グロリア・スワンソン : ウィキペディア(Wikipedia)

グロリア・スワンソンGloria Swanson, 1899年3月27日 - 1983年4月4日)は、アメリカ合衆国の女優である。サイレント時代に活躍した。

生涯

イリノイ州シカゴにて、スウェーデン系の父親 (Joseph Theodore Swanson) とポーランド系の母親 (Adeline Klanowsky Woodruff) の間に生まれる。出生名はGloria Mae (or May) Josephine Swanson (or Svensson)。プエルトリコ、シカゴ、キー・ウエストなどで育つ。学校を終えた後はデパートで販売員として働くようになる。

特にショービジネスに興味はなかったが、1914年からエキストラとして映画に出演するようになる 。1916年にロサンゼルスに移り、マック・セネットのコメディなどに出演。1919年にパラマウント映画と契約。セシル・B・デミルに見いだされる。身長約150センチと小柄ながら、豪華なセット、衣装を用いたゴージャスな作品で、人気を博す。

週に100万ドル稼ぎ、100万ドル使うスターと呼ばれた。1916年に俳優のウォーレス・ビアリーと結婚するが3年後に離婚。2度目の夫、実業家ソンボーン(Herbert K. Somborn)との間に娘グロリア(Gloria)を出産。出産後もスターとしての人気は衰えず、初めての子持ちのスターでもあった。3度目の夫は、『在りし日のナポレオン』撮影中、フランスで通訳を務めたクードレイエ侯爵アンリ・ド・ラ・ファレーズ(Henry de La Falaise)。貴族と結婚した初めてのハリウッド女優だった(貴族と結婚したポーラ・ネグリと張り合ったと言われる)。

この結婚と同時期に、ケネディ大統領の父親であるジョセフ・P・ケネディと不倫の関係にあったことを、50年後に出版した自伝で初めて明かしたSee, for example, Gloria and Joe: The Star-Crossed Love Affair of Gloria Swanson and Joe Kennedy by Axel Madsen, 1988 (ISBN 0877959463) or Joseph P. Kennedy Presents: His Hollywood Years by Cari Beauchamp, 2009 (ISBN 1400040000)。関係は3年続き、カトリックであるため離婚のできない彼のため、身を引いたという。

4度目にはマイケル・ファーマーという男性と結婚し、2人目の娘ミシェル(Michele)をもうけるが3年で離婚。5番目の夫ジョージ・ウィリアム・デイヴィとは45日間しか共に生活しなかったという。最後の夫となったウィリアム・ダフティ(William Dufty)は作家・脚本家で、彼女の死まで共に暮らした。

1950年のビリー・ワイルダー監督作品『サンセット大通り』において、サイレント時代に活躍し忘れ去られた女優という、彼女自身を投影した役でカムバックした。この作品でゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)を受賞、アカデミー主演女優賞にもノミネートされた。

その後は主にテレビを中心に活動を続けた。遺作は本人(をモデルとした同姓同名の女優)役で出演した映画『エアポート'75』(1974年)。1983年に心臓病により死去。

主な出演作品

公開年邦題原題役名備考
1915 チャップリンの役者His New Job 短編、クレジットなし(速記者役)
1919 夫を変へる勿れDon't Change Your Husband レイラ・ポーター
連理の枝For Better, for Worse シルヴィア・ノークロス
男性と女性Male and Female レディ・メアリー・ラセンビー
1920 何故妻を換へる?Why Change Your Wife? ベス・ゴードン
人間苦Something to Think About ルース・アンダーソン
1921 大事な時The Great Moment ナダ/ナディーン
アナトールThe Affairs of Anatol ヴィヴィアン・スペンサー
銃口に立つ女Under the Lash デボラ
言はぬが花Don't Tell Everything マリアン
1922 夫の商標Her Husband's Trademark ロイス・ミラー
黄金の籠Her Gilded Cage スザンヌ
巨巖の彼方Beyond the Rocks テオドラ・フィッツジェラルド ルドルフ・ヴァレンティノとの唯一の共演作。失われたとされていたが、2004年にオランダで上映用ポジフィルムが発見された
白絹の女The Impossible Mrs. Bellew ベティ
大陸に鳴る女My American Wife ナタリー・チェスター
1923 放埓娘Prodigal Daughters スィフティ・フォーブス
幸福の扉Bluebeard's Eighth Wife モナ
舞姫ザザZaza ザザ
1924 蜂雀The Humming Bird トワネット
焔の女A Society Scandal マージョリー・コーベット
嬲られ者Manhandled テッシー
ありし日のナポレオンMadame Sans-Gêne カトリーヌ
1925 女心The Coast of Folly ナディーン
当り狂言Stage Struck ジェニー
1926 女王蜂The Untamed Lady セントクレア・ヴァン・タッセル
野薔薇Five Manners オーキッド・マーフィー
1927 五つの魂を持つ女The Love of Sunya サンヤ・アシュリング
1928 港の女Sadie Thompson サディ・トンプソン
1929 クィーン・ケリーQueen Kelly キティ・ケリー
トレスパッサーThe Trespasser マリオン・ドネル
1930 陽気な後家さんWhat a Widow! タマリンド・ブルック
1931 恋愛即興詩Indiscreet ジェラルディン・トレント
今宵ひとときTonight or Never ネラ・ヴァゴ
1933 完全な諒解Perfect Understanding ジュディ・ロジャース
1934 空飛ぶ音楽Music in the Air フリーダ
1950 サンセット大通りSunset Boulevard ノーマ・デズモンド ゴールデングローブ賞 受賞
1956 わが息子暴君ネロMio figlio Nerone アグリッピナ
1960 喜劇の王様たちWhen Comedy Was King - ドキュメンタリー
1974 恐怖の殺人蜜蜂Killer Bees Madame Maria von Bohlen テレビ映画
エアポート'75Airport 1975 グロリア・スワンソン

受賞歴

アカデミー賞

ノミネート
1929年 アカデミー主演女優賞:『港の女』
1930年 アカデミー主演女優賞:『トレスパッサー』
1951年 アカデミー主演女優賞:『サンセット大通り』

ゴールデングローブ賞

受賞
1951年 主演女優賞 (ドラマ部門):『サンセット大通り』

日本での伝記関連

  • サイレント・コメディ全史(新野敏也著、1992年、喜劇映画研究会 ISBN 978-4906409013)
  • グロリア・スワンソン自伝(吉野美恵子訳、双葉十三郎監修、1994年、文藝春秋 ISBN 978-4163493503)
  • 〈喜劇映画〉を発明した男 帝王マック・セネット、自らを語る(マック・セネット著、石野たき子訳/新野敏也監訳、2014年、作品社 ISBN 4861824729)

参考文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/11/17 22:53 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「グロリア・スワンソン」の人物情報へ