョセフ・ターケル、ジェームズ・ホン
    製作国:
    2007年アメリカ映画
    上映時間:
    1時間57分
    配給:
    ワーナー・ブラザース映画
  • 11月17日より新宿バルト9、梅田ブルク7にてロードショー
  • オフィシャルサイト

BLADE RUNNER is a trademark of Blade Runner Partnership.
Blade Runner: The Final Cut
(C) 2007 The Blade Runner Partnership.
TM & (C) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc.
All Rights Reserved.

ブレードランナー ファイナル・カット

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