伊藤比呂美 : ウィキペディア(Wikipedia)

伊藤 比呂美(いとう ひろみ、1955年9月13日 - )は、日本の詩人。東京都板橋区出身『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.442。東京都立竹早高等学校、青山学院大学文学部日本文学科卒業。ポーランド文学者の西成彦は元夫『続・伊藤比呂美詩集』(2011年7月、思潮社)の「自筆年譜」p.135。

経歴

1975年、大学在学中より新日本文学会の文学学校にて阿部岩夫に学ぶ。同年、詩人の岩崎迪子らと詩誌『らんだむ』を創刊。1976年から『現代詩手帖』に投稿をはじめる。1978年、第一詩集『草木の空』でデビューする。同年に第16回現代詩手帖賞を受賞。

のちに詩をやめて小説に移行し、1999年『ラニーニャ』などで一定の評価を得るが、2005年『河原荒草』で、また詩に復帰し、2007年『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』を発表。

1984年より熊本市在住、1997年よりカリフォルニア州に在住しつつ、熊本とカリフォルニア間を往復する。2008年、熊本文学隊を旗揚げ 『続・伊藤比呂美詩集』(2011年7月、思潮社)の「自筆年譜」および『女の一生』(2014年9月、岩波書店)の「或女の一生」を参照した。。2011年10月1日より熊本学園大学招聘教授。2018年4月1日から2021年3月まで早稲田大学文学学術院(文化構想学部)教授。2021年4月より法政大学大学院講師。

受賞・候補歴

  • 1978年 - 第16回現代詩手帖賞受賞。
  • 1993年 - 『家族アート』で第6回三島由紀夫賞候補。
  • 1998年 - 『ハウス・プラント』で第119回芥川龍之介賞候補。
  • 1999年 - 『ラニーニャ』で第121回芥川龍之介賞候補、『ラニーニャ』で第21回野間文芸新人賞受賞。
  • 2002年 - 『ビリー・ジョーの大地』で第49回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞。
  • 2006年 - 『河原荒草』で第36回高見順賞受賞。
  • 2007年 - 『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』で第15回萩原朔太郎賞受賞。
  • 2008年 - 『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』で第18回紫式部文学賞受賞。
  • 2015年 - 第5回早稲田大学坪内逍遥大賞受賞。
  • 2019年 - 第2回種田山頭火賞受賞。
  • 2020年
    • 『なっちゃんのなつ』で第67回産経児童出版文化賞美術賞受賞。
    • チカダ賞受賞。
  • 2021年 - 『道行きや』で第62回熊日文学賞、第12回香梅アートアワード受賞。

