スカイ・クロラ The Sky Crawlers : 新作映画評論

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新作映画評論

スカイ・クロラ The Sky Crawlers スカイ・クロラ The Sky Crawlers 8月2日より渋谷東急ほかにてロードショー

何かのために生きる覚悟を新たにした作家の姿が垣間見える

画像1(C)森博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会[拡大画像]

永遠の平和。生を実感するためにショーとしての戦争を維持するキルドレ。彼らは戦闘機に乗って戦う宿命を背負い、殺されなければ思春期のまま生き続けるーー。平和憲法に守られ爛熟したこの国で、果てしない日常を送り続け、アニメやゲームの中で戦争シミュレーションを繰り返し、その中では何度でも死ぬ世代の映し鏡として魅力的な設定だ。地上を2Dアニメ、空中戦を3DCGで描き分け、空にいるときだけ何もかもがリアルで、死に直面してまざまざと生を感じるという演出が冴えわたる。

淡々とした地上で、押井映画史上最も切ない恋が芽ばえる。自身の生を確認するかのように相手の人生に介入するほのかなエロスは、肉体をも貪る愛へと発展する。そして主人公は、運命を変えるため“見えない敵”に立ち向かう。その先にあるものはリセットか、ループか。

同様に今の日本をモチーフとし、狂おしいまでの想いが世界を揺り動かす「崖の上のポニョ」と本作は、ポジとネガの関係にあるといっていい。「永遠」を打ち破るための「テロ」というテーマから、押井の過去作との繋がりを見出すのはたやすい。だが重要なのは、諦観や厭世観に満ちていた作品と異なり、かすかな希望の匂いがすることだ。生をいとおしみ、人肌を欲する感覚。シニカルな生き様を脱し、何かのために生きる覚悟を新たにした作家の姿が垣間見える。押井の新境地は、思想家がエンターテイナーへ変貌したかのようにエモーショナルだ。

清水節

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ABOUT THE MOVIE

  • スカイ・クロラ The Sky Crawlers 画像2 [拡大画像]
  • スカイ・クロラ The Sky Crawlers
  • 過去の記憶がない戦闘機乗りの函南優一は、新たに着任した基地で上官となる女性・草薙水素に出会う。2人はやがて惹かれていくが……。「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」の押井守が、菊地凛子、加瀬亮ら実力派俳優を声優に起用し、森博嗣の同名小説を映画化した長編アニメ。思春期の姿のまま永遠に生きる“キルドレ”と呼ばれる青年たちが、大人たちによって作られた“ショーとしての戦争”を戦う姿を通し、生きることの意味を問う。
  • 監督:
    押井守
    脚本:
    伊藤ちひろ
    製作:
    奥田誠治、石川光久
    原作:
    森博嗣
    音楽:
    川井憲次
    美術:
    永井一男
    出演:
    菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、栗山千明、山口愛、平川大輔、竹若拓磨、麦人、大塚芳忠、安藤麻吹、兵藤まこ、西尾由佳理、ひし美ゆり子、竹中直人、榊原良子
    2008年日本映画/2時間1分
    配給:
    ワーナー・ブラザース映画
  • 8月2日より渋谷東急ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)森博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

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