三留理男 : ウィキペディア(Wikipedia)

三留 理男(みとめ ただお、1938年12月1日『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.492 - 2022年3月22日)は、日本の報道写真家。国連から恒久IDカードを発行された世界でも数少ないジャーナリストの一人。

人物

1938年、日本統治下の朝鮮北部・沙里院(現在は北朝鮮・黄海北道沙里院市)に生まれる。1948年に長崎県佐世保市に引き揚げる。山口県立萩高等学校在学中に、元朝日新聞のカメラマンであった角川政治に師事、写真を学ぶ。

1958年に日本大学藝術学部写真学科に入学。在学中の1961年には写真集「Document 小児マヒの記録」(法政大学出版局)を出版した。同年には初の個展「どんづまり―筑豊の女たち」を開催し、各方面より高い評価を得る。

その後、日本大学藝術学部写真学科を中退。1960年代半ばより報道写真家としてアフリカ・ギニアの部族を取材する。また、パレスチナ、インドシナ三国の国際紛争を取材する。

三里塚闘争(成田空港問題)の活動にも参加しており、1968年3月31日に成田市街地で機動隊とデモ隊が激しく衝突した第3次成田デモ事件などを取材している。三里塚芝山連合空港反対同盟(反対同盟)も制作に参加した映画『襤褸の旗』では制作にも携わった。現在でも反対同盟の北原派反対同盟は「北原派」「旧熱田派」「小川派」などに分裂している。主催の映画上映会で話をすることがある。アジア・アフリカを中心に70カ国以上を取材しているが、成田空港の使用は避けている。

1981年に『アコロ「食うものをくれ!!」』(集英社)を出版。ケニアの西北部、トルカナ地方で飢餓に苦しむ人々の姿をルポルタージュした写真は人々に大きな衝撃を与えた。同年、毎日新聞で発表した「ケニア飢餓前線」は東アフリカ救済キャンペーンの契機となった。

『国境を越えた子供たち』(集英社)をはじめとする一連の作品で、世界の様々な国境線上の状況を、強い問題意識と共感を持って取材した作品は反響を呼んだ。この功績が認められ、1982年に第一回土門拳賞を受賞した。

1988年、長年のアジア・アフリカでの取材活動に対し、第4回アジア・アフリカ賞受賞を受賞。

1997年、『辺境の民—アジアの近代化と少数民族』で第9回アジア・太平洋賞特別賞受賞。

略歴

  • 1938年、朝鮮・黄海道沙里院(現:朝鮮民主主義人民共和国黄海北道沙里院市)で生まれる。
  • 1948年、佐世保に引き揚げる。
  • 1958年、日本大学藝術学部写真学科に入学
  • 1960年代中頃よりフリーランスとして活動
  • 1988年、毎日新聞特別嘱託。
  • 2022年3月22日、前立腺がんのため東京都渋谷区の介護施設で死去。。

受賞歴

  • 1982年、第1回土門拳賞受賞
  • 1988年、第4回アジア・アフリカ賞受賞
  • 1997年、第9回アジア・太平洋賞特別賞受賞

作品リスト

  • 『Document 小児マヒの記録』(法政大学出版局)
  • 『アコロ「食うものをくれ!!」』(集英社)
  • 『辺境の民—アジアの近代化と少数民族』(弘文堂)
  • 『飢餓』(光文社)
  • 『サラーム』(毎日新聞社)
  • 『チュイポン』(小学館)
  • 『望郷』(東京書籍)
  • 『満州棄民』(東京書籍)
  • 『カンボジア0からの出発 サバイ! サバイ!』(集英社)
  • 『地雷』(草の根出版会)
  • 『国境を越えた子供たち』(集英社)
  • 『悲しきアンコール・ワット』(集英社)
  • 『望郷-皇軍兵士いまだ帰還せず』(ミリオン出版)
  • 『辺境の民—アジアの近代化と少数民族』(弘文堂)
  • 『シャッター切ってアジアを食す』(講談社)
  • 『地雷:1億1000万個の悪魔 アジアを歩く』
  • 『ジミーとジョージ—海を越えた国際児たち』
  • 『チュイ・ポン—助けて!』
  • 『記録抗日戦—生きている証人 三留理男・中国からの報告』
  • 『サラーム—平和を!』
  • 『見る。書く。写す。—天下縦横無尽』
  • 『華僑—海水の至る所に華僑あり』
  • 『麻薬(ヘロイン)』
  • 『カンボジア 希望の川 子供たちの詩』
  • 『国語事件殺人辞典』
  • 『大木よね—三里塚の婆の記憶』
  • 『三里塚-成田闘争の記憶』
  • 『Document中国—三留理男・写真報告』
  • 『カメラはなにを見たか—国をおわれた子どもたち』
  • 『パレスチナ』
  • 『愛は地球を救う—Africa 24時間テレビ・チャリティ写真集』 他

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/02/05 21:30 UTC (変更履歴
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