小山田宗徳 : ウィキペディア(Wikipedia)

小山田 宗徳(おやまだ むねのり、1927年12月14日 - 1986年5月13日)は、日本の俳優、声優である。福島県石川郡石川町出身で、東京府立第六中学校 を経て東京高等学校 (旧制)を1948年に卒業した。

略歴

1951年に俳優座養成所へ三期生として入所し、1954年に卒業「日本映画俳優全集 男優編 キネマ旬報増刊10.23号 No.772」1979年10月23日号 p.138 株式会社キネマ旬報社した。同期に穂積隆信渡辺美佐子らがいた。1960年に小沢昭一らと7人で「劇団俳優小劇場」1954年に、俳優座養成所二期生・三期生の卒業生が「劇団新人会」を結成し、1960年に小沢昭一らによって「俳優小劇場」に分裂する。その後再建するも渡辺美佐子は退団し、劇団新人会は解散。1970年に長山藍子山本學前田昌明らが“第二次「劇団新人会」”を結成し、1994年に「劇団朋友」に改称する。を旗揚げ、小劇場活動で先駆的役割を務めた。1961年に、水谷八重子に招かれて「女の勲章」で新派の舞台に立った。

舞台公演の傍ら1950年代後半からテレビドラマにも活躍の場を広げ、「今日を生きる」「白い南風」などのいわゆる『よろめきドラマ』に出演すると、誠実で落ち着いた雰囲気と風貌が主婦層に高く人気を得た「週刊明星」1961年2月 p.88 集英社。1962年に、主題歌の歌唱も担当した『地方記者』『続 地方記者』(日本テレビ)に主演すると、男性からも支持を得て茶の間の人気者となる「文化運動便覧」p.314 1962年 武蔵書房。

多数のテレビドラマ出演だけでなくラジオドラマ、ナレーション、吹き替えなど声の仕事も多い。龍角散のテレビコマーシャルのナレーションや、ウォルト・ディズニーヘンリー・フォンダラリー・ハグマンなどの日本語版吹き替えを担当し、ヘンリー・フォンダの吹き替えは持ち役となった。1976年にテレビ放送された映画『エスピオナージ』がフォンダの吹き替えを担当した最後である。テレビドラマ『スパイ大作戦』のオープニングで「……頭脳と体力の限りを尽くしこれを遂行する」のナレーションも人気となった。

元来の高血圧と過労が影響して1968年に脳溢血で倒れたが回復。1969年「歌劇 Takarazuka revue (529)」p.126 1969年10月 宝塚クリエイティブアーツに宝塚歌劇団OGの日夏悠理と見合い結婚。2月5日にお見合い、5月3日に婚約、8月9日に結婚というスピード婚だったうえに、女性人気の高い俳優でありながら長らく独身であったことから、女性週刊誌を中心に、独身主義者が挫折して遂に結婚といった報道がなされた。その為か、同年輩の独身男性から「(あなたは独身主義者だと思っていたのに)裏切られた」という抗議の手紙が小山田の元に寄せられたという。それを受けて小山田自身が『諸君!』に、マスコミの勝手なレッテル張りにやんわりと釘を刺す「虚像の〝独身主義〟」と題したユーモラスな一文を寄稿した小山田宗徳が41歳、日夏悠理が31歳。両者ともに初婚で、当時としてはかなり晩婚と思われる年齢だった。。日夏との間には一男一女がある。

1971年に脳血栓で左半身麻痺を患うが、夫人の献身的な支えもあり現役復帰した「婦人倶楽部」1971年10月 p.219-223 講談社「婦人倶楽部」1972年12月 p.237-239 講談社。その後もテレビや舞台の仕事を続けたが、1976年2月に、新劇合同公演「桜姫東文章」の稽古中に体調を崩して降板し「演劇界」1976年 34巻 p.26 日本演劇社パンフレットには権助役として小山田の名が記載されているが、本公演への出演は叶わず、清玄役の菅貫太郎が権助と二役を演じて代役を務めた、1977年末に三度目の発作に襲われて療養を余儀なくされた。

1986年5月13日午後8時40分に、クモ膜下出血のため自宅で享年58歳で死去「キネマ旬報 6月下旬号 No.938」p.105 1986年 キネマ旬報社した。当時はレギュラー出演していた『大都会 PARTII』が日本テレビで再放送されており、最終出演であった31話の最後に追悼のテロップが流れた。

出演作品(俳優)

