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犬250匹の反乱で現代社会を風刺!カンヌ受賞作「ホワイト・ゴッド」に迫る

2015年11月20日 17:00

コーネル・ムンドルッツォ監督(右)「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」

コーネル・ムンドルッツォ監督(右)
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[映画.com ニュース] 2014年の第67回カンヌ映画祭で、ハンガリーの異色ドラマ「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」が話題を呼んだ。離ればなれになった飼い犬を探す少女、人間に反旗を翻した犬の物語は、予想不可能な展開で「ある視点」部門グランプリ、パルムドッグ賞をダブル受賞。コーネル・ムンドルッツォ監督は、人間と犬のドラマに現代のヨーロッパ社会への風刺を込めた。

13歳の少女リリと愛犬ハーゲンの穏やかな日々は、雑種犬に重税を課す悪法と威圧的な父親によって奪われてしまう。リリと引き離されたハーゲンは、野犬ブローカー、闘犬場、動物保護施設と現実に直面し、次第に野生に目覚めていく。

従順な存在が突如牙をむき脅威となる。「大衆が搾取する主人に向かって立ち上がる姿を描きたかったのです。さらに言えば、従うべきルールを形成していく社会と、そういうシステムをまったく理解せずに生きている少女とのコントラストを懸命に描いています。少女としてのイノセンスさを失い、大人になろうとしているリリの年齢も意図的に選びました。リリは保守的な社会や大人たちに牙を剥く唯一の存在なのです」

賢いハーゲンを演じたのはルーク、ボディの兄弟犬だ。ムンドルッツォ監督は、「ファミリー犬だけど、映画のために野生のワイルドさを演じられる才能を持った犬」を求め、6カ月かけて2匹にめぐり合った。「子ども時代の犬の思い出がとにかくイキイキしていたので、ハーゲンもイキイキとした遊び心のある演技をしてもらうことが必要でした」と生命力に満ちた姿をとらえた。


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2014 (C) Proton Cinema, Pola Pandora, Chimney
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「犬たちとのトレーニングや僕たちが構築したシステムとのコンビネーションで引き出しました。撮影中も犬たちが自由にできるようにいろいろと考え、デジカメのズームレンズをたくさん使い、彼らに対応できるフレキシブルな形をとったのです。大体2~3台のカメラを使っていて、何度もリハーサルを繰り返して本番に入るのですが、犬たちにとってはずっと遊んでいるような感覚になるようにして撮影しました」

物語が佳境を迎えると、ハーゲン率いる250匹の犬が都会のど真ん中を疾走し、見る者を圧倒する。「あれだけの走る行為は大体2回、最高でも3回くらいしかさせられないので、綿密なプランが必要でした。実はあのシーンには100人ものトレーナーを使っているんです」と撮影は困難を極めたが、CGに頼らない迫力を映すことに成功。「最初から頭の中にひらめいていました。どうしても形にしたかったし、この映画のアイコン的な、内容がどんなものか感じ取れるシーンにしたかったのです。僕にとって特別なシークエンスで、ものすごく大切なシーンでした」とカギとなる強烈な映像が完成した。

ハーゲンの反乱と同時に、家族との確執、疎外感、初恋と少女リリの物語も紡がれる。「これは人間の物語ということもできるし、社会を映す鏡として犬たちが出ています。違う観点から同じ社会というものを見据えたかったので、この物語をつづるにはパラレルなストーリーが必要でした」と二者の視点を取り入れた。作品スタイルも独特でヒューマンドラマ、ロマンス、サスペンス、ホラーなどひとつの枠組みで語ることができない。

「フュージョン(ジャンルの融合)は非常に面白いけれど、この物語はリアリティからきていることが大切だったので、現実を反映させるのにフュージョンは使えないと思いました。社会主義の時代が終わり、グローバリーゼーション、もっとハードな資本主義的思想、SNS時代に自分のアイデンティティを模索しているような今、すべてのジャンルが混在しています。ブダペストの街角も、メロドラマがあればアクション、社会派ドラマも同時に存在している。バランスをどう取るかということが苦心したことのひとつです。結果的には面白いものができたと思うし、このマルチジャンルな作風はこれからも続けたいです」

ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」は、11月21日から全国で公開。

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