村松英子 : ウィキペディア(Wikipedia)

村松 英子(むらまつ えいこ、1938年(昭和13年)3月31日広瀬正浩「村松英子」() - )は、日本の女優・詩人。身長162cm、体重50kg。

東京都出身。本名は南日英子。父は精神医学者の村松常雄、母方の祖父は田部隆次。実兄は文芸評論家の村松剛。兄の友人三島由紀夫の弟子で演劇活動を引き継いでいる「第四章 新劇女優 村松英子」()。再従兄弟に当たる夫の南日恒夫(日本テレビ勤務の技師)は南日恒太郎の孫。娘に女優の村松えり

来歴・人物

東京市淀橋区西大久保(現・東京都新宿区大久保)で誕生。学者一家の家庭に生れ、父・村松常雄の書斎で『マザーグース』『ペロー童話集』などを読み聞かされて育つ。芝居好きの祖母は英子を歌舞伎に連れていくこともあった。

日本女子大学附属豊明小学校の10歳の頃、兄・村松剛の影響で詩に親しみ、毎年夏に避暑に行く信濃追分で兄から『立原道造詩集』を買ってもらったのをきっかけに、自身も詩を書いたりするようになる。

日本女子大学附属中学校・高等学校、日本女子大学英文科を卒業後に、慶應義塾大学大学院英文学科修了著者略歴()。大学院ではエリオットを研究した。

日本女子大学在学中に文学座に入団し、その後、座員に昇格。1956年(昭和31年)に初舞台『女の一生』に出演した。1961年(昭和36年)に再従兄弟の南日恒夫と結婚。同年11月に楽屋当番をしている時、杉村春子に『十日の菊』公演初日の花束を持って来た三島由紀夫と初対面した「出逢いから傍に落ち着くまで」「先生のお傍で」()。

1963年(昭和38年)の「喜びの琴事件」で、三島、中村伸郎らと共に文学座を脱退し、劇団雲を経てグループNLTに所属。英子の資質を認めていた三島に指導を受け、『班女』など三島戯曲の舞台に多数出演した。1968年(昭和43年)には再び三島らと共にNLTを脱退し、劇団浪曼劇場の旗揚げに参加した。

1966年(昭和41年)、第一回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。1971年(昭和46年)1月24日の三島の葬儀に際しては、(本人は初め辞退したが遺族の強い希望で)演劇界代表で弔辞を読んだが嗚咽を抑えきれなかった「三島先生の葬儀」「付記として」()「第八章」()。英子は三島没後にカトリックの洗礼をうけ信者となった。

夫(日本テレビ社員だったがすでに物故している)との間に高齢で出来た2人の子の育児や主婦業などでしばらく演劇活動は休止していたが、1995年(平成7年)から再開。演劇ユニット「サロン劇場」を主宰し演出家でもあり、『近代能楽集』、『鹿鳴館』、『薔薇と海賊』など多くの三島戯曲を公演している鈴木靖子「村松英子」()。娘・村松えりも女優として「サロン劇場」公演に多数出演しており、えり自身も2017年に「サロン劇場 B- side」を立ち上げて英子も出演している。 学生時代より詩作をしており、詩集をはじめ、育児や人生論に関する書籍を数冊出版している。

1983年(昭和58年)より長年、鳥取女子短期大学、北海学園大学、慶應義塾大学での客員講師(鳥取女子短期大学では、1993年に英文科教授に昇格)を歴任し、1993年(平成5年)開館の倉敷市劇場「芸文館」の初代館長を務めた。また、日本会議代表委員『前衛』2007年7月号、日本共産党中央委員会、53-66頁、「〝靖国〟派団体の関係資料」。遠藤悠樹(編)、日本会議の人脈、三才ブックス、2016年。、美しい日本の憲法をつくる国民の会代表発起人を務めた。