テレビドラマ

  • ある星の男(1958年、日本テレビ)
  • 東芝日曜劇場 あざのある女(1959年、KRテレビ)
  • ヤシカゴールデン劇場 地球は引受けた(1960年、日本テレビ)
  • お地蔵さんのある街(1960年、TBS)
  • 白い南風(1961年、日本テレビ)
  • ゼロの焦点(1961年、フジテレビ) - 鵜原憲一
  • テレビ指定席 長い髪の女(1961年、NHK)
  • 日産劇場 虞美人草(1961年、日本テレビ)
  • 地方記者(1962年、日本テレビ)
  • 続 地方記者(1962年、日本テレビ)
  • 波紋(1963年、NHK)
  • 東芝日曜劇場 カミさんと私 その12(1963年、TBS) - ※映像が現存する
  • テレビ指定席 テール・ライト(1963年、NHK)
  • 水の炎(1964年、日本テレビ)
  • 虹の設計(1964年、NHK)
  • 風雪 当世書生気質(1964年、NHK) - 桐山
  • グーチョキパー(1964年、フジテレビ)
  • うそ八万騎(1964年、日本テレビ)
  • がいな奴(1965年、フジテレビ)
  • 愛しの太陽(1966年、東海テレビ) - ナレーション
  • 泣いてたまるか(1966年09月25日、TBS)第13話「さよなら敬礼!」
  • 真田幸村(1966年、TBS) - ナレーション
  • NHK劇場 部屋(1967年、NHK)
  • 旅路(1967年、NHK)
  • 戦いすんで日が暮れて(1969年、日本テレビ)
  • ただいま同居中(1970年、TBS) - 一郎
  • 銀河ドラマ 朱鷺の墓(1970年、NHK) - 雁木機一郎
  • 裁きの家(1970年、関西テレビ) - 小田島謙介
  • 大江戸捜査網 第4話 「火を吐く幻の罠」(1970年、12ch)- 一関藩主席家老日下将艦
  • 春の坂道(1971年、NHK大河ドラマ) - 片桐且元
  • 大忠臣蔵(1971年、NET / 三船プロダクション) - ナレーション
  • めだかの歌(1971年、TBS)
  • 銀河ドラマ 炎の旅路(1971年、NHK)
  • 赤ひげ(1973年、NHK)
    • 第32話「退院」 - 木倉又三郎
    • 第46話「駆込み訴え」
    • 第47話「ひぐらし」
  • 太陽にほえろ!(NTV / 東宝)
    • 第59話「生命の代償」(1973年) - 井村太一
    • 第247話「家出」(1977年) - 谷俊
  • 高校教師(1974年、12ch / 東宝) - 坂本紀子の父・康彦
  • 6羽のかもめ(1974年、CX)
  • ふりむくな鶴吉 第2話「暗闇坂」(1974年、NHK)
  • 水戸黄門 第6部 第11話「黄門さまの縁結び -出雲-」(1975年、TBS) - 沢田屋清兵衛
  • 俺たちの朝(1976年、NTV / 東宝) - オッスの父の旧友で母を巡った恋敵・タヌキ
  • NHK少年ドラマシリーズ 快傑 黒頭巾(1976年、NHK)
  • 花王愛の劇場  母の肖像(1977年、TBS/ 国際放映) - 小島三峰
  • 大都会 PARTII 第11話「対決」 - 第31話「殺人計画No.4」(1977年、NTV / 石原プロモーション) - 武井勉課長

映画

  • さらばラバウル(1954年、東宝) - 吉田少尉
  • あすなろ物語(1955年、東宝) - 木原
  • どんと行こうぜ(1959年、松竹) - 生枝新三郎
  • 花影 (1961年) - 語り
  • 競輪上人行状記(1963年、日活) - 鏡味
  • 恐怖の時間(1964年、東宝) - 吉岡記者
  • 飛騨(1966年、日活) - ナレーション
  • 育ちざかり(1967年、東宝) - 一夫
  • ブラック・コメディ ああ!馬鹿(1969年、東宝) - 高井一雄
  • ママいつまでも生きてね(1970年、大映) - 杉山敬吉
  • 喜劇 男売ります(1970年、東宝) - 松崎秀吉
  • ダメおやじ(1973年、松竹) - 南村不二夫

舞台

  • マリアの首(劇団新人会 1959年) -治五郎
  • サウンド・オブ・ミュージック(1965年)「藝能」1965年1月号 p.73
  • オイディプス王(俳優小劇場 1967年) -オイディプス王
  • 日と火と碑と人(1969年)
  • ゲバラ・71・東京(1971年)-ゲバラ
  • 君よ知るや南の国(1975年)-ロタリオ

出演作品(声の出演)

