ティモシー・ダルトン : ウィキペディア(Wikipedia)

ティモシー・ピーター・ダルトン(, 1946年3月21日 - )は、イギリスの俳優。

来歴

キャリア

マンチェスターで広告業に就いていた、イギリス人の父親と、アイルランド・イタリア・イギリスの血を引くアメリカ人の母親の元に5人兄弟の長男としてウェールズのコルウィン・ベイで生まれ、ダービーシャーのミルフォードで育つ

子供の頃から演じることに興味があったが、16歳の時『マクベス』の舞台を観て本格的に俳優を志す。高校卒業後は王立演劇学校に入学し、そこで2年学んだ後、バーミンガムの劇団に入団するため学校を去る。それから間もなくテレビ出演を重ねるようになり、1968年『冬のライオン』で銀幕デビューを飾った。

4代目ジェームズ・ボンド

1987年、イギリスの大人気シリーズ映画『007』シリーズの4代目ジェームズ・ボンド役として、シリーズ第15作『007 リビング・デイライツ』と 第16作『007 消されたライセンス』に出演した。ダイアナ妃はワシントンD.C.の英国大使館で『007 リビング・デイライツ』を見た際に、”最もリアルでシリアスなジェームズ・ボンド”と評した。

ロジャー・ムーア(3代目)とは対照的に主な変更点は笑いやセックスは一切無く、友情想いで任務を放棄してまで大事な友人の敵討ちを行い、喫煙者(ヘビースモーカー)となっている。

『007 リビング・デイライツ』の際、プロモートで来日した。『消されたライセンス』でのダルトンのボンドはイアン・フレミングの原作に最も近いとも言われる。その後はテレビ映画への出演が多い。

私生活

1997年、ロシア人(ウクライナ出身)モデルで歌手のオクサナ・グリゴリエヴァとの間に息子アレクサンダーをもうけたが、後に離別。オクサナは2009年、28年間連れ添ったロビン元夫人と離婚したばかりだったメル・ギブソンの恋人となり、ギブソンの娘を出産した。

過去には、ブルック・シールズエリザベス・テイラー、ヴァネッサ・レッドグレイヴ 、ウーピー・ゴールドバーグらと浮名を流している。

趣味は釣り、読書、ジャズ、オペラ、骨董市、オークション、映画鑑賞であり、特に釣りに関しては太平洋周辺での釣りを好んでいる。

マンチェスター・シティFCのサポーターであり、マンチェスター・シティ・スタジアムでチームの観戦をすることがよくある

エピソード

2代目ジェームズ・ボンドのオファーは『女王陛下の007』の時にも受けているが、この時ダルトンは「自分は若すぎる」と言って断っている。また、『007 ムーンレイカー』の後、ロジャー・ムーア(3代目)が引退の意思を示した際、次回作『007 ユア・アイズ・オンリー』のボンド役として、再び彼にオファーが来たが『ココ・シャネル』への出演が決まっており断念した。『007 美しき獲物たち』を最後にムーアは引退したが、ダルトンは舞台で多忙のためピアース・ブロスナン(5代目)にオファーが行くも、ブロスナンは『探偵レミントン・スティール』の契約があり受けられなかった。そこで、ダルトンに3度目のオファーがあり、『リビング・デイライツ』でついに4代目ジェームズ・ボンドを演じることとなった。『消されたライセンス』の次作はイオンプロとMGMの法廷闘争で5年の空白期間が空いた。製作再開時にダルトンはあと1本だけボンド役を望んだ。しかし、プロデューサーアルバート・R・ブロッコリに「あと4,5本は演じて欲しい」と要請されたため「一生がそれだけで終わってしまう」と、丁重に断ったのだというジェームズ・ボンド役続投をなぜ、T.ダルトンは断ったのか?ボンド俳優5人の降板の理由は意外なものだった!

