ジョス・ウェドン : ウィキペディア(Wikipedia)

ジョセフ・ヒル・ウェドン(、1964年6月23日 - )はアメリカの著作家、脚本家、映画監督、エグゼクティブプロデューサー、俳優。かつては「ウィードン」という表記もあった。

人物

テレビ番組『バフィー 〜恋する十字架〜』、『エンジェル』、『ファイヤーフライ』の脚本家兼制作者としてよく知られている。映画の脚本やコミックの原作もいくつか手がけている。ニューヨーク生まれ。イギリスのウィンチェスター・カレッジを卒業後、映画製作を学ぶためウェズリアン大学に入学し、1987年に卒業している。

経歴

テレビ

ロサンゼルスに移住後、ウィードンは『Roseanne』というテレビシリーズの脚本の仕事を得た。その後数年間は映画用脚本の手直しの仕事をし、再びテレビの世界に戻り、4つのテレビ番組の制作に関わった。自身の手がけた『バフィー 〜恋する十字架〜』、『エンジェル』、『ファイヤーフライ』ではカメオ出演もしており、『ヴェロニカ・マーズ』にもゲスト出演している。2007年には『The Office』という番組でも2エピソードを監督した(「Business School」と「Branch Wars」)。

ウェドンは、父(トム・ウェドン)も祖父(ジョン・ウェドン)もテレビ脚本家として活躍した人物であるため、世界初の第三世代テレビライターなどと称される。

彼の脚本に基づいた映画『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』は不評だったが、ウィードンはこれをテレビ番組として復活させた。『バフィー 〜恋する十字架〜』はカルト的人気を呼んだ。彼が脚本と監督を務めたエピソード「静けさ」は2000年のエミー賞優秀脚本賞にノミネートされた。このシリーズはThe WBネットワークで第5シーズンまで放送され、その後の放送権獲得合戦の結果UPNネットワークで2シーズンを放送した。

『エンジェル』は『バフィー』からのスピンオフ作品で、バフィーのボーイフレンドである吸血鬼を主人公にしたドラマである。企画にはウィードンのほかにバフィーの脚本も書いていたデヴィッド・グリーンウォルトも参加した。ティム・マイナーも重要な部分で関わっている。1999年9月からWBで放送開始され、『バフィー』のすぐ後に放送されるという番組構成になっていた。2001年に『バフィー』がUPNに移ると、『エンジェル』は様々な時間枠で放送されるようになった。最終回の視聴率はバフィーよりも良かった。WBは2004年2月、第5シーズンの途中で打ち切った。

ウェドンがティム・マイナーと企画した『ファイヤーフライ』は2002年にFOXが放送したが、途中で打ち切った。14エピソードのうち11エピソードだけが放送され、しかも放送順序が意図したものとは違っていた。特に初回の2時間特番として企画したエピソード「セレニティー」が最後に放送された。このFOXの仕打ちに関して、ウィードンは二度とFOXとは仕事をしないと述べていた。打ち切り後、ウィードンはファイヤーフライの映画版『セレニティー』の脚本を書いた。ユニバーサル・ピクチャーズがこの制作に乗り出し、ウィードン自身が監督を務め、2005年9月30日に全米公開となった。

2007年8月、かつて『バフィー』や『エンジェル』にも出演していたエリザ・ドゥシュクはFOXとの契約を行った。その直後、ドゥシュクはウィードンと昼食を共にし、彼女を主役とするシリーズのアイデアを話し合った。結果として、ウィードンはFOXで放送されるパイロット版の脚本と監督を務めることを約束した。ウィードンは、「全く新しい知的で協力的な人々」と仕事をすると発表した。2008年5月、FOXはこの番組Dollhouseを2009年1月に放送開始すると発表した。FOXに戻ることについて聞かれ、ウェドンは「彼らは『ファイヤーフライ』のときの人々とは全く違う」と述べている。実際、『ファイヤーフライ』放送当時と比べるとFOXの経営陣が一新されている。このSFアクションドラマ『ドールハウス』は2009年2月から第1シーズンが、同年9月から第2シーズンが放送されたが、そのシーズンで途中打ち切りとなった。

映画

ウェドンは、『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』、『トイ・ストーリー』、『エイリアン4』、『タイタンA.E.』といった映画の脚本を執筆(あるいは共同執筆)した。『トイ・ストーリー』の脚本では、アカデミー賞にノミネートされた。

また、スタッフとして名前は出ていないが、『スピード』、『ウォーターワールド』、『ツイスター』、『X-メン』といった作品で脚本のドラフト版の修正や書き直しなどを行った。ただし、『スピード』以外ではウィードンが書いた部分は最終脚本には残っていない。インタビューではウィードンは残る3作品との関わりを否定している。『エイリアン4』向けに彼が書いた脚本は、監督のジャン=ピエール・ジュネが変えてしまった。『ウォーターワールド』向けの脚本は捨てられ、『X-メン』の最終脚本には彼の書いた部分は2行しか残らなかったIn Focus | August/September 2005 | Serenity Now! Uncut 。バフィーの映画版でさえ、彼の脚本との類似点は少ないJoss Whedon - Web Exclusive | The A.V. Club 。『スピード』の脚本家として名前が出ているグレアム・ヨストによれば、台詞の大部分はウィードンが書いたものだという。

