イザベル・アジャーニ : ウィキペディア(Wikipedia)

イザベル・ヤスミン・アジャーニ(アジャニー)(Isabelle Yasmine Adjani 発音例1発音例2, 1955年6月27日 - )は、フランスの女優。

これまでセザール賞の主演女優賞を5度受賞しており、フランス映画史上最多記録。アカデミー賞には2度ノミネートされている。2010年にレジオンドヌール勲章を、2014年に芸術文化勲章を受勲した。

来歴

生い立ち

フランス・パリ17区出身。父親はアルジェリア人、母親はドイツ人。14歳のときにスカウトされて女優の道を歩むようになる。

キャリア

1970年に映画デビュー。コメディ・フランセーズに所属し、舞台に立ったこともある。

1974年シュザンヌ・ビアンケッティ賞を受賞した。19歳のときに主演した『アデルの恋の物語』で、情熱の余り狂気に陥ってゆく主人公を演じて高い評価を得た。『カルテット』と『ポゼッション』でカンヌ国際映画祭女優賞を、『カミーユ・クローデル』でベルリン国際映画祭女優賞を受賞。

さらにカンヌ国際映画祭コンペディション部門の審査員長を2度務めており、1997年には今村昌平にパルム・ドールをもたらした。

これまでセザール賞の主演女優賞を5回受賞しており、フランス映画史上最多記録。『アデルの恋の物語』と『カミーユ・クローデル』でアカデミー主演女優賞にノミネートされたこともある。

1983年にはセルジュ・ゲンズブールプロデュースにより、歌手デビューを果たしている。

2016年には、第16回マラケシュ国際映画祭・トリビュート(功労賞)を受賞。

私生活

フランス語の他に英語・ドイツ語に堪能。

ゴダールの作品を突然降板したり、一度断った役を他の女優から奪い返したなどのスキャンダルも多い。マスコミが嫌いで、特に勝手に写真を撮られることを非常に嫌い、カンヌでパパラッチのカメラを壊したこともあるという。

1979年撮影監督ブリュノ・ニュイッテンとの間に男児をもうける。『イシュタール』(1987年)で共演したウォーレン・ベイティとのロマンスも知られている。1995年、俳優のダニエル・デイ=ルイスとの間に男児をもうける。その後ミュージシャンのジャン・ミッシェル・ジャールと交際したが、別れている。2002年の『イザベル・アジャーニの 惑い』出演をきっかけに共演のスタニスラス・メラールと交際していたが破局。

主な出演作品

公開年邦題原題役名備考
1970 Le Petit Bougnat ローズ 日本未公開 (タイトルの意味はこちらを参照 )
1972 夏の日のフォスティーヌFaustine et le bel été カミーユ
1974 平手打ち La gifle イザベル TV5Mondeで2012年10月に日本語字幕付きで放映
1975 アデルの恋の物語 L'histoire d'Adèle H. アデル・ユゴー 第48回アカデミー賞 主演女優賞 候補セザール賞 主演女優賞 候補
1976 テナント/恐怖を借りた男 Le Locataire ステラ VHS発売
バロッコ Barocco ロール セザール賞 主演女優賞 候補
イザベル・アジャーニの女泥棒 Violette et François ヴィオレット VHS発売
1979 ザ・ドライバー The Driver ザ・プレイヤー
ノスフェラトゥ Nosferatu: Phantom der Nacht ルーシー・ハーカー
ブロンテ姉妹Les Soeurs Brontë エミリー・ブロンテ
1980 Clara et les Chics Types クララ 日本未公開
1981 カルテットQuartet マーリヤ・ゼッリ カンヌ国際映画祭 女優賞 受賞
ポゼッション Possession アンナ/ヘレン カンヌ国際映画祭 女優賞 受賞セザール賞 主演女優賞 受賞
パリ風亭主操縦法 L'année prochaine... si tout va bien イザベル 映画祭(招待制)上映VHS題「イザベル・アジャーニ 抱きしめたい」
1982 イザベル・アジャーニ 炎のごとくTout feu, tout flamme ポリーヌ VHS題
Mortelle randonnée カトリーヌ
アントニエッタ Antonieta アントニエッタ 映画祭(招待制)上映VHS発売
殺意の夏 L'été meurtrier エリアーヌ セザール賞 主演女優賞 受賞
1985 サブウェイ Subway エレナ セザール賞 主演女優賞 候補
1987 イシュタール Ishtar シーラ
1988 カミーユ・クローデルCamille Claudel カミーユ・クローデル ベルリン国際映画祭 女優賞 受賞セザール賞 主演女優賞 受賞 第62回アカデミー賞 主演女優賞 候補
1993 可愛いだけじゃダメかしら Toxic Affair ペネロペ
1994 王妃マルゴ La Reine Margot 王妃マルゴ セザール賞 主演女優賞 受賞
1996 悪魔のような女 Diabolique ミア
1998 パパラッチ Paparazzi 本人役
2002 愛のはじまり La repentie シャルロット/レイラ
イザベル・アジャーニの 惑いAdolphe エレノール カブール・ロマンチック映画祭最優秀女優賞受賞
2003 ボン・ヴォヤージュBon voyage ヴィヴィアンヌ
イブラヒムおじさんとコーランの花たち Monsieur Ibrahim et les fleurs du Coran ザ・スター
2008 スカートデーLa journée de la jupe ソニア・ベルジュラック セザール賞 主演女優賞 受賞TV5Mondeで2012年10月日本語字幕付きで放映
2009 マムートMammuth フランス映画祭で上映
2011 ザ・フォースDe force クララ・ダミコ警視
2012 David et Madame Hansen ハンセン・ベルクマン夫人
2016 Carole Matthieu
2022 苦い涙Peter von Kant シドニー・フォン・グラーゼナプ
Mascarade マルタ役
Diane de Poitiers ディアーヌ・ド・ポワチエ

日本語参考文献

  • 梶原和男(責任編集)『イザベル・アジャーニ 異郷の妖精、情熱のヒロイン』(デラックスカラーシネアルバム 27)芳賀書店、1987年、ISBN 4826105274 C0074
  • 赤井励著『アジャーニ・ノート』青弓社、1992年、ISBN 4787270346 C0074 P2060E

外部リンク

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