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「アジア三面鏡」日本、フィリピン、カンボジアの3監督が学んだこと

2016年11月2日 19:00

インタビューに応じた行定勲監督、ソト・クォーリーカー監督、ブリランテ・メンドーサ監督(左から)「鳩」

インタビューに応じた行定勲監督、ソト・クォーリーカー監督、ブリランテ・メンドーサ監督(左から)
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[映画.com ニュース] 東京国際映画祭が国際交流基金アジアセンターとの共同プロジェクトとして、初めて製作した映画作品「アジア三面鏡 リフレクションズ」。「アジアで共に生きる」を共通のテーマに、行定勲監督と、フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督、カンボジアのソト・クォーリーカー監督の3人が手がけたオムニバス映画だ。北海道での不法就労で逮捕されたフィリピンの出稼ぎ労働者を描いた「SHINIUMA Dead Horse」(メンドーサ監督)、認知症を患ったことで、東京に住む息子にマレーシアに厄介払いされた老人と、メイドたちの交流を描く「鳩 Pigeon」(行定監督)、内戦時に出会った日本人男性とカンボジア女性の悲恋を描いた「Beyond The Bridge」(クォーリーカー監督)という3つの物語ができあがった。

──10月26日、満を持してプレミア上映されました。出来上がった作品を見た感想は?

メンドーサ監督:私はオムニバスを見るときに、1本ずつではなく、3本をまとまった作品として見たいのです。どういったものを感じられるか、3本の作品の共通点がどのようにつながっているのか、そういうことを考えます。映画評論家としてや監督として見るのではなく、普通の観客として見ます。その物語の展開を楽しみます。

行定監督:僕が興味深かったのは音の使い方です。音の力で、ハッとさせられるような部分がおふたりの作品共にあった。そこを興味深く見ました。「SHINIUMA」の、ひづめの音、雪を歩く足音、それは寒さや痛みを感じました。クォーリーカー監督は時代性を音で表現していらっしゃった。クメールルージュの戦乱の音、時代が変わって現代のシーンと静まり返った夜の音。そこがとても興味深かったです。

クォーリーカー監督:「SHINIUMA」に関しては、メンドーサ監督の雪の中で撮影した勇気をたたえたいです。本当に強い意志を持って撮影されたと思います。主人公の男性が、国外退去を命じられて空港に向かう車中で、対向車のヘッドライトが瞳の中に映るシーン。これまでの人生が走馬灯のように頭に浮かんでいたのでしょう。一言もセリフはないのに、目の演技だけで感銘を受けました。雪のない国からいらっしゃったメンドーサ監督があのような撮影を行われて、私も大変触発されました。「」は物語のコンセプトに感動しました。映画の中で語られる物語は、ある種、自分の人生を垣間見る良い機会だと思うのです。父と息子の薄れた絆を見て、私ももっと家族を大切にしたいと思いました。そして、鳩は平和の象徴の世界共通のシンボル。すばらしいメッセージだった思います。

──外国で、もしくは外国人と共に映画を製作することは、どのような経験になりましたか?

クォーリーカー監督:私はかつて国際映画のラインプロデューサーを務めていたので、海外のクルーとの仕事は慣れていましたが、初めての監督としての仕事は、全く異なるものでした。監督はクリエイティブなアイデア、そしてクルーとしての責任を持たなければいけないですから。今回は日本、カンボジア以外に、オーストラリアとイタリアのスタッフに来てもらいました。カンボジア人だけの現場との大きな違いは、時間に正確であるかないかです。8時の集合をかけると、他の国の人たちは8時に間に合うように来ますが、カンボジア人は8時に家を出るのです(笑)。ですから、1時間サバを読んで、カンボジア人には7時集合と伝えると、みんなが8時に集まることができるのです。そういった工夫も必要です。海外のスタッフと共に仕事をすることで、カンボジアのスタッフがいろいろと学ぶ機会になればよいと思っています。

メンドーサ監督:フィリピンでも時間の問題があります。私は以前にフランス人と仕事をしましたが、彼らは時間に正確でした。フィリピンには、フィリピーナタイムというのがあって、大体皆1時間くらい遅れるのです。ですから私は、海外のスタッフと仕事をして、学ぼうという気持ちをいつも持っています。今回日本のサウンドデザイナーと共に仕事をしたのがすばらしい経験でしたし、以前フランスでポストプロダクションを行った際も、そのプロ意識の高さに驚きました。細かいところにこだわって、仕事をしてくれる人たちでした。こういう気質は、フィリピン人にとても必要だと思いました。

行定監督:日本は時間をお金に換算しますから、そこはきっちりとやっていますね。僕は、思い通りにならないことから、新しい道を見つけ出し、そこから映画が完成させるという経験を、これまで韓国、中国、そして今回マレーシアで経験しました。日本に帰ってきて、いろんなことに直面したときに、大概がマレーシアに比べれば大丈夫と思える。今回のメンドーサ監督のクルーは6人、マニラでも10人。この少ない人数で全員が何をやるか共有しているんです。もしくは監督の言うことを全員が聞く環境が作られている、それがすごく画に表れている。今撮りたいことを、今、カメラを回せるかということなんです。日本だと、今撮りたくても、今回せない。その準備を全員がOkするまで待たなければいけない。この不自由さはものすごく感じているので、時代は変わったと思うんです。そういうことを学びました。

メンドーサ監督:フィリピンのスタッフのフットワークが軽いのは、慣れもあると思うのです。フィリピンの映画はすごく予算も少なかったり、臨機応変に対応しなければならないのです。それと同時に、ディテールにこだわる日本人のスタッフのやり方を学びました、こういうことが相互に学ぶことだと思います。

クォーリカー監督:カンボジアのスタッフも、遅れてはきますが仕事はきちんとするんです。SNS用の写真撮影に夢中になることもありますが、私は16時間くらい撮影をするので、楽しまないとやっていられないという空気もあります。それはとてもアジア的な気質かもしれませんが、楽しみながら仕事をすることも大事だと思います。

──今後、東京国際映画祭に期待することは?

メンドーサ監督:今回のようなプロジェクトは、ぜひ続けていただきたいと思います。こういった形で様々な国がつながることは素晴らしいことだと思いますし、映画人だけでなく、それぞれの国の観客同士のつながりもできると思います。

行定監督:映画祭は人と人との出会いをつなぐ場所。「アジア三面鏡」はとりわけそういうプロジェクトだったと思う。異国のスタッフ同士がどういう風につながっていって、どういうものを作っていくか、そして、それぞれの監督が、その経験の先に、また自分の作品で新しい形で生かしていく。そういうチャンスを与えてもらえたし、観客もそういう作品に出会う喜びがある。今後もこういった取り組みを続けてほしいですね。

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