新作映画評論 Page1

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12月2日更新

ゴミだらけのハリウッド映画の中でまばゆい輝きを放つ刺激的な傑作 WALL・E/ウォーリー

  • WALL・E/ウォーリー
  • 人類が消え去り、荒れ果てた地球に残されたゴミ処理ロボットのウォーリーが、700年目にして舞い降りた最新鋭の美しきロボットに恋焦がれ、彼女を追って未知なる宇宙へ飛び出した——そんな発端に本編の約半分の時間をかけ、情感豊かに魅せまくる。片言しか喋らないロボットを動きや表情のみで描く技は、ピクサーの表現力の独壇場だ。長い孤独の中で彼は蒐集癖を身につけ、文明の残骸から人間的な温もりを発見しては、情緒... >>続きを読む

ストーンズという大きすぎる素材。「作品」の枠に収めなかった決断を支持する ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト

  • ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
  • 流星と思っていたらいつの間にか恒星に変わり、それでもやはり、いつの日かふたたび流星に戻って去っていくような気がする。40年以上に及ぶローリング・ストーンズの活動を思うと、こんな考えが浮かんで仕方がない。 「シャイン・ア・ライト」を見て、私はその感をさらに深くした。ビートルズが早々と古典になったのに対して、ストーンズは現役を張り続けている。ミックやキースの顔は皺だらけになったが、彼らは噴... >>続きを読む

映画の興奮に事欠かないトー・アクションの決定打 エグザイル/絆

  • エグザイル/絆
  • ここ数年のジョニー・トーの作品のレベルは多作にもかかわらず、世界最高水準を悠々とキープしている。香港映画の低調がいわれて久しいが、作品レベルからいえば現在が黄金期である。それはトーあってのことなのだ。「エレクション」「エレクション2」という、香港黒社会の成り立ちと現在のていたらくを描いた渾身の作品の後の虚脱期に、軽く気晴らしとして脚本なく撮影された「エグザイル/絆」の圧倒的なすばらしさ! 室... >>続きを読む

11月25日更新

緩急自在な話術にキリキリ舞いされる、痛快なピカレスク・ロマン バンク・ジョブ

  • バンク・ジョブ
  • 「世界最速のインディアン」のロジャー・ドナルドソン監督の“グッド・ジョブ”な職人技を堪能できる痛快な犯罪スリラーだ。 ロンドン・ベイカー街にある銀行を襲う愛すべき犯人たちにスポットを当てた“ピカレスク(悪漢)・ロマン”である。当初は、「掘った奪った逃げた」(79/ジョゼ・ジョバンニ監督)などでおなじみの穴掘りによる現金強奪計画が展開され、そのトーンは古風で型通りな“ハイスト(強盗)・ム... >>続きを読む

「スピード・レーサー」の対極にある粗く熱い手触り デス・レース

  • デス・レース
  • 「デス・レース」は「スピード・レーサー」の対極にある。どちらのリメイクも、オリジナル作は荒唐無稽なカーレースものだが、演出の向かった方向は真逆。「スピード・レーサー」は原作以上に現実から離れ、スピードと彩度の限界に挑戦して、レースカーを重力から解放する。「デス・レース」は原作にはない現実味を付加、エンジンを覆う重金属はどこまでもぶ厚く重く、タイヤと地表との摩擦は極限に達し、レースカーは重力に... >>続きを読む

戦慄から始まる、謎めいた教師と生徒の“本気”の物語 青い鳥

  • 青い鳥
  • 重松清の連作短編集に基づくこの映画は、ファースト・シーンから“ただならぬ”緊迫感に満ちている。14歳の少年少女がまっさらな気分で学園生活を始める新学期初日。そこに新任臨時教師がやってくる。バスを降り、校門をくぐり、廊下を歩く。主演俳優は阿部寛だ。しかしカメラが捉えるのは手元や足や背中ばかりで、さっぱり顔が映らない。何やらこれから決闘でも始まりかねない気配。いじめ問題を扱った教育&青春ドラマを... >>続きを読む

11月18日更新

あくどくておかしくてたまらない。毒と機略が地雷のように炸裂する トロピック・サンダー/史上最低の作戦

  • トロピック・サンダー/史上最低の作戦
  • 「地獄の黙示録」からは「ハート・オブ・ダークネス」という副産物が生まれた。もしこの副産物に「ボラット」のサシャ・バロン・コーエンが手を加えたら……。 「トロピック・サンダー」は、思わずそんな妄想を抱かせる映画だ。筋書や芝居やギャグが腹の皮をよじらせるだけではない。話の仕掛けが二重底三重底になっていて、簡単に飽きが来ないどころか、毒と機略とガッツが地雷のように炸裂する。つまり、呆れ返るほ... >>続きを読む

格差や貧困が生み出す暴力性や残酷な現実を乗り越える道を提示 ブラインドネス

  • ブラインドネス
  • メイレレス監督は、サラマーゴの原作と同じように、見えることと見えないことが生み出す現実を徹底的に突き詰めていく。感染者を隔離した収容所にはやがて権力者が出現し、女性が食糧の対価にされる。そんな状況が浮き彫りにするのは、人間の醜さだけではない。権力者はまだ見える世界を引きずり、それを模倣しようとしている。 だがその一方で、見えない者だけが共有できる感覚や感情が生まれる。ただひとりだけ目が... >>続きを読む

17歳、若気のいたりを思い出してしみじみ赤面 俺たちに明日はないッス

  • 俺たちに明日はないッス
  • ヒロインがレイプされるケータイ小説がベストセラーになり、生み捨てに罪悪感もない野良妊婦が出現と小耳にはさむにつれ不安になる今どきの若者の性行動。売春を援交と美化したあたりから「なんか間違ってないか」と感じていたが、そんな不安を一蹴する正しい性春映画が登場した。 主人公は、17歳の高校生3人組。「やりて~」が口癖の比留間とちょっとイケてる峯、パシリのデブ安藤の恋と童貞喪失がメインテーマだ... >>続きを読む

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