著書

単著

  • 『草木の空』(1978年7月、アトリエ出版企画)
  • 『姫』(1979年8月、紫陽社)
  • 『伊藤比呂美詩集』(1980年9月、思潮社)
  • 『青梅』(1982年7月、思潮社→1988年8月、集英社文庫)
  • 『感情線のびた』(1984年7月、弓立社)
  • 『テリトリー論II』(1985年4月、思潮社)
  • 『週刊本34 知死期時 近松馬琴と南北と』(1985年6月、朝日出版社)
  • 『良いおっぱい悪いおっぱい』(1985年11月、冬樹社→1992年7月、集英社文庫)
    • 『良いおっぱい悪いおっぱい【完全版】』(2010年8月、中公文庫)
  • 『おなか ほっぺ おしり』(1987年10月、婦人生活社→1993年11月、集英社文庫)
  • 『伊藤比呂美詩集』(1988年11月、思潮社、現代詩文庫)
  • 『おなか・ほっぺ・おしりそしてふともも』(1989年3月、婦人生活社→1996年9月、集英社文庫)
  • 『主婦の恩返し』(1990年12月、作品社)
  • 『家族アート』(1992年7月、岩波書店)
  • 『わたしはあんじゅひめ子である 伊藤比呂美詩集』(1993年8月、思潮社)
  • 『コドモより親が大事』(1993年9月、婦人生活社→1997年6月、集英社文庫)
  • 『居場所がない!』(1996年10月、朝日新聞社→1999年4月、朝日文庫)
  • 『あーあった』(1998年11月、福音館書店)絵本/絵・牧野良幸
  • 『ラニーニャ』(1999年9月、新潮社→2016年5月、岩波現代文庫)
  • 『伊藤ふきげん製作所』(2000年8月、毎日新聞社→2004年1月、新潮文庫)
  • 『またたび』(2000年11月、集英社)
  • 『万事OK』(2002年7月、新潮社)→『人生相談万事OK!』(2008年6月、ちくま文庫)
  • 『おめめ とじてね』(2003年1月、福音館書店[こどものとも0.1.2.通巻94号])絵本/絵・ながさわまさこ
  • 『なっちゃんのなつ』(2003年9月、福音館書店[がかくのとも通巻414号])絵本/絵・片山健
  • 『日本ノ霊異ナ話』(2004年3月、朝日新聞社→2007年2月、朝日文庫)
  • 『ウッサとまほうのことば』(2004年5月、メタローグ)絵本/絵・acco
  • 『ラヴソング』(2004年7月、筑摩書房)
  • 『おなか ほっぺ おしり トメ—末っ子のトメが加わって究極の最終完結編』(2004年10月、PHP研究所)
  • 『レッツ・すぴーく・English』(2005年5月、岩波書店)
  • 『河原荒草』(2005年10月、思潮社)
  • 『ミドリノオバサン』(2005年11月、筑摩書房)
  • 『コヨーテ・ソング』(2007年5月、スイッチパブリッシング)
  • 『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(2007年6月、講談社→2011年5月、講談社文庫→2022年7月、講談社文芸文庫)
  • 『あのころ、先生がいた』(2007年12月、理論社)
  • 『女の絶望』(2008年9月、光文社→2011年3月、光文社文庫)
  • 『読み解き「般若心経」』(2010年1月、朝日新聞出版→2013年8月、朝日文庫)
  • 『続・伊藤比呂美詩集』(2011年7月、思潮社 現代詩文庫)
  • 『たどたどしく声に出して読む歎異抄』(2012年4月、ぷねうま舎)
  • 『人生相談 比呂美の万事OK』(2012年5月、西日本新聞社→2022年3月、光文社文庫)
  • 『たぬき』(2012年9月、福音館書店[ちいさながかくのとも通巻126号])絵本/絵・片山健
  • 『閉経記』(2013年1月、中央公論新社→2017年6月、中公文庫)
  • 『犬心』(2013年6月、文藝春秋→2016年2月、文春文庫)
  • 『父の生きる』(2014年1月、光文社→2016年6月、光文社文庫)
  • 『木霊草霊』(2014年5月、岩波書店)
  • 『女の一生』(2014年9月、岩波書店)
  • 『切腹考』(2017年2月、文藝春秋→2022年2月、文春文庫)
  • 『ウマし』(2018年3月、中央公論新社)
  • 『たそがれてゆく子さん』(2018年8月、中央公論新社→2021年11月、中公文庫)
  • 『道行きや』(2020年4月、新潮社)
  • 『ショローの女』(2021年6月、中央公論新社)
  • 『伊藤比呂美の歎異抄』(2021年7月、河出書房新社)
  • 『いつか死ぬそれまで生きる』(2021年11月、朝日新聞出版)

共著

  • 『靴をはいた青空〈3〉詩人達のファンタジー』(1981年12月、出帆新社)田村隆一、岸田衿子、鈴木志郎康岸田今日子、矢川澄子との共著
  • 『女のフォークロア』(1986年11月、平凡社)宮田登との共著
  • 『テリトリー論I』(1987年3月、思潮社)荒木経惟との共著
  • 『パパはごきげんななめ』(1989年3月、作品社→1992年7月、集英社文庫)西成彦との共著
  • 『恋愛微妙相談 男もつらいが、女もつらい』(1989年6月、徳間書店)荒川洋治、ねじめ正一との共著
  • 『魔法の鏡のなかへ』(1989年7月、思潮社)平田俊子、榊原淳子、諏訪優、鈴木志郎康、さとう三千魚との共著
  • 『のろとさにわ』(1991年12月、平凡社→1995年11月、平凡社ライブラリー)上野千鶴子との共著
  • 『あかるく拒食 ゲンキに過食』(1992年3月、平凡社)斎藤学との共著
  • 『おなかほっぺおしり ポーランドゆき』(1994年11月、婦人生活社)西成彦との共著
  • 『家庭の医学』(1995年3月、筑摩書房)西成彦との共著
  • 『手・足・肉・体―Hiromi 1955』(1995年8月、筑摩書房)石内都との共著
  • 『わたしにとって親とは?』(1997年4月、ポプラ社)新井満、太田治子との共著
  • 『なにたべた?』(1999年10月、マガジンハウス→2011年1月、中公文庫)枝元なほみとの共著
  • 『死を想う われらも終には仏なり』(2007年5月、平凡社新書→新版2018年7月)石牟礼道子との共著
  • 『漫画がはじまる』(2008年6月、スイッチ・パブリッシング)井上雄彦との共著
  • 『あかるく拒食 ゲンキに過食 リターンズ』(2011年10月、平凡社)斎藤学との共著
  • 『先生!どうやって死んだらいいですか?』(2014年2月、文藝春秋)山折哲雄との共著
  • 『禅の教室 坐禅でつかむ仏教の真髄』(2016年3月、中央公論新社)藤田一照との共著
  • 『先生、ちょっと人生相談いいですか?』(2018年10月、集英社インターナショナル)瀬戸内寂聴との共著
  • 『ふたつの波紋』(2022年2月、文藝春秋)町田康との共著

