高橋典 : ウィキペディア(Wikipedia)

高橋 典(たかはし ただし、1928年 - 1984年4月)は、日本の映画監督、CMディレクターである柿田[1992], p.198, 233.高橋典、東京国立近代美術館フィルムセンター、2014年5月12日閲覧。高橋典、日本映画情報システム、文化庁、2014年5月12日閲覧。高橋典、日本映画データベース、2014年5月12日閲覧。高橋典、KINENOTE, 2014年5月12日閲覧。高橋典、allcinema, 2014年5月12日閲覧。。日本映画監督協会会員で、後に同物故会員。コマーシャルフィルムの代表作は『雨と子犬』(1981年)『映像の先駆者125人の肖像』志賀信夫、岡田芳郎、吉田秀雄記念事業財団、2014年5月12日閲覧。。細かいカットで構成する作風から「カットの典」と呼ばれた。

人物・来歴

1928年(昭和3年)に生まれる。

第二次世界大戦後、日本大学藝術学部に進学、同学卒業後は、フリーランスの助監督として、おもに東宝、新東宝で活動する。1958年(昭和33年)には、石原慎太郎が原作・脚本を書き、監督を手がけた『若い獣』(同年7月12日公開)で石原の助監督を務め、1960年(昭和35年)9月8日に公開された『トップ屋を殺せ』(製作富士映画、配給新東宝)では、石原の脚本を得て、監督としてデビューしている。1961年(昭和36年)8月31日、新東宝は倒産、大蔵貢が富士映画を改組して大蔵映画を設立した後、大蔵が製作、1962年(昭和37年)4月7日に公開した『太平洋戦争と姫ゆり部隊』(監督小森白)では、小森のもとでチーフ助監督を務めている。新東宝の興行部門が独立した新東宝興業(現在の新東宝映画)が製作、1963年(昭和38年)6月22日に公開した長篇記録映画『日本残酷物語』では、石川甫・大山勝美と共同で構成を担当、中川信夫・小森白と共同で監督を務めている田中[1976], p.359.。同作は、日本各地の奇習や風俗を取材したものであった。

その後はCMディレクターに転向、とりわけ、同じく映画界から転向した撮影技師の池田傳一とのタッグは「典傳コンビ」と呼ばれた佐藤[2007], p.332.。1977年(昭和52年)に発表したデンカ・ハードロックのコマーシャルフィルム『空中ダンプ』ではACC賞を受賞し、現在ではCM殿堂入りしているもう一度観たい 日本のCM50年、avex io, 2014年5月12日閲覧。。1981年(昭和56年)に発表したサントリー・トリスのコマーシャルフィルム『雨と子犬』では、撮影技師に宮川一夫、照明技師に佐野武治といった名匠とともに演出を手がけ、カンヌ国際広告映画祭金賞、ACCグランプリ、ADC賞、TCC特別賞を受賞した。コマーシャルフィルムの歴史においては、映画界から来た演出家として、市川崑大林宣彦とならぶ評価を受けている映像をめぐる7夜、東京都写真美術館、2014年5月12日閲覧。。

1984年(昭和59年)4月、死去した。

フィルモグラフィ

映画

監督・構成・助監督等のクレジットについては、公開年月日の右側に付した。国立映画アーカイブなどの所蔵状況についても記す。

  • 『若い獣』 : 監督・原作・脚本石原慎太郎、製作・配給東宝、1958年7月12日公開 - 助監督
  • 『私は貝になりたい』 : 監督・脚本橋本忍、製作・配給東宝、1959年4月12日公開 - 助監督
  • 『トップ屋を殺せ』 : 脚本石原慎太郎、製作富士映画、配給新東宝、1960年9月8日公開 - 監督(デビュー作)
  • 『太平洋戦争と姫ゆり部隊』 : 監督小森白、製作・配給大蔵映画、1962年4月7日公開 - 助監督、133分の上映用プリントをNFC所蔵
  • 『日本残酷物語』 : 製作・配給新東宝興業、長篇記録映画、1963年6月22日公開 - 石川甫・大山勝美と共同で構成/中川信夫・小森白と共同で監督、100分の上映用プリントをNFC所蔵
  • 『はだかの王様』 : 脚色寺山修司、製作日生劇場映画部、1965年発表 - 監督

コマーシャルフィルム

おもな演出の一覧である。

  • 『王貞治 スライディング』、大正製薬・リポビタンD、1965年
  • 『空中ダンプ』、デンカ・ハードロック、1977年
  • 『雨と子犬』、サントリー・トリス、撮影宮川一夫、1981年
  • 『わんぱくでもいい たくましく育ってほしい』、丸大ハム

参考文献

  • 『日本映画発達史 V 映像時代の到来』、田中純一郎、中公文庫、1976年7月10日 ISBN 4122003520
  • 『日本映画監督全集』、『キネマ旬報』第698号、キネマ旬報社、1976年12月24日発行
  • 『日本映画監督協会の五〇年』、柿田清二、日本映画監督協会、1992年
  • 『日本の映画人 - 日本映画の創造者たち』、佐藤忠男、日外アソシエーツ、2007年6月 ISBN 4816920358

外部リンク

  • 高橋典 - 日本映画情報システム (文化庁)
  • 高橋典 - 東京国立近代美術館フィルムセンター

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/12/05 08:11 UTC (変更履歴
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