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「日常の中にドラマが潜んでいる」想田和弘監督、新作「牡蠣工場」を語る

2016年2月19日 17:00

想田和弘監督「牡蠣工場」

想田和弘監督
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[映画.com ニュース] 国際的に高い評価を受けているドキュメンタリー作家、想田和弘監督の新作「牡蠣工場」(かきこうば)が2月20日公開する。ナレーションや音楽を排し、観客に解釈をゆだねる「観察映画」という作風で知られる想田監督が、今作では瀬戸内海の小さな港町、岡山県・牛窓の牡蠣工場で働く人々にカメラを向けた。

出荷のために牡蠣の殻を外す“牡蠣剥き”を担う地元の高齢者、東日本大震災で家業の牡蠣工場が打撃を受け、牛窓へ移住した男性、住み込みで働く中国人労働者らの姿を通し、地方都市の過疎化、第1、2次産業の苦境、少子高齢化の後継者不足、移民問題、震災の影響など、現代の日本社会が抱える問題を浮かび上がらせる。

選挙」「精神」など、特殊な世界で生きる人を映したこれまでの作品とは異なり、今作では地方都市で日常生活を営む人々が被写体だ。

「日常というのは何か退屈なものだというイメージがありますが、僕にとっては違う。実は日常の中にいろんなドラマが潜んでいて、その日常におけるドラマこそが、本質的な変化の機動力になっていると考えています。今回はそのことを、特に感じた作品になりました」


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(C)Laboratory X, Inc.
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撮影前に取材対象に向けたリサーチは一切しない。今回、牛窓を訪れて偶然知り合った漁師が牡蠣工場を持っており、たまたま牡蠣剥きの繁忙期だったことから、カメラを回し始めた。

「そこから何が見えてくるのか、どんな世界が展開しているのか、まったく予想がつかなかったんです。牡蠣の剥き方ひとつでも美しいなと思いながら撮ってた。ところが、ふとカレンダーを見たら、その横に“9日、中国来る”とメモがあって。これはなんだろうと思ったところから、かすかな物語が立ち上ってきました。宮城県で被災し、移住された方に出会ったのも偶然。そこにも物語が潜んでいるという予感がありました」

「僕の作品は、そんな予感の積み重ねで撮っていきます。テーマから入ったり、あるいは言いたいことが先にあって、それに合わせて世界を切り取るようなことをしてしまうと、こぼれ落ちるものが多いと思うのです。世界は複雑怪奇で、白黒つけられない、グレーのグラデーションでできていると僕は考えていて、それを丸ごと捉えたいという欲望があります」

想田監督にとってドキュメンタリーとは、「日記ように、作り手が見たり体験した世界を、映像的、映画的に構築して観客と共有すること。それがの一番の目的」と話す。ドキュメンタリーを見慣れていない観客にも、堅苦しく捉えず、シンプルに作品を楽しんで欲しいと願っている。

「映画は疑似体験の装置だと思っているんです。この映画で、牛窓という町の小さな牡蠣工場に突然放り込まれたかのような体験を楽しんでほしい。その体験から、何を感じるかはそれぞれ違うし、違って良いと思います。僕は、作り手がピッチャーだったら、観客はキャッチャーでなく、バッターだと申し上げています。観客には打席に立って、ボールを打って欲しい。そしてそのボールがどこへ飛ぶのか、僕は見たいのです」

牡蠣工場」は、2月20日からシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。

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