新作映画評論 Page7

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7月29日更新

脳髄にからみつく超高速アクション ダークナイト

  • ダークナイト
  • ジョーカーが化けた。「バットマン」第1作でジャック・ニコルソンが扮したジョーカーは「究極のオブジェ」だった。装置や衣裳が印象的だったあの映画のなかでも、ニコルソンの姿は極彩色のオブジェだった。単騎で際立つ彼の言動に、私は笑った。 「ダークナイト」ではヒース・レジャーだ。こちらのジョーカーは、観客を凍りつかせる。裂かれた口も紫の上着もずっと地味だが、その無意識はアナーキーの極致だ。広い背... >>続きを読む

何かのために生きる覚悟を新たにした作家の姿が垣間見える スカイ・クロラ The Sky Crawlers

  • スカイ・クロラ The Sky Crawlers
  • 永遠の平和。生を実感するためにショーとしての戦争を維持するキルドレ。彼らは戦闘機に乗って戦う宿命を背負い、殺されなければ思春期のまま生き続けるーー。平和憲法に守られ爛熟したこの国で、果てしない日常を送り続け、アニメやゲームの中で戦争シミュレーションを繰り返し、その中では何度でも死ぬ世代の映し鏡として魅力的な設定だ。地上を2Dアニメ、空中戦を3DCGで描き分け、空にいるときだけ何もかもがリアル... >>続きを読む

マイク・ニューウェルによる、軽やかかつ深い純愛物語 コレラの時代の愛

  • コレラの時代の愛
  • ひと目惚れした美女を半世紀以上も愛しつづけ、彼女への純潔を誓いながらも、結果的に肉体関係を持った女の数は622人。ガルシア=マルケス原作というだけでミーハー映画ファンには敷居が高くなりがちな純愛物語を、ハリウッド的なロマコメセンスも売りのマイク・ニューウェルが料理できるのか? そんな心配をしたくなる組み合わせだが、これが大正解。アート系監督が手がけたら小難しくなりかねない世界が、実に軽やか。... >>続きを読む

7月22日更新

ハルクの特質を生かしたドラマ作りが成功 インクレディブル・ハルク

  • インクレディブル・ハルク
  • ハルクは、他のアメコミ・ヒーローとは違うネガティブな存在だ。感情が激してブルース・バナーがハルクに変身してしまうと誰もその力をコントロールできない。目の前にあるものすべてを破壊し尽くしてしまう。だからスーパーマンのように変身して活躍するスペクタクルよりも、きわどいところでいかに変身を防ぐか、その死にもの狂いの努力にドラマのヘソがあるし、サスペンスもスリルも生まれる。今回の「インクレディブル・... >>続きを読む

見ることだけでは完結しない深刻な社会派ドラマ 闇の子供たち

  • 闇の子供たち
  • 阪本順治監督は守備範囲がひろい。彼の作品は、監督デビュー作「どついたるねん」に始まる男のドラマ、「魂萌え!」のような女性ドラマ、「KT」や「亡国のイージス」などの社会派ドラマに大別できるが、どれも瀬戸際にいる人間を描いて見ごたえがある。今回の「闇の子供たち」は、日本人の臓器移植手術から、タイのアンダーグラウンドで行なわれている幼児売買春、幼児虐待、臓器売買といった、深刻な問題に突入していく社... >>続きを読む

最狂のロック魂映画にしてバカ炸裂映画 テネイシャスD/運命のピックをさがせ!

  • テネイシャスD/運命のピックをさがせ!
  • 「ハイ・フィデリティ」の中古レコード店員に、「スクール・オブ・ロック」のニセ代用教師。暑苦しくも愛すべきジャック・ブラックをブレイクさせたのは、全身全霊でロックを愛しまくるロックバカ役だった。これは偶然でも何でもない。いずれもアテ書きで、JB自身が常軌を逸したロックバカなのだから。 そんなJBが駆け出しの頃、カイル・ガスと結成したバンドが“テネイシャスD”。そのバンド結成秘話(もちろん... >>続きを読む

7月15日更新

日本人の萎えた心を蘇生させる、純度の高いファンタジーの傑作 崖の上のポニョ

  • 崖の上のポニョ
  • 一途な想いを募らせて荒れ狂う波の上を全速力で走って走って跳躍し、どこまでも少年を追いかける少女――。横溢するパッションと歓喜のデフォルメに、アニメならではの幸福感が凝縮される。そう、幼少期にまで遡らなければ、もはや世の中を肯定することなどできないとばかりに、宮崎駿は臆面もなく5歳児や恋する人魚の主観になってみせる。ストーリー性よりも、こうあるべき慈愛に満ちた世界と高揚する映画的な瞬間が優先さ... >>続きを読む

世界の破滅はいきなりこうやってやってくる ハプニング

  • ハプニング
  • これは世界が破滅する物語である——どこかでそんな宣言がなされたのかもしれない。物語が始まったかと思うと、いきなり人がバタバタと死に始める。何故そうなったのか、おざなりな説明はあるもののもはや問題はそこにはない。とにかくハプニングは起こってしまったのだ。その緊急の現場でわれわれが何をするか、それによってどうなるかだけが描かれていく。誰も全体像が見渡せない。映画を見ているわれわれも登場人物たちと... >>続きを読む

カンフー映画への夢と愛が詰まった2トップの初共演 ドラゴン・キングダム

  • ドラゴン・キングダム
  • 「スピード・レーサー」のオリジナルに対する敬愛度には並々ならぬものがあったが、この夏にはもう1本、オタクの愛に満ち溢れた映画がある。「ドラゴン・キングダム」だ。 ジャッキー・チェンとジェット・リーという2トップの夢の初共演は、ただビッグスターが顔を並べただけのものではない。幼少の頃から武術学校で専門的に学んできた彼らの正確で美しいカンフーは、2人が闘うことで威力も魅力も倍増。まるで素晴... >>続きを読む

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