心から、あふれ出す涙が止まらない…「チョコレート」「ネバーランド」のマーク・フォスター監督が贈る感動巨編君のためなら千回でも恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座ほか絶賛公開中!SMALLLARGE
PRODUCTION NOTES プロダクション・ノート
奇跡的ベストセラー映画化の舞台裏

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 無名の新人作家のデビュー作が世界中でベストセラーに……そんな夢物語が2003年、現実に起きた。これまで紛争地域としてしか語られることのなかったアフガニスタンの知られざる面を描いたカーレド・ホッセイニの「君のためなら千回でも」は、家族の絆、幼い友情、許すことの勇気、愛によってのみ得られる救いといった普遍的なテーマによって、幅広い人々の心を揺り動かすことに成功した。同作はまた、アフガン出身作家によって書かれた英語作品という点でも他に類を見ない。物語はフィクションだが、ソ連軍侵攻とタリバン台頭以前の、“中央アジアの真珠”と呼ばれていた頃のカブールで少年時代を送った作者の記憶と移民としての経験が作品に説得力を与えていることは疑いない。

 「私の小説に対する皆さんの反応には、今も驚かされ続けている」とホッセイニは言う。「けれどもそれはきっと、皆さんに共感していただけるようなしっかりとした感情の核がこの物語にあるからだろう。罪、友情、許し、喪失、償いへの願い、もっとよい人間になりたいという願い――こうしたテーマはなにもアフガン固有のテーマではなく、その人の倫理的・文化的・宗教的背景とは無関係の、極めて人間的な経験なんだ」

 出版された原作は誰も予想しなかった勢いで売り上げを伸ばし、一大センセーションを巻き起こした。製作者たちが原作の爆発的人気に心躍らせたことは言うまでもない。批評家の反響も大きかった。「精霊たちの家」などで知られる移民作家イザベル・アジェンデはこう述べている。「あまりにも力強い作品だったため、その後長い間、読むものすべてが色あせて見えたものだ」
30年に渡る物語の脚本化

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 400ページもの小説の脚色という難役を任されたのは『25時』などで小説家として知られるデイヴィッド・ベニオフ。「みんなの間で共通していたのは、カーレドの美しい物語をきちんと扱いたい、そして原作の人間性と精神を可能な限り保持するよう努めたいという思いだった」と彼は振り返る。

 脚本化に際してはホッセイニが協力を惜しまなかった。ベニオフは言う。「彼はアフガニスタンの生活に関するあらゆる質問に答えてくれた。僕はニューヨーク育ちで、カブールでの少年時代なんて僕の経験からはかけ離れたものだったんだが、迷った時はいつでもカーレドが疑問を解消してくれたよ」

 30年に渡るアミールの物語を2時間の映画にまとめるのは、ベニオフにとって最大のチャレンジだった。「原作では色んな年齢のアミールが描かれるが、僕はこの役を演じる俳優は二人だけにしたいと早い段階で決めていた。それより多いと、観客がこの人物との繋がりを失ってしまうかもしれないと思ったんだ。そういうわけで小説の主な要素はほとんどすべて組み込まれているけれど、脚本は簡素化された年表になっている。幸運なことにカーレドの物語はとても力強いので、空間と時間の制約のある脚本という形式でも、そのパワーは失われていないと思うよ」

ホセイニは脚本について、「デイヴィッドには脱帽するよ」と賞賛する。「これは難しい構成に挑んだ小説なんだ。30年間に及ぶ話だからね。回想はあるし、人物たちは年をとっていくし、カブールも繁栄の国際都市だったのが、アミールが戻る時には廃墟と化している。でもデイヴィッドは切れ目なく繋がっていくようにうまく処理していたので、完成稿を読んだ時、“これは名作になるよ”って言ったんだ」
子役たちを探す旅

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 フォスター監督は、アミールとハッサンを演じるのは、彼らの文化的背景を真に理解でき、かつ、彼らの夢と友情にナマの生活の息吹を吹き込む技量を持った俳優でなければならないと考えていた。そんな子どもたちを見つけ出すため、彼は『ネバーランド』で子役発掘に才能を発揮したキャスティング・エージェント、ケイト・ダウドの力を再び借りることにした。

 カブールに飛んだダウドは、丸1ヶ月を費やして学校や孤児院、爆破で荒廃した遊び場にまで足を運び、これはと思える子どもたちの映像を米国へ送り始める。そして彼女によって候補者が絞られた後、フォスター監督が呼び寄せられた。彼は言う。「アフガンの文化を理解するためにこの旅は欠かせないものだった。人々がどんな風に話し、どう関わり合っているのか。それに単純に今のカブールを見て感じるためにもね」

 彼がまず行ったのは、通常のオーディションではなく、子どもたちを戸外へ連れ出して凧揚げをさせることだった。リラックスして遊んでいる状態の彼らを見るためだ。こうして選ばれたのが、ダウドが地元のリセで見つけたゼキリア・エブラヒミ、ARO(アフガン救援機構)を通じて出会ったアフマド・ハーン・マフムードザダとアリ・ダネシュ・バクティアリである。

 ホッセイニは3人についてこう話す。「ハッサン役のアフマド・ハーンはまるで少年の体を持つ小さな大人のようで、表情もきらきらしている。彼が微笑むと心がなごむし、彼を見ればとても純粋で強い人間だとわかるよ。アミール役のゼキリアは弱さ、傷つきやすさを持っている。それは表面のすぐ下にあって、それが時折、光を放って透けて見えるんだ。彼には、原作の幼い頃のアミールのように、こずるいところもある。そして言うまでもなく、カブール生まれの彼には11年の人生経験がある。私たちには決してはわからない苦労を彼は経験しているんだ。それが演技にも現れているよ。ソーラブ役のダネシュの聡明さとプロフェッショナリズムにはとても感心させられた。テイクの合間の彼は遊びや悪戯の好きなただの男の子。ところが“アクション”の声がかかると、途端に役になりきってしまう。瞬きする間に彼がソーラブの絶望感、メランコリー、孤立感を、何度でも繰り返し引き出してみせるのを、不思議な気持ちで見ていたよ」