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全編スマホ撮影、LAのマイノリティ描いた「タンジェリン」監督のインディペンデント魂

2017年1月27日 17:00

ショーン・ベイカー監督「タンジェリン」

ショーン・ベイカー監督
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[映画.com ニュース]トランスジェンダーの娼婦やアルメニア移民の家族など、ロサンゼルスで暮らすマイノリティの人々のクリスマスイブの1日をポップな映像と音楽で描いた「タンジェリン」が1月28日公開する。演技経験のなかったトランスジェンダー女性が主演し、iPhone5Sにアナモレンズを装着して撮影、サウンドクラウドで音楽を探すなど様々なアイディアを駆使し、超低予算という枠の中で独創的な映像と物語をつくりあげた。インディペンデントスピリット溢れる新鋭ショーン・ベイカー監督に話を聞いた。

クリスマスイブのロサンゼルス。トランスジェンダーの娼婦シンディは恋人が浮気していることを知って怒り狂い、浮気相手を見つけ出して懲らしめるべく奔走する。シンディの親友で歌手志望のアレクサンドラは、カフェでのライブを目前に控えていた。そして、家族には言えない性癖を持つアルメニア移民のタクシー運転手ラズミックも、いさかいに巻き込まれる。

世界の映画祭を席巻した本作、とりわけ注目を集めたのが、3台のiPhoneのみで撮影されたという点だ。「ストーリーの開発の途中で、iPhoneで撮ろうということになった。当時、vimeoでiPhoneで撮影された映像をよく見ていて、ちょうど、5Sが出た時代。技術的に飛躍したタイミングだったし、ビデオのクオリティも著しく向上して、HDで撮影できるようになった。そして、1秒24コマで取れるiPhone用のアプリ、ワイドスクリーンで取れるカメラのアダプタも開発されて。僕はワイドスクリーンが好きだから、iPhoneで映画を作るということより、なによりワイドスクリーンで撮れることがうれしかった」

タンジェリン」のタイトルどおり、日没近いロスの太陽のような、黄みがかった色合いの映像が特徴だ。屋外のシーンはマジックアワーで撮影した。「一般的に社会派の作品って、グレーな感じで退色したイメージがある。でも、この映画では彼女たちの持つ豊かな色彩を投影したかった。だから、逆の方向でポスプロでいじってみたら、作品の世界観にぴったりはまったんだよ」

「フルーツや色彩の一色としてぴったりと合うように感じて付けたタイトルなんだ。実際に主人公たちも果物のように、非常に甘やかなんだけど、同時に酸っぱさもちょっと持っているようなキャラクター。でも、タイトルの意味は観客の解釈に任せたいと思ってる。ヒントは、僕なりに映画の中にちりばめていて、たとえばエアーフレッシュナーとかね。実は、文字通りこれだという意味も意図もないけれどね」


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(C)2015 TANGERINE FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED
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登場人物や物語の背景と見事にシンクロする楽曲の選曲も秀逸だ。当初は音楽を一切使わない映画になる予定だったそう。「たまたまvineで、17歳のDJがアップしていたヒップホップのトラップミュージックというのを知って、シンディが浮気相手を探しに行くシーンにぴったりだと思った。地下鉄のシーンでは、著作権フリーのベートーベンの楽曲がぴったり合った。そこで、いろんなジャンルの曲を使ってもいいと自分に許して、エレクロニカ、ジャズ、サルサ、なんでも取り入れようと音楽を決めていったんだ」

楽曲探しに役立ったのが、サウンドクラウドだ。「予算がなければ、音楽のスーパーバイザーを使わずに、自分自身が楽曲を見つければいいんだ。サウンドクラウドに楽曲を提供している人は、インディのアーティスト。使用料は、直接交渉すればよいし、結果的にサントラまで出すことができた。あと、ラストシーンだけは観客を現実に引き戻したかったから、音楽は全く使わなかったんだ」

ロスを舞台にした作品は数多くあるが、トランスジェンダーのセックスワーカー、アルメニア人移民コミュニティなど、今作では世界的にあまり知られていないロスの一面が描かれている。メインキャストの女優2人も、リサーチの最中に知り合い、実生活でも親友同士の2人の経験を基に脚本を書き上げた。シンディを演じたキタナ・キキ・ロドリゲスは健康保健施設の職員で、アレクサンドラを演じたマイヤ・テイラーは歌手。テイラーは今作で数多くの映画賞を受賞し、トランスジェンダーの役者として史上初の快挙を成し遂げた。「脚本のアウトラインできてからも、彼女たちが思いついたトピックをどんどん掘り下げていくようにして物語を探していったんだ。半分くらい事実に即したものをネタにファンタジー化したフィクションなんだよ」

シンディとアレクサンドラはセックスワーカーという設定から、きわどいシーンやセリフもタブーなしで挑んだが、ふたりが唯一躊躇したのが、最後のコインランドリーのシーン。「彼女たちにとってあの行為は、カメラの前で全裸をさらすの同じこと。クローズドセットで撮影して、ワンテイクで撮影したんだ。彼女たちは2テイク目が取れないほどエモーショナルな演技を見せてくれて、僕も涙ぐみそうだったよ」

タンジェリン」は、1月28日から東京・渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。

(映画.com速報)

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