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パリで現代日本映画祭キノタヨ開催 「味園ユニバース」と「駆込み女と駆出し男」が最高賞

2015年12月7日 17:00

(左から)塚本晋也監督、 小川真司プロデューサー(『味園ユニバース』)、武正晴監督「野火」

(左から)塚本晋也監督、
小川真司プロデューサー(『味園ユニバース』)、武正晴監督
(C)Philippe Henriot
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[映画.com ニュース]パリで11月24日から11日間にわたって開催された第10回現代日本映画祭キノタヨで、観客が選ぶ最高賞(金の太陽/ソレイユ・ドール賞)を、山下敦弘の「味園ユニバース」と原田眞人の「駆込み女と駆出し男」が引き分け、同時受賞した。また審査員が選ぶ審査員賞、およびキャノンが選ぶ最優秀撮影賞を、塚本晋也の「野火」が受賞。さらに武正晴の「百円の恋」に主演した安藤サクラの熱演に対して、急遽特別賞が贈られた。

新作の制作中でパリに来られなかった山下監督は、映画.com読者に向けてコメントを発表。「グランプリ、本当にありがとうございます! 僕の青春時代そのものの大阪をフランスの皆さんに喜んで頂いて、とても嬉しいです! またキノタヨ映画祭に参加できるように面白い映画を頑張って作ります」。

山下監督は、過去にも「もらとりあむタマ子」「苦役列車」「松ヶ根乱射事件」で本映画祭に参加しており、今後も常連になることは間違いなさそうだ。一方、国内外ですでに大きな反響を得ている「野火」を携え、本映画祭に初めて参加した塚本晋也は、受賞の喜びを「(コンペティションに)選ばれただけでも光栄で、オリンピックのように参加することに意義があると思っていたので、まして賞を頂いて、いま過剰なほどうれしいです。(中略)頂いたカメラをぜひ、次回作で使ってみたいと思います(笑)」と語った。

塚本監督にはフランスでも熱狂的なファンがいて、上映後のティーチインでは塚本作品をほぼ全部見ているという観客から、「これまでも死を描きながら生を考えるといった作品が多かったが、今回もそれを意識されたのか」といったマニアックな質問が出て、監督をうならせていた。

奥田瑛二監督の「風の外側」で本映画祭を訪れたことのある安藤サクラから、「絶対に参加するべき映画祭」と背中を押されて来たという武監督は、「この映画で一番大変だったのは安藤さん。その彼女のためにふだんない賞が作られて評価されたことは、監督として自分の幸せでもあります。俳優さんの苦労されたことをちゃんと形にしてお客さんに届けることができたと思うと、とてもうれしい」と語った。

今年10周年を迎えたキノタヨ映画祭について、ここで補足しておこう。パリで唯一、日本映画だけを対象にした本映画祭は、もともとパリの日本文化会館で開催されていたものの、年々規模を広げ、現在パリ市内では、オペラ座近くにあるシネコン、ゴーモン・オペラ・プルミエを加えた2カ所を使って開催されている。ゴーモンが増えて地の利もよくなったせいか、以前に比べて若い観客がぐっと増えた印象だ。もちろんアニメやマンガなど、若い人々のなかで日本文化に対する興味が急増している背景もあるだろう。

最高賞が観客の投票によって選ばれることからも察せられるように、日本映画マニアに限らず広く一般の観客に親しんでもらおうという意図がある。そのためセレクションも特定のジャンルに偏らず、コメディからドラマ、ファンタ系、アニメ等、バラエティに富んだ、最新の日本映画のショーケース的な趣が強い。また作品の規模も、大手スタジオの大作から「野火」まで、そして岡部哲也の初長編「歯まん」のような自主制作映画も網羅する。今年はコンペティション部門に、園子温の「リアル鬼ごっこ」、廣木隆一の「さよなら歌舞伎町」、三上智恵のドキュメンタリー「戦場ぬ止み」を含む計8本が揃い、オープニングにはフランス公開を控えた細田守の「バケモノの子」、クロージングは河瀬直美の「あん」が披露された。さらに高倉健さんと菅原文太さんの出演作品をオマージュ上映したほか、初の試みとして和食をテーマにした「たんぽぽ」と「深夜食堂」も上映された。

沖縄の米軍基地建設問題を取り上げた「戦場ぬ止み」のティーチインでは、現在の日本の政治状況について尋ねる熱心な質問が飛び交った。三上監督は、「日本ではなかなかこうした作品を発表できる場がないので、海外の人に少しでも現状を訴えつつ、拡散していきたい」と豊富を語った。

時期的に今年の映画祭は、パリ同時多発テロ直後だったため、スタッフは中止にするべきかどうか真剣に悩んだそうだが、蓋を開けてみれば昨年に比べほぼ3倍の集客という結果になった。映画祭はこの後も来年2月まで、バルドワーズ県や、カンヌ、ストラスブールなどの地方都市を巡回する予定。日本映画の新作にいち早く出会える場として、今後ますます人気が定着しそうな予感だ。(佐藤久理子)

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