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新作映画評論

1211件中 91~99件を表示

4月14日更新

世界を軋ませるその音に、カメラがそっと寄り添っている ミルク

  • ミルク
  • 近年のガス・バン・サントは、オレゴン州ポートランドを拠点にして小さなプロジェクトの親密な映画作りを行ってきた。ほんの些細な空気の変化や主人公たちの気分の高揚や停滞を静かに見つめる繊細な視線が、そこにはある。それは商業映画とはまったく違う時間の中に、私たちを静かに溶け込ませてくれた。 本作は久しぶりの、ハリウッド作品。商業映画の形式に則っての「大衆」に向けての作品である。と同時に、同性愛... >>続きを読む

「ウェディング」を意識しつつ渋い視点を取り入れたデミとルメット レイチェルの結婚

  • レイチェルの結婚
  • 結婚式を挙げるのはレイチェル(ローズマリー・デウィット)で、式を壊しそうになるのは妹のキム(アン・ハサウェイ)だが、実はもうひとり、別の妹が隠れているのではないか。「レイチェルの結婚」を見ながら、私はふと面妖な妄想を抱いてしまった。 話を見れば、主人公はキムだ。中流の白人家庭に育ったキムは麻薬中毒の更生施設から一時的な出所を許され、コネティカット州の自宅に戻ってきた。が、彼女はドラッグ... >>続きを読む

名も無き者たちの言葉によって語られる現代中国の半世紀 四川のうた

  • 四川のうた
  • 名も無き者たちの言葉によって語られる現代中国の半世紀。これは繁栄のため額に汗して働いてきたにもかかわらず、体制の都合で切り捨てられた労働者たちへ捧げる讃歌であり、経済成長という美名の下に失われていくものへの挽歌だ。 ジャ・ジャンクーは、音を立てて変わりゆく時代の節目を生きることに自覚的である。巨大工場に身を捧げてきた8人の労働者の思い出に、時代を体現する流行歌や詩を挿入する厳かな構成。... >>続きを読む

4月7日更新

人と場所は違えども、これは典型的な“ハリウッド映画”である スラムドッグ$ミリオネア

  • スラムドッグ$ミリオネア
  • ムンバイの若者の現在と過去を、英国人監督が描き出す本作には、笑いと涙、夢と冒険、アクションとロマンス、ありとあらゆる要素が詰め込まれている。基軸は、困難に打ち克つサクセスストーリー。そう、人と場所は違えども、これは典型的な“ハリウッド映画”である。 クイズ番組に出演した青年が全問正解を前にして、不正を疑われ司会者に告発される。逮捕された挙げ句、拷問まで受けるのだが、まさかあり得ないと思... >>続きを読む

ストーリーは失速気味だが、シリーズものとしての醍醐味がある クローズZERO II

  • クローズZERO II
  • 前作と同じく、THE STREET BEATSのテーマ曲が流れ、一気に気持ちが高まるものの、次第に醒めてしまう、その理由。前作のクライマックスで、主人公の源治は宿敵・芹沢軍団を制したにも関わらず、彼らも海老塚中トリオも統合しておらず、苛立ちを隠し切れないという、まさにZERO展開に逆走しているからだ。今回は因縁のライバル校・鳳仙学園との抗争を通し、芹沢との距離が縮まり、源治の苦悩も解かれてい... >>続きを読む

かたちだけの民主主義に対する痛烈な風刺 ニセ札

  • ニセ札
  • 木村祐一の初監督作品は、小学校教頭のかげ子が軍国主義の書物を焼却する場面から始まる。戦争は終わったものの、図書室の書架に本はなく、村は貧しく、上からもたらされる民主主義が空白を埋めることはない。 この映画では、ニセ札を作ることが、そんな戦後をどう受け入れ、どう生きるかということと結びつけられている。計画を思いついたブローカーは、人を騙してでも金を儲けようとする。軍国主義から抜けきれない... >>続きを読む

3月31日更新

赤壁のクライマックスは目をみはるダイナミズムだが…… レッドクリフ Part II/未来への最終決戦

  • レッドクリフ Part II/未来への最終決戦
  • ジョン・ウー監督の発言通り、2部構成の映画を黒澤明監督の「七人の侍」にたとえると、半年間にわたる長すぎる“休憩”を挟んでの第2部スタートである。岩代太郎作曲の豪壮なスコア曲が耳に心地よく、NHK大河ドラマのオープニング曲のように、忘れかけていた戦国絵巻の後編へと一気に誘ってくれる。三国志ファンの筆者は、スローモーションを多用したジョン・ウー監督らしい重量感あるアクションを、手に握り拳を作って... >>続きを読む

全編女心を刺激するツボだらけ トワイライト/初恋

  • トワイライト/初恋
  • これは、おそらく今年最大の“女のコ”の大好物。人間の少女ベラと美形バンパイアのエドワードの禁断の恋を通して、愛する者のために自分の命を投げ出せるかが描かれるわけですが、そんなテーマなど忘れるほど、全編女心を刺激するツボだらけ。バンパイアは本来恐るべき存在なのに、彼は特別な一族。この都合よく危険な感じ! エドワードの言葉も行動も韓流ドラマ顔負けの恥ずかしさ。でも、これにも心のなかでは大喜び! ... >>続きを読む

この映画の主人公を悲劇のヒロインとして見るのはちょっとひっかかる ある公爵夫人の生涯

  • ある公爵夫人の生涯
  • キーラ演じるデボンシャー公爵夫人ジョージアナは、ダイアナ元皇太子妃の祖先。ロンドン社交界のファッション・リーダーで活発に政治活動もした元祖セレブリティだ。夫に愛されず結婚生活は不幸、その不満から不倫に走るところなど、ダイアナ妃と境遇が似ている。200年の時を経て、同じ一族の女性2人が似たような悲劇を繰り返したと言えばドラマチックな興味は盛り上がるが、この映画のジョージアナを悲劇のヒロインとし... >>続きを読む

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