ダルトンはボンドを演じる際、最も原作に近いキャラクターを研究し、撮影現場ではイアン・フレミング作の『007』を読んでいる姿が見られたという。

主な出演作品

映画

公開年邦題原題役名備考吹き替え
1968 冬のライオンThe Lion in Winter フィリップ 不明(TBS版)有川博(LD版)
1970 嵐が丘Wuthering Heights ヒースクリフ 松橋登(テレビ朝日版)
クロムウェルCromwell ルパート王子 (吹き替え版なし)
特別な遊び〜揺れる女Giuochi particolari マーク 日本劇場未公開
1971 クイン・メリー/愛と悲しみの生涯Mary, Queen of Scots ヘンリー・ステュアート
1975 殺しの許可証Permission to Kill チャールズ・ロード
1978 結婚狂奏曲セクステットSextette サー・マイケル・バリントン 日本劇場未公開
1979 アガサ 愛の失踪事件Agatha アーチボルド・クリスティ 家弓家正
1980 フラッシュ・ゴードンFlash Gordon バリン王子 (吹き替え版なし)
1981 ココ・シャネルChanel Solitaire ボーイ・カペル
1985 贖われた7ポンドの死体The Doctor and the Devils トーマス・ロック 日本劇場未公開
1987 007 リビング・デイライツThe Living Daylights ジェームズ・ボンド 小川真司(TBS版)鈴置洋孝(テレビ朝日版)大塚芳忠(DVD/BD版)津嘉山正種(機内上映版)
ハッピー・アニバーサリー007HAPPY ANNIVERSARY 007: 25 YEARS OF JAMES BOND 本人ドキュメンタリー小川真司
1988 この命尽きるまでHawks バンクロフト 日本劇場未公開
1989 007 消されたライセンスLicence to Kill ジェームズ・ボンド 田中秀幸(TBS版)小川真司(TBS版)山寺宏一(テレビ朝日版)大塚芳忠(DVD/BD版)谷口節(機内上映版)
ブレンダ・スターBrenda Starr バジル・セントジョン 小川真司
1990 マスカレード/仮面の愛La putain du roi ヴィットリオ・アマディオ
1991 ロケッティアThe Rocketeer ネヴィル・シンクレア 小川真司(ソフト版、テレビ朝日版)
1997 美容師と野獣The Beautician and the Beast ボリス 日本劇場未公開
アンダーフィールドThe Informant レニー 日本劇場未公開
1999 ブルズ・アイMade Men デックス・ドライヤー保安官 日本劇場未公開不明
2000 エクソシスト トゥルー・ストーリーPossessed ウィリアム・ボーデン テレビ映画(吹き替え版なし)
2001 アメリカン・アウトローAmerican Outlaws アラン・ピンカートン 石塚運昇(ソフト版)不明(Netflix版)
2003 Looney Tunes: Back in Action ダミアン・ドレイク 小川真司
2006 ミス・マープル シタフォードの謎Agatha Christie Marple: The Sittaford Mystery クライヴ・トレヴェリアン テレビ映画
2007 ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-Hot Fuzz サイモン・スキナー 土師孝也
2010 トイ・ストーリー3Toy Story 3 ミスター・プリックルパンツ 声の出演落合弘治
ツーリストThe Tourist ジョーンズ主任警部 仲野裕
2011 ハワイアン・バケーションHawaiian Vacation ミスター・プリックルパンツ 声の出演短編映画 落合弘治
ニセものバズがやって来たSmall Fry
2012 レックスはお風呂の王様Partysaurus Rex
ティンカー・ベルと輝く羽の秘密Secret of the Wings ミロリ 声の出演堀内賢雄
2019 トイ・ストーリー4Toy Story 4 ミスター・プリックルパンツ落合弘治

テレビシリーズ

放映年邦題原題役名備考吹き替え
1979 地上最強の美女たち!チャーリーズ・エンジェルCharlie's Angels Damien Roth 第4シーズン第6話「ジル危うし!怪盗対エンジェル」
1983 ジェーン・エア Jane Eyre エドワード・フェアファックス・ロチェスター ミニシリーズ
1984 ミストラルの娘Mistral's Daughter ペリー ミニシリーズ
1986 愛と復讐のヒロインSins エドモンド ミニシリーズ
1994 スカーレットScarlett レット・バトラー ミニシリーズ
1999 レジェンド・オブ・エジプトCleopatra ユリウス・カエサル ミニシリーズ
2009-2010 ドクター・フーDoctor Who 「時の終わり」Part1およびPart2
2010-2011 CHUCK/チャックChuck アレクセイ・ヴォルコフ / ハートリー・ウィンターボトム 計6話出演土師孝也
2014-2016 ナイトメア〜血塗られた秘密〜Penny Dreadful マルコム卿 計27話出演石塚運昇
2019-2021 ドゥーム・パトロールDoom Patrol ナイルス・コールダー / チーフ 計26話出演佐々木勝彦
2019-2020 ラプンツェル ザ・シリーズTangled: The Series デマニタス卿 計2話声の出演
2022 ザ・クラウンThe Crown ピーター・タウンゼント 第5シーズン第4話「恐ろしい年」佐々木勝彦
2022- 19231923 ドナルド・ウィットフィールド メインキャスト大塚芳忠

日本語吹き替え

『007/リビング・デイライツ』のTBSでの地上波初放映時に「英国の俳優は、独特の表現を伴っていて、明晰なイメージがあるタイプが多い。そういった意味で、滑舌のいい、しっかりとした人を」との理由で小川真司が抜擢されたことで、以降、小川が亡くなるまで多くの作品で担当し、ほぼ専属(フィックス)となっていた。

このほかにも、津嘉山正種大塚芳忠土師孝也田中秀幸鈴置洋孝石塚運昇なども声を当てている。

参照

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/04/18 12:27 UTC (変更履歴
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