2005年、彼は『セレニティー』の監督・脚本を務め、2006年のヒューゴー賞Best Dramatic Presentation, Long Formを受賞した。2006年1月には映画会社の後援もあり、『セレニティー』を世界各地でチャリティ公開するファンの活動が始まった。収益金はジョス・ウィードンも支援している人権団体Equality Nowに寄付されている。

ウェドンは『ワンダーウーマン』映画版の監督・脚本を務める契約を結んでいたが、2007年2月3日に降板することを公表したWhedonesque : Comments on 12385 : SATIN TIGHTS NO LONGER

2008年には、自主製作で短編のホラー・ミュージカル・コメディ映画『Dr. Horrible's Sing-Along Blog』をインターネット上で発表。この作品で様々な賞を受賞している。

2011年には製作・共同脚本担当(監督、共同脚本:ドリュー・ゴダード)のホラー映画『キャビン』が公開。2012年には監督・脚本を務めた『アベンジャーズ』が公開。

コミック

ウェドンはコミックファンでもあり、ダークホースコミックスで『バフィー』の世界の遠未来23世紀。「Time of Your Life」参照。 を描いた『Fray』の原作も書いている。『Buffy the Vampire Slayer Season Eight』のエピソード「Time of Your Life」でも、この『Fray』の世界に再び戻っている。他にも『聖少女バフィー』シリーズのコミックの原作をいくつも手がけている。

また、『ファイヤーフライ』および映画版『セレニティー』へとつながるコミック『Serenity: Those Left Behind』と『Serenity: Better Days』の原作も書いた(共同執筆)。

マーベル・コミックでは『Astonishing X-Men』の原作を書いていた(2008年に原作をWarren Ellisに引き継いだ)。

フィルモグラフィー

題名 備考
1992 バッフィ/ザ・バンパイア・キラーBuffy the Vampire Slayer 脚本
1994 ゲッタウェイThe Getaway 共同脚本(クレジットなし)
スピードSpeed 共同脚本(クレジットなし)
1995 ウォーターワールドWaterworld 共同脚本(クレジットなし)
トイ・ストーリーToy Story 共同脚本
1997 エイリアン4Alien: Resurrection 脚本
2000 タイタンA.E.Titan A.E. 共同脚本
X-メンX-MEN 脚本(トリートメント)
2001 アトランティス/失われた帝国Atlantis: The Lost Empire 脚本(トリートメント)
2005 セレニティーSerenity 監督/脚本
2011 マイティ・ソーThor ラストシーンのみ監督
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーCaptain America: The First Avenger 共同脚本(クレジットなし)
2012 キャビンCabin 共同脚本
アベンジャーズMarvel's The Avengers 監督/脚本
Much Ado About Nothing 監督/脚本/製作/編集/音楽
2014 イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たちIn Your Eyes 脚本/製作総指揮
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャーCaptain America: The Winter Soldier ラストシーンのみ監督
2015 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンAvengers: Age of Ultron 監督/脚本
2017 ジャスティス・リーグJustice League 監督ザック・スナイダーの途中降板後の後任。/脚本
2021 ザ・ネバーズThe Nevers 監督/脚本/製作/製作総指揮

受賞歴

受賞

  • ネビュラ賞最優秀脚本賞 - 『セレニティー(映画版)』(2006年)
  • ヒューゴー賞 Best Dramatic Presentation - 『セレニティー(映画版)』(2006年)
  • プロメテウス賞特別賞 - 『セレニティー(映画版)』(2006年)
  • アイズナー賞最優秀継続中シリーズ - 『Astonishing X-Men』(2006年)
  • アイズナー賞最優秀新シリーズ - 『Buffy the Vampire Slayer Season Eight』(2008年)
  • アイズナー賞最優秀デジタルコミック - 『Sugarshock!』(2008年)
  • ヒューゴー賞 Best Dramatic Presentation, Short Form - 『Dr. Horrible's Sing-Along Blog』(2009年)

ノミネート

  • アカデミー脚本賞 - 『トイ・ストーリー』(1996年)
  • サターン賞:最優秀脚本賞 - 『トイ・ストーリー』(1996年)
  • プライムタイム・エミー賞脚本賞ドラマ部門 - 『バフィー 〜恋する十字架〜』のエピソード「静けさ」(2000年)
  • ネビュラ賞最優秀脚本賞 - 『バフィー 〜恋する十字架〜』のエピソード「別れ」(2002年)
  • ネビュラ賞最優秀脚本賞 - 『バフィー 〜恋する十字架〜』のエピソード「ワンス モア ウィズ フィーリング」(2003年)

参考文献

関連文献

外部リンク

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