もしも超絶ゴジラオタクがハリウッドで「ゴジラ」を撮ったら… M・ドハティ監督が愛を叫ぶ

2019年5月30日 18:00

5月31日にいよいよ世界同時公開!
5月31日にいよいよ世界同時公開!

[映画.com ニュース] 日本が生んだ“怪獣王”ゴジラを、米ハリウッドで新たに映画化した「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」が、5月31日から日本を含む世界で同時公開される。メガホンをとったマイケル・ドハティ監督は、ハリウッドきってのゴジラオタク。それだけに今作のいたるところに、シリーズや怪獣たちへの愛をビシビシと感じさせる。

いや、“愛を感じさせる”どころではない。超がつくゴジラ好きが莫大な製作費を手に入れ、趣味全開でゴジラ映画をつくったらとんでもない作品ができてしまった。「自分がゴジラを撮るならこうする」と妄想する観客は多いだろうが、ドハティ監督はまさにそれを世界最高峰の舞台で実現。全身の汗腺からあふれて止まらない喜びを感じながら、製作の日々を全力で謳歌したに違いない。同監督が来日した際、映画.comはインタビューを実施。ゴジラをどれだけ愛しているのか、そして今作にどのようなこだわりを込めたのか、話を聞いた。

――まず、ゴジラとの出会いを教えてください。

ドハティ監督(以下略):幼いころ(4、5歳)に、ケーブルテレビで初めて「ゴジラ」(1954)を見たんだ。そのとき僕は恐竜&ドラゴンオタクだったから、ゴジラはその延長線上だった。しかしゴジラが恐竜たちと異なるのは、“神”として描かれていた点。恐竜たちよりも大きく、知性があり、崇められる存在であるところが魅力的だった。

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――年月を経ても、ゴジラから離れることはなかったのでしょうか。

10代も思いっきりハマっていたなあ。母がこの前、写真を送ってくれたんだ。僕が19歳のとき、母とベトナム旅行(母親はベトナム人)に行ったときの写真なんだけど、僕はでかでかとゴジラが描かれたTシャツを着ているんだ(笑)。

思えば5歳のとき、「ショーグン・ウォリアーズ」(マテル社から発売された玩具)のゴジラを買ってもらった。それが初めてゲットしたゴジラの玩具だった。拳がミサイルのように飛んでいくんだ。夜、襲ってくるモンスターから僕を守ってくれるよう、ベッドサイドにずっと置いていたよ。まあ、いまだに置いているんだけどね(笑)。

フィギュアは映画製作においても重宝していて、今回もVFXチームにバトルシーンの意図をわかってもらうために、子どものときに遊んでいたようにゴジラのフィギュアを動かしながら説明していた。「昔こうやって遊んでいたな」と思い出して懐かしくなった。

――今回、ゴジラのビジュアルでこだわった点は?

ゴジラは作品のたびに変化し、常に進化しているところが好きだ。ゴジラ=進化である。ギャレス・エドワーズ版(前作「GODZILLA ゴジラ」)のデザインは僕も気に入っているんだけど、ゴジラにとって王冠のような存在である背びれに関しては、54年版に近づけたかった。あれがベストのデザインだからね。なので今回は、ギャレス・ゴジラの背中に54年版の背びれを合成したデザインになっているよ。また、足を少し大きくしている。このサイズの捕食動物ならば、これくらい大きな足を持っていないと不自然だからね。

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――前作に引き続き、坂野義光さん(2017年5月7日死去)がクレジットされています。「ゴジラ対ヘドラ」を監督した坂野さんですが、彼やヘドラに対してどのような思い出がありますか。

子どものころに「ゴジラ対ヘドラ」を見て、本当に怖かったのを覚えている。おそらく54年版「ゴジラ」以外で、最も環境というテーマを掘り下げた作品だと思う。「真のゴジラ映画は、表面の物語以上のメッセージを持っているものだ」と感じさせてもらえる映画でもあった。

――同作ではゴジラが空を飛びますが、あのシーンを見たときにどう思いましたか。

(笑)。初めて見たときは本当に興奮したよ。鑑賞後、ゴジラのおもちゃを手にして自分で再現してみたりしたなあ。

――オリジナルテーマを作曲した伊福部昭さんへの印象はいかがでしょうか。ドハティ監督は、音楽へのこだわりも強いそうですね。

伊福部さんの楽曲は大好きで、CDやカセットテープも買っていた。彼のテーマ曲は、正しくゴジラ映画を作るには切り離してはならない重要なポイント。「スター・ウォーズ」「ジョーズ」「007」などのように。だから今作でも、各怪獣のオリジナルテーマを使用しているんだ。特にゴジラとモスラのテーマ曲は、そのまま使用するのではなく、モダンにアレンジを加えた。オーケストラに僧侶の念仏のような効果音を組み合わせており、とてもパワフルなものができたと自負している。

“古の音楽”と印象づけるパートもある。数1000年前、ゴジラたちは神として人々に崇められていた。そのころに作られた音楽だと感じさせたかった。レコーディングでメインテーマが演奏されたとき、胸に迫る瞬間だったね。(編集部注:ドハティ監督は英ロンドンでのレコーディングで、オーケストラが「ゴジラ」テーマ曲を演奏する動画を見せてくれた)

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――製作の日々では、童心にかえる瞬間がたくさんあったわけですね。

ゴジラは僕が童心にかえるために大切な存在なんだ。子どものころ、カトリック系の学校に通っていたんだけど、聖書にゴジラの絵を描いてよく怒られていた(笑)。

――神に対する背徳なのでは(笑)?

そんなことないよ! むしろいいことだよ。何にだって、どんな映画にだって、ゴジラを加えればより良くなると僕は思っている。想像してごらんよ、「スター・ウォーズ」にゴジラを足したら、やばいだろ? 「七人の侍」だってさらに良くなる。54年版の「ゴジラ」にゴジラを足したら、ゴジラがダブルで登場してさらにやばい。

――ゴジラの持つ“役割”は、各作品によって異なるように思えます。今回、どのような役割をゴジラに与えましたか。

ゴジラは、人類ではなく自然に対する守護者だ。人類が自然のルールに沿って生きている限りは、人類の味方になるだろう。一方で自然に敵対すれば、彼(ゴジラ)は自然の守護者であるため、人類とも敵対する。「ゴジラの役割が作品によって変化する」のではなく、人類の行動によって彼の行動が変わるのだと僕は考えている。そしてキングギドラが自然を脅かすのであれば、当然戦うことになるんだ。

――最後に。ドハティ監督にとって、ゴジラとはどんな存在なのでしょうか。

God.

(執筆者:尾崎秋彦)

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