吹き替え

太字は、主役・メインキャラクター。

担当俳優

映画

1971年

  • 柔らかい肌(ピエール・ラシュネ〈〉)※東京12ch版
  • ふるえて眠れ(ドルー〈ジョゼフ・コットン〉)※NHK版

1973年

1974年

1976年

ドラマ

1966年

  • かわいい魔女ジニー(1966年-1970年、トニー(アンソニー・ネルソン少佐)ラリー・ハグマン〉)※NET版

1967年

  • スパイ大作戦(1967年-1973年、ナレーション)※フジテレビ版

1968年

1969年

1973年

  • 刑事コロンボ ※NHK版

海外アニメ

  • ルドルフ 赤鼻のトナカイ(サム)※テレビ版

放映日不明

テレビアニメ

  • バビル2世(1973年、NET) - バビル1世
  • 宇宙戦艦ヤマト(1974年、よみうりテレビ・日本テレビ) - ナレーション

ラジオドラマ

  • 立体放送劇「駆逐艦雷電の告別」(NHKラジオ第1・第2、1966年)
  • 芸術劇場(NHK-FM)
    • 彼らのあいだの屍(1971年)
    • 不思議な日曜日(1973年)
    • 昔こどもだったあなたに(1973年)
  • オリベッティ劇場 怪人二十面相シリーズ(1973年 - 1974年、ニッポン放送)
  • オリベッティ劇場 松本清張シリーズ(1974年、ニッポン放送)
  • ラジオドラマ・播磨灘物語(1975年、KBC・九州朝日放送)

ナレーション

  • 黄色い大地 - La Murag Cinese(イタリア、1958年製作、監督:カルロ・リッツァーニ、製作:レオナルド・ボンツィ、編集:マリオ・セランドレイ)
  • 火山の驚異 - Les Rendez-vous du Diable(フランス、1959年製作、監督・製作:アルーン・タジェフ
  • 海底探検世界一周 - 4 du Moana(フランス、1959年製作、監督:ベルナール・ゴルスキー、ピエール・パスキエ、ロジェ・ルザージュ、セルジュ・アルヌウ、編集:レイモン・ラミー)
  • わが闘争 - Mein Kampf(スウェーデン、1960年製作、監督・製作:トーレ・ショーベルイ、編集:エルウィン・ライザー)
  • 勝者と敗者 続・わが闘争 - Mein Kampf II(スウェーデン、1961年製作、監督・製作:トーレ・ショーベルイ、編集:イングマール・エーベ エリック・ホルム)
  • 革命の河 - IL FIUME DELLA RIVOLTA(イタリア、1965年製作、監督・編集:ティント・ブラス、製作:モリス・エルガス)
  • アフリカ最後の残酷 - Mal D'Africa(イタリア、1967年製作、日本ヘラルド映画 監督・製作:スタニス・ニエボ)

CM

  • 龍角散

その他

  • おじさんおはなししてよ(1964年、NHK)
  • 2時ですこんにちは「小山田宗徳ショー」(1966年 日本テレビ)

音楽

  • EP:涙こらえて/星は流れる(東芝レコード、JP-1367) - 日本テレビドラマ『地方記者』主題歌(1962年)
  • EP:北に南に/青い雨(東芝レコード、JP-1505) - 日本テレビドラマ『続・地方記者』主題歌(1962年)

レコード

歌唱

  • EP:涙こらえて/星は流れる(テレビドラマ『地方記者』主題歌。東芝レコード)
  • EP:北に南に/青い雨(テレビドラマ『続地方記者』主題歌。東芝レコード)
  • LP:『ゲバラ・71・東京』「君は?」(同タイトルの演劇で歌われた曲を収録したアルバム。テイチクレコード)
  • CD:『ゲバラ・71・東京』(同タイトルLPのCD化。発売元:テイチクエンタテインメント、販売元:ディスクユニオン。)

ナレーション、朗読

  • EP:ポリドールこども劇場・レコード付紙芝居シリーズ(日本の民話「」世界の民話「星のふるばん」、芸術教育研究所) - ナレーター
  • LP:ブリトゥン:青少年の管弦楽入門 指揮:ローリン・マゼール(ポリドール・レコード) - ナレーター
  • LP:教育勅語・軍人勅諭・戦陣訓(テイチクレコード、BH-1516)
  • LP:フランク永井:旅情 (ビクター・レコード、1969年) - ナレーター ※第24回文化庁芸術祭参加作品
  • LP:プロコフィエフ:ピーターと狼/マゼール - ナレーター
  • LP:ミニヨン・ミュージカル:宮川泰安井かずみ(歌唱:天地真理峰岸徹、少年合唱団)『君よ知るや南の国』(1975年、CBSソニー) - ナレーター
  • LP:「実音!日大闘争の記録」(日本ビクター、1970年頃、日本盤PROMO)A-1.「手記 中国文学科 - ナレーター

関連項目

以上の6人は「劇団俳優小劇場」の旗揚げメンバーである。

外部リンク

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