
野心あふれる若き映像作家が、撮影クルーを率いてオレゴン州の深夜の町に降り立つ。彼の目的は、“呪われたホテル”として悪名高い廃墟に侵入し、潜入ルポ形式の傑作恐怖ドキュメンタリーを撮り上げることだった。
総勢6名のクルーは、管理人のものものしい警告を無視してホテルに入り込むが、ある行為をきっかけに、館内は得体の知れない邪悪な雰囲気に飲み込まれ、外部へと続くドアや窓が封じられてしまう。1人、また1人と命が奪われていくなか、
迷宮と化したホテルから脱出できるのは果たして誰なのか!?
“カメラマン視点での脱出劇”という大胆なアイディアを、斬新な映像感覚とリアルタイムで進行する脚本で撮り上げたのは、70年生まれのアンソニー・ピアース監督。劇場長編は初ながら、これまでにショートフィルムを数多く手掛け、
08年にはノースウェスト映画祭新人賞を受賞している。本作では、そうしたCMやPVに関わってきた映像作家らしい独創的かつディテールにこだわった映像感覚が実を結び、究極の密室スリラーが完成した。

野心あふれる若き映画監督。これまでにもオカルトや超自然現象をレポートする自主製作映画をネットで公開してきたが、大成功までには至っていない。 ジャンプアップのきっかけとして、“呪われたホテル”の潜入ルポ映画を企画しクルーを集めるが……。 傑作を撮るためなら、どんな手を使っても構わないというエゴイスト。
シェリーの恋人で、映画のプロデューサーでもある知的な女性。自信過剰ながら実務能力に乏しいシェリーに代わって、スタッフの手配やロケ撮影の申請、 製作費用の管理などあらゆる裏方仕事を切り盛りする。シェリーの才能に惚れ込みつつも、いつまでもブレイクしない彼との今後について、悶々とした悩みを抱えている。
カメラマンを務めるシェリーの弟。映画監督としてのキャリアに危機感を持っている兄とは違い、まるで緊張感のない態度で撮影に臨む。お気楽な性格から、 何度か兄を茶化すが、そうした態度がシェリーをいらつかせている。今回同行するマリアに好意を持ち、なんとか仲良くなろうとするが……。
ペイジが雇い入れた音響担当の技師。専門分野は、据え置きカメラの設置と録画など多岐におよんでいる。仕事に対するプロ意識は高いが、人見知りなのかマイペースなのか、 クルーから孤立して行動しがちで、場の空気を読まない悪ふざけを繰り出しては周囲の反感を買う。クルー内では一番の大男。
ジャクソンのパートナーで音響助手。以前からシェリーのネットムービーの大ファンで、シェリーと仕事ができる嬉々とした態度がジャクソンをいらつかせる。 ジャクソンと自分との関係を「スクービー・ドゥー」のキャラクターの関係になぞらえるなど、オタク的な趣味も持ち合わせている。
ネイティブ・アメリカンの血を引く女性で、霊媒術師。モデル並みのスタイルとエキゾチックな美貌の持ち主で、ルイスから熱い視線を送られる。 簡単な降霊術を行なうだけとの話でシェリーの撮影クルーに同行するが、館内の不気味な雰囲気から降霊術を拒否。シェリーに“身内の医療費の工面”という足元を見られて……。
廃墟となったホテルの管理人。コワモテの大男で、勝手にシェリーとホテル解錠の契約を交わした息子に代わって、契約の無効と警告を伝えにやってくる。 意地でも入り込みたいシェリーとひと悶着を起こすが……。

カメラマン視点とリアルタイム進行に加えて、さらなる臨場感を実現するために準備されたのは、実際の“廃墟”を撮影現場にすること。
オレゴン州に実在する心霊スポットさながらのいわくつきホテル「ホテル・レバノン」が、ロケ現場として選ばれているのだ。
つまり、映像に映っているものは、すべて“ホンモノ”。破損した扉や天井、汚れた部屋などがかもし出す、長年封鎖されていた雰囲気や、
なにかが潜む独特の空気感がそのまま映像に収録され、得体の知れない恐怖を盛り上げるのに重要な役割を果たしている。
事実、深夜の撮影中には、スタッフの後を追う足音や、誰もいない部屋のドアが勝手に閉まるなどの不可思議な現象が頻発したとのこと。
陽が落ちると地元の人々はまったく寄りつかなくなる古いホテルを舞台にしたことで、「スピーク」が描く恐怖にリアリティが増し、新感覚の戦慄が加わったことは言うまでもない。

