7月28日更新
ピクサー体制による新生ディズニーの門出 ボルト

- ディズニーといえば、言わずと知れたアニメスタジオの老舗だが、いまでは〈質のピクサー〉と〈量のドリームワークス〉という2大スタジオの後塵を拝している。配給契約を結ぶピクサーの成功に刺激を受けて、「チキン・リトル」(05)からCGアニメ製作に進出するも、商業的にも批評的にも成功を収めているとは言い難い。だから、自らを超能力ドッグと信じているテレビの人気犬を主人公にしたディズニー最新作「ボルト」に... >>続きを読む
女同士の恋愛談義のノリが楽しめれば、意外な拾い物 そんな彼なら捨てちゃえば?

- 女優陣の豪華さに比べて、イケメン度が低い。この事実はロマコメとしてはかなり厳しい。既に恋愛法則を身を持って学んでいる大人女子は、他人の恋愛騒ぎを見に映画館に足を運ぶほど、暇じゃないからだ。では、ハリウッドでは旬とはいえニッポン女子には残念な男優が揃った本作の魅力とは? それは、ガールズ・トークそのものなノリ。いや、性格も状況も違う20〜30代の女が寄ると触ると恋愛や結婚をめぐって繰り広げるト... >>続きを読む
サイコ対サイコの構図から、さらに意外な着地点へ 3時10分、決断のとき

- リメイクの鍵はキャスティングにある。オリジナルと比べてどうひねるか。あるいは、どの部分を平行移動させるか。 この力学は「3時10分、決断のとき」でも働いている。いや、リメイクのみならず、オリジナル(「決断の3時10分」)でもキャスティングには工夫が凝らされていた。なにしろ、悪役にグレン・フォードが起用されているのだ。役どころを考えると、線の細い印象は否みがたい。もちろん、理由はある。 ... >>続きを読む
7月21日更新
デジタル世代を肯定した上で人間性を謳い上げる“ポスト・ジブリ”最有力アニメ サマーウォーズ

- かつて冒険映画は秘境や宇宙を目指したが、ネットに耽溺する世代にとって最も刺激的な体験を、この映画は見事に射抜いている。高2の草食系男子・健二が校内のアイドル・夏希先輩に連れ出され、やってきたのは彼女の田舎。今どきのティーンにとって、この状況ほど冒険的なものはない。人間関係が希薄になった若者には、約30名から成る厄介な親戚一同との遭遇の方が、よっぽど異世界を感じるはずだから。 数学の得意... >>続きを読む
命を大切にする人間は敵・味方に関係なくどこにでもいる セントアンナの奇跡

- この映画を見てサミュエル・フラーの傑作「最前線物語」を思い出した。「最前線物語」の歩兵たちは、「戦場での真の栄誉は生き延びること」が持論の軍曹に導かれ、死の淵を通りながらきわどいところで生き延びていく。この「セントアンナの奇跡」でも、兵士の命を左右するのは指揮官の意識だ。戦争に熱中し、勝利に執着してどんな犠牲もいとわないか。あるいは、戦争を否定的に見るか。指揮官次第で兵士の運命も変わる。国と... >>続きを読む
触れ合うことの官能性をせつないまでに慈しむ、愛の寓話 ポー川のひかり

- ヨーロッパ最古のボローニャ大学の図書館で、大量の古文書が太い釘で床に貫かれるという事件が起きる。容疑者はすぐに、若い気鋭の哲学教授であることが判明する。彼は車を乗り捨て、ポー川の岸辺にある陋屋で隠者のような生活を始める。いつしか、周囲の古老たちは、彼を<キリストさま>と呼び始め、ワインを片手に親密な交流が生まれる。 何度もリフレインされる書物の<磔刑>を思わせる光景が衝撃的だ。それを<... >>続きを読む
7月14日更新
全編を通してかなり大胆な省略と脚色が施された第6作 ハリー・ポッターと謎のプリンス

- それぞれの監督が同じ世界をどう自分流に料理するのかが楽しみだったこのシリーズだが、前作第5作以降は最終作までデビッド・イェーツが監督することが発表され、この楽しみは失われた——と思ったら、それは間違いだった。同じ監督なのに今回は前作とはタッチが違う。冒頭の、原作にはない現代ロンドンの大災害は、これまでのシリーズにはない新鮮な光景。全編を通してかなり大胆な省略と脚色で、サーガの進行に沿った、シ... >>続きを読む
ジャニス・ジョプリン~ボブ・ディランでつづられる赤の闘士の歴史絵巻 バーダー・マインホフ/理想の果てに

- 映画は、ジャニス・ジョプリンのアカペラソング「ベンツが欲しい」(ビートニク詩人マイケル・マクルーアと共作)で始まり、ボブ・ディランの「風に吹かれて」で締めくくられる。最初の曲で70年前後のムードが色濃く打ち出され、最後の曲でディランの呼びかけに応じて社会構造から逸脱した若者たちの悲しい末期が示される。 ドイツ赤軍RAFのアンドレアス・バーダー(「ミュンヘン」と同じM・ブライブトロイ)と... >>続きを読む


