

2011年・第64回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した白黒&サイレントのラブストーリー。舞台は1927年のハリウッド。スター俳優のジョージ・バレンタインは若い端役女優のペピー・ミラーを見初めてスターへと導くが、折しも映画産業は無声からトーキーのへの移行期。声とセリフ回しに問題のあるジョージが落ちぶれていく一方で、ペピーはスターダムを駆け上がっていく。監督は06年の第19回東京国際映画祭グランプリ受賞作「OSS 117 私を愛したカフェオーレ」のミシェル・アザナビシウス。
| キャスト | ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル、ペネロープ・アン・ミラー、マルコム・マクダウェル、ミッシー・パイル、ベス・グラント、エド・ローター、ジョエル・マーレイ、ケン・ダビティアン |
|---|---|
| 監督 | ミシェル・アザナビシウス |
| 製作 | トマ・ラングマン |
| 脚本 | ミシェル・アザナビシウス |
「サイドウェイ」「アバウト・シュミット」のアレクサンダー・ペイン監督がジョージ・クルーニーを主演に迎え、ハワイで暮らすある家族に起こる出来事を描いたドラマ。ハワイ・オアフ島で妻エリザベスと2人の娘に囲まれ幸せな人生を送っていたマット・キングだったが、ある日、エリザベスがボートの事故でこん睡状態に陥ってしまう。さらに、そのことをきっかけにエリザベスには恋人がおり、離婚を考えていたことが発覚。友人や長女もその事実を知っていたことにがく然としたマットは、自らの人生を見つめ直すことになる。
| キャスト | ジョージ・クルーニー、シャイリーン・ウッドリー、ボー・ブリッジス、ジュディ・グリア、アマラ・ミラー |
|---|---|
| 監督 | アレクサンダー・ペイン |
| 製作 | アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー、ジム・バーク |
| 原作 | カウイ・ハート・ヘミングス |
| 脚本 | アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ |
1982年にイギリスで発表され、舞台化もされて成功を収めたマイケル・モーパーゴの小説を、スティーブン・スピルバーグ監督が映画化。第1次大戦下、農家の少年アルバートは毎日を共にしていた農耕馬のジョーイを軍馬として騎馬隊に売られてしまう。フランスの戦地に行くことになったジョーイを探すため、アルバートは徴兵年齢に満たないにもかかわらず入隊し、激戦下のフランスへと向かう。主人公アルバート役にイギリスの若手俳優ジェレミー・アービン。そのほかエミリー・ワトソン、デビッド・シューリス、ピーター・ミュランら名優が脇を固める。
| キャスト | ジェレミー・アービン、エミリー・ワトソン、デビッド・シューリス、ピーター・ミュラン、ニエル・アレストリュプ |
|---|---|
| 監督 | スティーブン・スピルバーグ |
| 製作 | スティーブン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ |
| 製作総指揮 | フランク・マーシャル、レベル・ゲスト |
| 原作 | マイケル・モーパーゴ |
| 脚本 | リー・ホール、リチャード・カーティス |
2005年に発表され、「9・11文学の金字塔」と評されたジョナサン・サフラン・フォアによるベストセラー小説を、「リトル・ダンサー」「めぐりあう時間たち」のスティーブン・ダルドリー監督が映画化。9・11テロで最愛の父を亡くした少年オスカーは、クローゼットで1本の鍵を見つけ、父親が残したメッセージを探すためニューヨークの街へ飛び出していく。第2次世界大戦で運命の変わった祖父母、9・11で命を落とした父、そしてオスカーへと歴史の悲劇に見舞われた3世代の物語がつむがれ、最愛の者を失った人々の再生と希望を描き出していく。脚本は「フォレスト・ガンプ 一期一会」のエリック・ロス。オスカーの父親役にトム・ハンクス、母親役にサンドラ・ブロックらアカデミー賞俳優がそろう。
| キャスト | トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ビオラ・デイビス、ジョン・グッドマン、ジェフリー・ライト、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ゾーイ・コールドウェル |
|---|---|
| 監督 | スティーブン・ダルドリー |
| 製作 | スコット・ルーディン |
| 製作総指揮 | セリア・コスタス、マーク・ロイバル、ノーラ・スキナー |
| 原作 | ジョナサン・サフラン・フォア |
| 脚本 | エリック・ロス |
