全編英語のセリフで、しかも時代の暗部をえぐる恐ろしくも衝撃的な境遇を、自らがたんたんと語っていく“女”の役どころは、数々のハリウッドを中心に国際舞台で活躍している工藤夕貴のキャスティングが実現。彼女以外には考えられなかったという三池監督の期待に応え、日本的な情感を英語のセリフの細部にまで込めて熱演。彼女の隠された恐ろしい秘密と合わせて大きな見所のひとつとなっている。2006年は、出演最新作の『SAYURI』も劇場公開され、もっとも注目度の高い女優といえるだろう。
そして、クリストファー演じるビリー・ドラゴ。大ヒット作『アンタッチャブル』では、ケビン・コスナー、ショーン・コネリーそしてロバート・デ・ニーロら個性的俳優総出演の中で、観客すべての脳裏に残る殺し屋の役を演じ、強烈な存在感を発揮した。今回の彼の役は、アメリカの観客が映画に感情移入できるよう、原作にはない新しいキャラクターとして創造された。日本の各地を放浪する文筆家の役どころは、そのキャラクター設定として、「怪談」などで有名な作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルにイメージされたという。今回の出演も50本近い映画出演での独特のキャリアから抜擢。異国の日本で身の毛もよだつ恐怖を体験するというアメリカ人文筆家の境遇を、見事な個性で演じている。
さらに、工藤夕貴を取り巻く女優陣が圧巻である。女郎たちを執拗にいたぶる内儀役に、過去数々の巨匠、名匠との仕事で多彩なキャリアを積んでいる根岸季衣が怪演。クリスが想いを馳せる悲劇の女郎・小桃役には、TVドラマやCMなどで活躍する美知枝を起用。心の優しい内面と拷問を受けて苦悶する外面の両極を妥協なしに演じ切った。また原作の岩井志麻子も自ら出演。容赦なしに拷問を与える恐ろしい役柄で、観る者の脳裏に深く恐怖を刻み込んでいる。 |