「マイウェイ 12,000キロの真実」特集:「プライベート・ライアン」を超えた!? 業界内外で早くも話題沸騰 「マイウェイ 12,000キロの真実」、これが本物の証。

 あなたは知っていただろうか。1944年、第2次大戦時のノルマンディー上陸作戦時に、ナチス・ドイツの軍服を着た東洋人の姿があったことを。

 アメリカ国立公文書館に保存されていた1枚の写真が物語るそのエピソード──「ノルマンディーのコリアン」としてドキュメンタリーまで製作されたそれは、日本軍に徴用されたコリアンが、日本、ソ連、ドイツという3カ国の軍服を着て戦い、極東からはるか彼方のノルマンディー(フランス)までたどり着いたという、想像を絶する事実だったのである。

 この"小説よりも奇なる"真実の物語に反応したのが、作る映画全てが大ヒットという、「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督だった。某ハリウッド・メジャーが映画化を目論み、脚本まで用意してきたオファーには「興味が湧かなかった」と明かしているが、先のドキュメンタリーには強い感銘を受け、自らが製作、脚本、監督を兼任。「彼は本当に1人だったのか?」「もし誰かと一緒にノルマンディーにたどり着いていたら?」とイマジネーションを膨らませ、同じオリンピック出場の夢を抱きながら、歴史に引き裂かれるしかなかった2人の若者──日本人と朝鮮人の物語へと昇華させた。

 事実、中央アジアでドイツ軍の捕虜となり"東方部隊"として戦った朝鮮人や日本人は多数いた。あってもおかしくない歴史上の"if"を元に製作された本作は、限りなく真実に近い物語である。

 カン監督は本作について、「戦争を通じて人間の本質を確認する映画にしたい」と語っている。そして「人間を理解し、その良さを発見していく過程を描いた映画なのです」とも。

 単なる戦争映画でも、友情を描いただけの映画でもない。「マイウェイ 12,000キロの真実」は、カン・ジェギュ監督、オダギリジョー(長谷川辰夫役)、チャン・ドンゴン(キム・ジュンシク役)たちが魂を捧げ、韓国映画史上空前のスケールで描かれた、人間の本質に迫る"本物"のドラマなのだ。
 ノモンハンでの戦闘に敗れた日本軍は、極寒のシベリア収容所に収監され、過酷な労働を強いられる。そこではもう軍籍の階級など存在しない。「俺はもうお前の部下じゃない」とジュンシク。辰雄とジュンシクの力関係が微妙に変化していく。そんな折り、ドイツ軍がソ連に侵攻を開始し、捕虜たちはソ連軍として戦うことを強要される。帝国軍人の誇りを貫いて銃殺されるか、誇りを捨てて生き抜くか──辰雄はソ連軍服に袖を通す。
 日本軍に強制徴用されたジュンシクは、ソ連との国境紛争が激しいノモンハンに赴いていた。そこへ、守備隊長となった辰雄がやってくる。2人は運命の再会を果たすが、オリンピック出場の夢を抱き続けるジュンシクに対して、辰雄は冷酷な帝国軍人への変貌を遂げていた。辰雄ら日本人兵が朝鮮人兵に危険な任務を強要するなかで、やがてソ連との戦闘が壮絶を極めていく。
 退路を許されないドイツ軍との激戦。いくつもの死体が折り重なっていくなかで、辰雄は「生きる意味」について思いを馳せる。ドイツ兵の死体からコートを剥ぎ取り、それでも生き抜こうとするジュンシク。辰雄も雪原の中を彼に続くが、やがて離ればなれに……。数年後、ドイツ東方部隊としてノルマンディー要塞建設に駆り出された辰雄は、夕陽の海岸を走るジュンシクと再会を果たす。心から再会を喜び合い、ともに故郷へ戻ることを誓い合う2人。だが、ついに連合国軍最大の作戦"ノルマンディー上陸作戦"が開始される!
 辰雄とジュンシクの出会いは辰雄が11歳のとき。憲兵隊司令官の息子と、その使用人一家という関係ながら、"走ることが好き"という共通点で結ばれ、切磋琢磨し合うマラソンのライバルとして成長していく。だが、純粋なスポーツの戦いは、やがて日本対朝鮮という国家間の争いへと変わっていき、2人は次第に憎しみにとらわれていく……。