主な出演

出典は「三島先生の言葉から」()「戯曲編」()テレビドラマデータベース「村松英子」Drill Spin データベース「村松英子」

舞台

  • 女の一生(1956年) - 布引けいの娘役
  • 守銭奴(1957年) - エリーズ役
  • 班女(1965年、1996年) - 花子役
  • サド侯爵夫人(1965年) - アンヌ役
  • リュイ・ブラス(1966年) - 王妃役
  • 鹿鳴館(1967年) - 朝子役
  • 朱雀家の滅亡(1967年) - 璃津子役
  • 癩王のテラス(1969年) - 第二王妃役
  • 薔薇と海賊(1970年) - 楓阿里子役
  • 館の殺人
  • ベル・ブック・アンド・キャンドル
  • 気紛れ
  • 海を越えて エミーとジョン
  • 葵上(1996年)
  • 卒塔婆小町(1997年)
  • 弱法師(1997年)
  • 熊野(1998年)

映画

  • アラブの嵐(1961年、日活)
  • 怪談(1964年、東宝) - 建礼門院役
  • ここから始まる(1965年、東宝)
  • 日本暗黒街(1966年、東映)
  • 陸軍中野学校 雲一号指令(1966年、大映)
  • 他人の顔(1966年、東宝)
  • 花の宴(1967年、松竹)
  • 育ちざかり(1967年、東宝)
  • 爽春(1968年、松竹)
  • 年ごろ(1968年、東宝)
  • 娘ざかり(1969年、東宝)
  • 砂の器(1974年、松竹大船・橋本プロ ) - 銀座クラブのママ役、ノンクレジット
  • 本陣殺人事件(1975年、ATG)
  • 悪魔が来りて笛を吹く(1979年、東映)
  • 隠密同心 大江戸捜査網(1979年、東宝) - 敬秀尼役