世界各国でベストセラーとなったブライアン・セルズニックの冒険ファンタジー小説「ユゴーの不思議な発明」を、マーティン・スコセッシ監督が3Dで映画化。1930年代のパリ。孤児の少年ヒューゴは、父親の残した壊れた機械人形とともに駅の時計塔に隠れ住んでいた。ある日、機械人形の修理に必要なハート型の鍵を持つ少女イザベルと出会ったヒューゴは、人形に秘められた壮大な秘密をめぐって冒険に繰り出す。主人公ヒューゴを演じるのは「縞模様のパジャマの少年」のエイサ・バターフィールド。イザベル役に「キック・アス」「モールス」のクロエ・モレッツ。
メジャーリーグ「オークランド・アスレチックス」のGM(ゼネラルマネージャー)、ビリー・ビーンの半生を、ブラッド・ピット主演で映画化。全米約30球団の中でも下から数えたほうが早いといわれた弱小球団のアスレチックスを独自の「マネー・ボール理論」により改革し、常勝球団に育てあげたビーンの苦悩と栄光のドラマを描く。監督は「カポーティ」のベネット・ミラー。「シンドラーのリスト」のスティーブン・ザイリアンと「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキンが脚本を担当した。
1960年代の米ミシシッピを舞台に、白人女性と黒人家政婦たちの友情が旧態依然とした街を変革していく様子を描いたベストセラー小説の映画化。南部の上流階級に生まれた作家志望のスキーターは、当たり前のように黒人のメイドたちに囲まれて育ったが、大人になり白人社会に置かれたメイドたちの立場に疑問を抱きはじめる。真実を明らかにしようとメイドたちにインタビューを試みるスキーターだったが、誰もが口を閉ざすばかり。そんな中、ひとりのメイドがインタビューに応じたことから、社会全体を巻き込んだ大きな事態へと進展していく。主演はエマ・ストーンとビオラ・デイビス。監督は「ウィンターズ・ボーン」などにも出演している俳優のテイト・テイラー。
スティーグ・ラーソンの世界的ベストセラーを映画化したスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)を、「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイクしたミステリーサスペンス。経済誌「ミレニアム」の発行責任者で経済ジャーナリストのミカエルは、資産家のヘンリック・バンゲルから40年前に起こった少女ハリエットの失踪事件の真相追究を依頼される。ミカエルは、背中にドラゴンのタトゥをした天才ハッカーのリスベットとともに捜査を進めていくが、その中でバンゲル家に隠された闇に迫っていく。主演はダニエル・クレイグと「ソーシャル・ネットワーク」のルーニー・マーラ。
スパイ小説の大家ジョン・ル・カレの代表作を「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン監督、ゲイリー・オールドマン主演で映画化したスパイスリラー。1960年代のロンドン。ある作戦の失敗でイギリスの諜報機関サーカスを引責辞職したジョージ・スマイリーに、ある日特命が下される。それは、いまもサーカスに在籍する4人の最高幹部の中にいる裏切り者=2重スパイを探し出せというものだった。共演にコリン・ファース、トム・ハーディ、ジョン・ハートほか。
「アニー・ホール」「それでも恋するバルセロナ」のウッディ・アレン監督・脚本によるラブコメディ。ハリウッドで売れっ子の脚本家ギルは、婚約者アィネズと彼女の両親とともにパリに遊びに来ていた。パリの魔力に魅了され、小説を書くためにパリへの引越しを決意するギルだったが、アィネズは無関心。2人の心は離ればなれになり……。キャストはギルにオーウェン・ウィルソン、アィネズにレイチェル・マクアダムスのほか、マリオン・コティヤール、仏大統領夫人としても知られるイタリア出身の歌手カーラ・ブルーニら豪華スターが顔をそろえる。
| キャスト | キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、マイケル・シーン、オーウェン・ウィルソン |
|---|---|
| 監督 | ウッディ・アレン |
| 製作 | レッティ・アロンソン、スティーブン・テネンバウム、ハウメ・ロウレス |
| 製作総指揮 | ハビエル・メンデス |
| 脚本 | ウッディ・アレン |

「天国の日々」「シン・レッド・ライン」のテレンス・マリック監督が、ブラッド・ピット、ショーン・ペンを主演に描くファンタジードラマ。1950年代半ば、オブライエン夫妻は中央テキサスの田舎町で幸せな結婚生活を送っていた。しかし夫婦の長男ジャックは、信仰にあつく男が成功するためには「力」が必要だと説く厳格な父と、子どもたちに深い愛情を注ぐ優しい母との間で葛藤(かっとう)する日々を送っていた。やがて大人になって成功したジャックは、自分の人生や生き方の根源となった少年時代に思いをはせる……。製作も務めたピットが厳格な父親に扮し、成長したジャックをペンが演じる。第64回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した。
| キャスト | ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン |
|---|---|
| 監督 | テレンス・マリック |
| 製作 | サラ・グリーン、ビル・ポーラッド、ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、グラント・ヒル |
