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INTERVIEW 監督インタビュー
マーク・フォースター監督は語る
原作

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“僕はこの物語に、ただもう惚れ込んでしまったんだ。とても感動的で美しい読書体験だったので、これは参加したいという気持ちにすぐになったよ。『チョコレート』と同じく、と言っても描き方は随分異なっているんだが、この物語も暴力の鎖を断ち切ることと、償いはいつだってできるということを描いている。もし僕にとって困難があるとすれば、それは、少ない登場人物たちが互いの人生に深い影響を与え合うという、極めて私的な物語の中に観客を引き込む一方で、このとんでもなく壮大な旅路を描いてみせることだろうと思った。このふたつが混じり合っている点に、原作の真の美しさがあるんだ”。
脚本

 400ページもの小説の脚色という難役を任されたのは『25時』などで小説家として知られるデイヴィッド・ベニオフ。「みんなの間で共通していたのは、カーレドの美しい物語をきちんと扱いたい、そして原作の人間性と精神を可能な限り保持するよう努めたいという思いだった」と彼は振り返る。

デイヴィッドの脚色では、原作の精神が見事に捉えられていた。肝心なのは常に、カーレドをがっかりさせない、ということだった。なぜならつまるところこれは彼のヴィジョンなのだから。そして僕は、多くの人々の心を動かした原作者のヴィジョンのために、監督として、奉仕したいと思ったんだ”。
キャスト

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(ハリド・アブダラは)カリスマティックで聡明な男だと思った。彼の瞳はとてつもなく多弁。それに彼は膨大な台詞を身動きひとつせずにしゃべることもできる。僕が想像していたアミルの持つ幾重もの側面を、彼は残らず備えていた。それに彼には作家精神が見てとれるしね。

 ホマユーンと初対面の時、この人には人の心を動かす資質があるとすぐに感じた。ババ役にはそれがとても重要だったんだ。ババの晩年の最も重要なシーンではみんなが彼の面倒を見てくれるが、そうさせるだけのものが彼になかったなら、映画の冒頭での彼の頑固な性格描写も成立しなくなってしまう。ホマユーンはこの変貌ぶりを見事に演じているよ。

 ソラヤはとても誠実な役柄。アトッサはまさにその体現者だと思ったよ。彼女は多くの面を持つ女性だ。米国在住の伝統的アフガン女性としての面。彼女自身アフガン人とイラン人のハーフであることを示す風貌。そして、より大胆な一面も持っている。僕には、彼女が演じる人物の人生におけるあらゆる混沌だけでなく、彼女とアミールの間の真の絆までもが、感じ取られたんだ。
子役たち

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 初めてゼキリアに会った時は、彼はシャイで無口だった。でも彼のふるまいにはどこか引かれるものがあったんだ。なんとなくちょっぴり淋しい感じがね。彼は生まれる前に父親を殺されているし、母親からは捨てられている。この持って生まれた淋しさゆえに、少年時代のアミールを彼に演じてもらうのは正しい選択だと思えたのさ。アミールは母親を亡くしているし、父親からは愛されていないと思っているからね。

 アーマッドは信じられないくらい生命力に満ちた精神の持ち主だった。あれはファイティング・スピリットの一種だね。エネルギーとヴァイタリティがあって、怖いもの知らずというか、人生の痛みを喜んで引き受けようとしているような感じが伝わってきた。そこがハッサンを演じるにはとても大切な点だったんだ。

 アリ・ダネシュはただ見ているだけで、心揺さぶられるような気持ちにさせられた。彼にはとてつもない温かさと美しさがあるんだが、それでいて距離を感じる。心の壁をね。そこがソーラブとの共通点さ。
中国ロケ

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 1970年代のカブールの写真をたくさん見ておいたんだが、カシュガルを訪ねてみて、そこがぴったりだとわかったよ。カブールをリアルに正しく描くために必要なすべてがそこにあったんだ。建物も風景も視界も、そしてエキストラもね。

 あの地域での撮影では、いつ何が起きてもおかしくないという姿勢で臨む必要があった。迅速なプラン変更に対してオープンでなくてはね。初めてフィルムメイカーとしてギリギリまで追い込まれた気分を味わったよ。なぜって、明日何が起きるか確信が持てないと思うこともあったからね。

 この映画があの地域に与えたインパクトはかなりのものだよ。住民は映画のキャメラはおろか、あんな大勢の西洋人だって見たことがなかったんだ。みんな好奇心いっぱいだったけれど、全体的にはとても歓迎ムードで温かい人たちだったよ。

 ああいうタフな状況の下でベストを尽くしてくれたキャストもクルーも、とても立派だと思う。演技、風景、そして中国西部で僕らが見出したものすべてに僕は大満足だった。でも真に輝きを放っていたものは、僕らがあそこで出会った、人と人との絆だったね。
撮影を振り返って

この物語を語ってゆく中で、僕らみんなが、それぞれに個人的な心の旅路をたどってきた。そこには葛藤があり、変化があり、気づきがあり、時には明日何が起きるかわからないということもあった。僕らが垣間見たものは、30年間戦禍に耐えてきたアフガニスタンでの驚くべき、痛ましくも厳しい人生だ。けれどもそれと同時に、明るくて元気いっぱいの人々との出会いもたくさんあった。そういうものこそが人の心に残っていくんだ――いつだって人間は克服する力を持っているということがね。