「CUBE」で大きく注目され、「ソウ」シリーズで開花した“密室からの脱出劇”=シチュエーション・スリラーという人気ジャンル。外部と途絶した廃墟からの脱出を描く「スピーク」もまた、
このジャンルの1作と言えるが、ここに「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「クローバーフィールド HAKAISHA」で進化した“カメラマンの主観映像”手法を取り込んだのが斬新だ。
“映画監督が撮影する記録映像”という設定にさらに臨場感を与えるため、ピアース監督は、全編リアルタイムでの進行と、
そのほとんどをワンテイクの長回し映像で構成するという大胆なアイディアを採用。俳優たちの仕草やセリフはもちろん、移動する複雑な経路までを考慮した綿密なリハーサルを繰り返し、
その結果、迫真の臨場感を持つシチュエーション・スリラーの新機軸が完成したのだ。
| タイトル | 閉じ込められる場所 | タイトル |
|---|---|---|
| 「CUBE」(97) | 不気味な立方体 | 「スプライス」のビンチェンゾ・ナタリ監督が、斬新かつ独創的なビジュアル・センスで絶賛を浴びたサスペンス。警官、女医、女子大生ら6人の男女が、ある日突然、殺人トラップを持つ四角形の部屋に閉じ込められる。 |
| 「ソウ」(04) | 死体が置かれた浴室 | 謎の殺人鬼によって命がけの“ゲーム”を強要された人々の脱出劇を、残酷な描写と緻密なプロットで見せつけてサンダンス映画祭で注目された異色サスペンス。シリーズ化され、現在は第7作までが公開ずみ。 |
| 「オープン・ウォーター」(04) | サメが泳ぐ海原 | 大海原に置き去りにされたダイバー夫婦が、体調悪化やサメの襲来によって、極限状態に陥っていく恐怖を描くスリラー。シリーズ作として「オープン・ウォーター2」「赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター」も。 |
| 「[リミット]」(09) | 地中の箱の中 | 全編ほぼ暗闇、“地中に閉じ込められた箱の中”というワンシチュエーションで脱出劇が描かれる異色作。イラクで突然何者かに襲撃されたポールは、気づくと埋められた棺の中にいた。ライアン・レイノルズ主演。 |
| 「パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会」(10) | 異常者の館 | オーストラリア出身の新鋭ニック・トムニー監督のデビュー作。警察に追われる銀行強盗の青年が、たまたま転がり込んだ、どんな客人でも温かくもてなす“完ぺきなホスト”が信条の中年紳士宅で惨劇に巻き込まれる。 |
| 「ラスト7」(10) | 人類が消滅した都市 | 謎の人類消滅によって世界に残された7人の生存者の運命を描く近未来スリラー。ある日ウィリアムが目を覚ますと、ロンドンの街から人が消えていた。彼は6人の生存者と出会うが、何が起こったのか思い出せない。 |
| 「フローズン」(10) | 雪上15メートルのリフト | 新鋭アダム・グリーン監督が手がけるソリッド・シチュエーション・スリラー。地上15メートルのリフトが吹雪の中で停止、マイナス20度の極寒に置き去りにされてしまった3人の脱出劇が描かれる。 |
野心あふれる若き映像作家シェリー(スティーブン・ネルソン)が、廃墟となった“いわくつき”ホテルの潜入ルポ撮影のため、深夜の町に降り立つ。シェリーにカメラを向けるのは弟のルイス(マイケル・リンガー)。 ホテルの管理人(トム・サイズモア)とひと悶着あったが、シェリーら総勢6名のクルーはホテルでの撮影を開始する。
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