| 脚本 | テレンス・マリック |
「きみに読む物語」「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング主演で、昼はハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス。デンマーク出身の新鋭ニコラス・ウィンディング・レフン監督が手がけ、2011年・第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。

これから本番を迎える2012年度のアカデミー賞レース。シーズン序盤ではテレンス・マリック、クリント・イーストウッド&レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・クルーニーなどビッグネームによる作品を中心に展開すると言われていたが、現段階(12月5日)で最もオスカーに近いといわれているのは「ファミリー・ツリー」(FOX Searchlight)、「アーティスト」(The Weinstein Co.)、「戦火の馬」(DreamWorks)、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(WB/Paramount)の4作品だ。
まず「ファミリー・ツリー」は、「サイドウェイ」以来7年ぶりの新作となるアレキサンダー・ペイン監督が、ジョージ・クルーニーとタッグを組んだコメディドラマ。最愛の妻がボート事故で昏睡状態に陥ってしまったことをきっかけに、自らの人生と家族の在り方を見つめ直す中年男の姿が描かれる。9月のトロント国際映画祭での上映以来、とりわけ注目を集めているのがジョージ・クルーニーの演技。これまでのキャリアで最も感動的なパフォーマンスを披露しているとのことで、主演男優賞に最も近い存在だ。
同じく主演男優の演技が話題となっているのが「アーティスト」。こちらは1927年、トーキー移行期のハリウッドを舞台にしたサイレント(無声)&白黒映画。5月のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映され、無声映画のスターを演じたジャン・デュジャルダンが主演男優賞を受賞し、監督のミシェル・アザナビシウスとともに注目を集めた。そこに目を付けたのが、あの悪名高きハーベイ・ワインスタイン。作品の国籍はフランス映画だが、舞台がハリウッド、そしてサイレント映画ということを考慮して、外国語映画扱いにはならないと踏み、素早く北米配給権を獲得。本年度の賞レースにぶつけてきた。昨年「英国王のスピーチ」では、高齢のアカデミー会員に狙いを定め、土壇場で「ソーシャル・ネットワーク」を逆転で破り、オスカーを掴み取ったワインスタイン。今年も高齢者層を狙い撃ちで作品賞を狙う。
残りの2作「戦火の馬」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」はともにメジャースタジオがアカデミー賞に向けて強力プッシュする大作。テーマはともに「希望と再生」である。「戦火の馬」はそのタイトル通り、戦時下(第一次世界大戦)を生き抜く人間と馬の魂の交流を描いた一大叙事詩で、巨匠スピルバーグが原作戯曲に惚れ込み映画化に漕ぎ着けた入魂の一作。
一方の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は、「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」で知られる名匠スティーブン・ダルドリー監督が、主演にトム・ハンクス、サンドラ・ブロックのアカデミー賞受賞コンビを迎えて、9・11テロからの再生を描いた人間ドラマ。U2のWhere the Streets Have No Nameをフィーチャーした予告編はオスカー狙いが見え見えでこちらが苦笑してしまうほどだが、ストレートな思いは伝わってくる。プロデューサーが「ノーカントリー」「ソーシャル・ネットワーク」のスコット・ルーディン、脚本が「フォレスト・ガンプ/一期一会」「インサイダー」「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」のエリック・ロスというアカデミー賞常連のベテランなのも心強い。
と、以上4作を本命候補として挙げたが、他の作品を見てみると、「マネーボール」「ヘルプ 心がつなぐストーリー」「ドラゴン・タトゥーの女」「ヒューゴの不思議な発明」「裏切りのサーカス」「ミッドナイト・イン・パリ」あたりがノミネート有力候補だろう。
【予想ノミネート10作品】
「アーティスト」
「ファミリー・ツリー」
「戦火の馬」
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」
「ヒューゴの不思議な発明」
「マネーボール」
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
「ドラゴン・タトゥーの女」
「裏切りのサーカス」
「ミッドナイト・イン・パリ」