編著

  • 『石垣りん詩集』(編・解説、2015年11月、岩波文庫)

訳書

  • 『お母さんは……』(1977年8月、詩の世界社、シブ・シダリン・フォックス著、渥美育子訳の下訳)
  • 『ラ・フォンテーヌ寓話』(1981年5月、白泉社)
  • 『アフロ・アメリカン・ストーリ/原題 Zajota and the Boogie Spirit』(1989年、パンドラ配給、アヨーカ・チェンジーラ監督、映画字幕)
  • 『月にあいにいったアギサ』(1996年1月、福音館書店)パプアニューギニア民話の翻訳絵本/絵・斎藤隆夫
  • 『現代語訳 樋口一葉・にごりえ他』(1996年12月、河出書房新社)
  • 『にごりえ 現代語訳・樋口一葉』(2004年12月、河出文庫)
  • 『きみの行く道』(1999年6月10日、河出書房新社、ドクター・スース著→2008年2月全面改訳版)
  • 『キャット イン ザ ハット』(2001年1月、河出書房新社、ドクター・スース著)
  • 『ビリー・ジョーの大地』(2001年3月、理論社、著)
  • 『11の声』(2003年8月、理論社、カレン・ヘス著)
  • 『ふしぎのたね』(2007年5月、福音館書店、ケビン・ヘンクス著)
  • 『今日』(2013年2月、福音館書店、ニュージーランドの子育て支援施設に伝わる詩より/絵・下田昌克
  • 『リフカの旅』(2015年2月、理論社)西更との共訳
  • 『新訳 説経節 小栗判官・しんとく丸・山椒太夫』(2015年2月、平凡社)
  • 『日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集』(池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08、2015・9、河出書房新社)今昔物語は福永武彦訳、宇治拾遺物語は町田康
  • 『能・狂言/説経節/曾根崎心中/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵』(池澤夏樹=個人編集 日本文学全集10、2016・10、河出書房新社)能・狂言は岡田利規訳、曾根崎心中はいとうせいこう訳、菅原伝授手習鑑は三浦しをん訳、義経千本桜はいしいしんじ訳、仮名手本忠臣蔵は松井今朝子訳
  • 『しあわせをさがしている きみに』(2021年7月、ほるぷ出版、エヴァ・イーランド著)
  • 『かなしみがやってきたら きみは』(2019年10月、ほるぷ出版、エヴァ・イーランド著)

テレビ番組

出演

  • 男子禁制(LaLa TV)
    • 第1回 男子禁制#1「恋愛のカタチI・セックスレス」(2009年7月、期間中12回放映)
    • 第2回 男子禁制#2「恋愛のカタチII・不倫」(2009年7〜8月、期間中12回放映)
    • 第3回 男子禁制#3「家族のカタチIシングルマザー」(2009年8月、期間中12回放映)
    • 第4回 男子禁制#4「家族のカタチII子どものしつけ」(2009年8月、期間中12回放映)
    • 第5回 男子禁制#5「後悔しない離活」(2009年)
    • 第6回 男子禁制#6「婚姻制度は必要か」(2009年)
    • 第7回 男子禁制#7「おひとりさまは孤独か?」(2009年)
    • 第8回 男子禁制#8「熟年離婚の不安と性」(2009年)
    • 第9回 男子禁制#9「面白い!女のカラダ」(2009年)
    • 第10回 男子禁制#10「カラダとココロの関係」(2009年)
    • 第11回 男子禁制#11「性欲」(2009年12月、期間中14回放映)
    • 第12回 男子禁制#12「セックスのトラウマ」(2009年12月、期間中13回放映)

ドキュメンタリー

  • こころの時代「わたしの言葉で語るお経〜詩人 伊藤比呂美」(2021年11月14日、NHK Eテレ)

出典

参考文献

外部リンク

  • - 伊藤製作所「豆畑支所」(中沢けい公式サイト「豆畑の友」より)

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