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6月17日更新

PTSDを題材にあくまでも“人間”を描いたポール・ハギスの新作 告発のとき

  • 告発のとき
  • イーストウッドの「硫黄島」2部作や「007/カジノ・ロワイヤル」などを手掛ける売れっ子脚本家であり、「クラッシュ」でアカデミー賞最優秀作品賞を受賞したポール・ハギス監督の最新作である。 感動してもらうよりも、大勢でディスカッションしてもらえるような作品を作りたいという彼は、今回イラク戦争からの帰還兵たちに急増しているPTSD(心的外傷後ストレス障害)を題材に選んだ。 行方不明にな... >>続きを読む

ただ日常的な営みを積み重ねることで、生きる力は呼び戻される 西の魔女が死んだ

  • 西の魔女が死んだ
  • これは傷ついた少女の魂が、祖母とのふれあいを通してゆるやかに変容する物語だ。学校に疲れ切った女子中学生が、田舎で暮らす“西の魔女”と呼ばれる英国人祖母のもとで、一夏を過ごす。生きづらさを乗り越える不思議な能力が身につくかもしれないと、少女は半ば信じていたのだろう。しかし、祖母が魔女になるために課したのは、ただ日常的な営みを積み重ねること。それは、しおれた植物を甦らせるのは魔法や超能力ではなく... >>続きを読む

様々な格差や壁を壊していくルコントならではの繊細なドラマ ぼくの大切なともだち

  • ぼくの大切なともだち
  • ルコントの新作の導入部には、この監督のスタイルを逆手にとるような面白さがある。「タンデム」や「列車に乗った男」では、男同士の友情や絆が、含みのある様々なエピソードを通してさり気なく描き出されていた。だが、この新作の場合はそうはいかない。 仕事だけが生き甲斐の美術商フランソワは、10日以内に親友を披露しなければ、高額な壷を失ってしまう。自信に溢れていた彼は、なりふり構わず友だちを探し、誰... >>続きを読む

6月10日更新

懐かしくて新しい多彩なアクションに息を呑む インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

  • インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
  • 19年ぶりで、舞台が冷戦時代の1957年に変わった“インディ・ジョーンズ”は、恒例の巻頭の冒険から驚きと興奮の連続だ。なんとインディは、ソ連の非情な士官イリーナ(ケイト・ブランシェットが怪演)率いる秘密部隊に捕まった状態で現れ、遺跡ではなく、米軍基地でバトルを繰り広げる。しかも敵の目的は、47年に起こったというロズウェル事件で米軍が墜落したUFOから回収した異星人の遺物。新兵器の実験装置や核... >>続きを読む

期待を上回る幸福な余韻に浸らせてくれる JUNO/ジュノ

  • JUNO/ジュノ
  • 「ハードキャンディ」で14歳の現代の赤頭巾ちゃんを演じたエレン・ペイジが、今度は16歳の妊婦に挑戦。ジュノのシニカルさを早口な喋りで端的に表現してみせる彼女は、さすが未来のオスカー女優。ドライに見えても、恋や大人の世界への傷つきやすさを秘めた少女の成長をリアルに演じて、期待を上回る幸福な余韻に浸らせてくれる。その幸福の原動力は、もちろんディアブロ・コーディの脚本。最初は産む気すらなかったジュ... >>続きを読む

クローネンバーグ&ビゴのヤクザな成熟ぶりにとことん酔わされる イースタン・プロミス

  • イースタン・プロミス
  • 設定を変えてのシリーズ化か?と思わせ期待が膨らむクローネンバーグ+ビゴ・モーテンセンの「ヒストリー・オブ・バイオレンス」に続くギャングスターもの第2弾「イースタン・プロミス」。この2人なら今回もただのギャングものに終わるわけがないと誰もが思う。果たして、複雑な情感とミステリーがつづれ織リされて、2人のヤクザな成熟ぶりに我々はとことん酔わされる。 特に今回はロンドンのロシアンマフィアの生... >>続きを読む

6月3日更新

名作旧作へのオマージュがテンコ盛りのエネルギッシュな作品 ザ・マジックアワー

  • ザ・マジックアワー
  • ホテルの内幕を描いた「THE 有頂天ホテル」から2年、三谷幸喜監督・脚本の新作は、架空の港町を舞台に、売れない俳優が映画撮影のためとだまされて、ギャングの抗争に巻き込まれていくコンゲーム風のコメディだ。主要キャストだけで10人、ゲスト俳優を入れると16人にもなる群像ドラマで、テンポのいい演出と予想外の展開で最後までハラハラさせる。売れっ子の佐藤浩市が売れない俳優、妻夫木聡がギャングの子分、と... >>続きを読む

個人の葛藤と狂気、そして既製の価値観が揺らぐ社会や時代も浮き彫りに シークレット・サンシャイン

  • シークレット・サンシャイン
  • 歴史や社会の変化に敏感なイ・チャンドンの新作でまず興味深いのは、この監督が映画のもとになった小説に、光州事件に関わる政治的な寓意を読み取っていることだ。彼は、もはや寓意が成り立たない現代を背景に、あえてそんな小説から物語を紡ぎ出している。 物語の鍵を握るのは、ヒロインの亡夫の故郷である地方都市ミリャン(密陽)だ。ソウルを離れ、亡夫の故郷で再出発しようとした彼女は、息子の命を奪われ、信仰... >>続きを読む

ブルジョワ母子のデカダンな愛のドラマ 美しすぎる母

  • 美しすぎる母
  • 合成樹脂ベークライト(耐熱性に優れ、自動車部品や家電に使われる)の発明により一代で巨万の富を築いた、大富豪ベークランド家に嫁いだ貧しい家庭出身の美しい母バーバラ(ジュリアン・ムーア)と、多感すぎる感受性から“デカダン”な世界へ足を踏み入れていく一人息子アントニー(エディ・レッドメイン)との危うい愛憎関係を描いたドラマ。 トム・ケイリン監督(「恍惚」)は、1946年からニューヨーク、パリ... >>続きを読む

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