テレビドラマ

  • 一族再会(1960年)
  • NHK連続テレビ小説 あかつき(1963年、NHK) - 佐田千津役
  • 波の塔(1964年、NET) - 結城頼子役
  • 徳川家康(1964年 - 1965年、NET)
  • ぼんたん家族(1965年、NET)
  • 青い山脈(1966年、NTV)
  • 近鉄金曜劇場「愛とこころのシリーズ 女が帰るとき」(1967年2月10日、ABC)
  • 平四郎危機一発 第1話(1967年、TBS)
  • 若き日の高杉晋作(1967年11月30日)
  • 泣いてたまるか 第33話(1967年、ABC)
  • 白い巨塔(1967年、NET)
  • 明治天皇(1967年、NTV)
  • 風 第14話「孤剣春を行く」(1968年、TBS)
  • 三匹の侍 第5シリーズ 第20話「白い幻花」(1968年、CX) - 深雪
  • 女ゆえに(1968年、NTV)
  • NHK劇場「去年の秋」(1968年3月14日、NHK)
  • 大奥 第21話「呪われた肌」(1968年、KTV) - 桂
  • 日本剣客伝(NET)
    • 第2話「小野次郎左衛門」(1968年5月)
    • 第10話「千葉周作」(1968年12月)
  • ローンウルフ 一匹狼 第37話「運命の拳銃」(1968年、NTV)
  • 東京バイパス指令 第5話「恐喝(かつあげ)」(1968年、NTV・東宝)
  • 上方武士道(1969年、NTV) - 冬子内親王
  • ザ・ガードマン(TBS / 大映テレビ室)
    • 第198話「怪談・車に乗った幽霊」(1969年)
  • 怪奇ロマン劇場 第3話「ゆきおんな」(1969年7月19日、NET) - 雪女
  • 特命捜査室 第11話「一匹狼(ローンウルフ)」(1969年、CX)
  • 夫よ男よ強くなれ 第4話「さぁ離婚しましょう」(1969年10月23日、NET・東宝)
  • ゴールドアイ 第12話「密売大組織」(1970年5月1日、NTV) - 佐野ケイ子
  • 遠山の金さん捕物帳 第2話「吹矢場にいた女」(1970年7月19日)- お甲
  • 日本怪談劇場 第13話「怪談・雪女」(1970年9月26日、12ch) - 雪女
  • 大坂城の女(1970年、KTV)
  • 銭形平次 第213話「流人島異聞」(1970年、CX) - お杉
  • 男は度胸(1970年、NHK)
  • 徳川おんな絵巻(1970年、KTV) - ナレーション
  • 柳生十兵衛 第16話「三九郎故郷へ帰る」(1970年) - 美津
  • ぼてじゃこ物語(1971年、NTV/よみうりテレビ制作)
  • 人形佐七捕物帳 第1話「江戸一番のいい男」(1971年、NET・東宝) - お俊
  • 大奥恋物語(1971年、CX) - お登勢
  • NHK大河ドラマ「新・平家物語」(1972年、NHK)
  • 荒野の素浪人 第12話「慕情 赤い谷の女」(1972年、NET) - 雪乃
  • 木枯し紋次郎 第18話「流れ舟は帰らず」(1971年、CX) - おみつ
  • 非情のライセンス(1973年、NET) - 河村志津
  • 氾濫(1974年、NET)
  • 高校教師(1974年、東京12ch・東宝) - 小松原貴子教諭
  • しろがね心中(1975年、TBS)
  • Gメン'75 第7話「女子学生誘拐殺人事件」(1975年、TBS・東映)
  • 伝七捕物帳 (NTV)
    • 第81話「罠を斬った包丁」(1975年)- お和
    • 第109話「舞い降りた鶴」(1976年)- お千代
  • 十手無用 九丁堀事件帖 第13話「死神を追え」(1975年、NTV・東映) - おふさ
  • 女の十字路(1977年)
  • 花のながれ(1977年、TBS)
  • Yの悲劇(1978年)
  • 薔薇海峡 (1978年、TBS)
  • 探偵物語 第5話「夜汽車で来たあいつ」(1979年、NTV)
  • 江戸の牙 第8話「対決! 黒い稲妻」(1979年、ANB)
  • そば屋梅吉捕物帳 第14話「黒い十手に悪の華」(1979年、12ch) - 千代
  • 鬼平犯科帳 第1シリーズ 第21話「引き込み女」(1980年、テレビ朝日 / 東宝) - お元
  • 西遊記II 第14話「鬼女妖怪 狙われた新婚夫婦」(1980年、NTV) - 千手観音
  • 柳生あばれ旅 第18話「涙に散った乱れ雲」(1981年)
  • 土曜ワイド劇場「先妻の亡霊と闘う新妻」(1981年、ANB)
  • 時代劇スペシャル 「日本犯科帳 隠密奉行・久留米編」(1982年、CX)
  • 天守物語
  • ニュードキュメンタリードラマ昭和 松本清張事件にせまる 第13・14回(1984年、ANB) - ナレーション

著書

出典はCiNii Books「村松英子」国会図書館リサーチ「村松英子」

詩集

  • 『ひとつの魔法』 ユリイカ、1960年
  • 『一角獣』 サンリオ出版(現代女性詩人叢書)、1973年

随筆など

  • 『天使とのたたかい 詩人女優の母としての記』 主婦の友社、1979年
  • 『愛はわが家から 村松英子の子育て奮戦記』 講談社、1983年
  • 『私のたったひとつの望いに 女・詩・演劇』 文化出版局、1985年
  • 『貴女への贈りもの 人生で一番大切なこと』 中央書院、1999年
  • 『こころの花 あなたと共に』 講談社、2003年
  • 『三島由紀夫追想のうた 女優として育てられて』 阪急コミュニケーションズ、2007年
  • 『歴史に恋して』万葉舎、2018年

訳書

  • 『世界の愛の詩集』 ルック社、1966年
  • 『わが子を抱きしめ、さとす「一分間のしつけ」』(ジェラルド・E・ネルソン著)三笠書房、1985年

参考文献

  • - 新潮文庫、1996年10月 ISBN 978-4101497112

外部リンク

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