【総力取材】Netflix、日本上陸のタイミングと勝算 : 映画ニュース

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【総力取材】Netflix、日本上陸のタイミングと勝算

2015年8月6日 12:30

ビバリーヒルズのNetflix社オフィス。05年開設で、現在は500人が働く「劇場版 シドニアの騎士」

ビバリーヒルズのNetflix社オフィス。05年開設で、現在は500人が働く
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[映画.com ニュース] 2015年9月2日、もう間もなくNetflixが日本でサービスを開始する。インターネットで映画やドラマを配信するVODサービスとして、北米、南米、そしてヨーロッパを席巻しているNetflixの日本上陸は、「黒船襲来」という言葉と共に語られてきた。

昨年14年末、Netflix上陸のうわさが流れると、それは日本の映画業界およびホームエンタテインメント関係者の間に瞬く間に広がった。ほどなく、テレビ局、衛星放送、CATV、IT系に至るまで、業界人が顔を合わせれば、二言目には「Netflix、ついに日本に来るみたいですね」「そうらしいですね。果たして日本でうまくいくんでしょうか」といった会話になるほど、皆この「黒船襲来」に興味津々、あるいは戦々恐々の状態が続いていたのだ。

いったい、Netflixとはどんな会社で、何がそんなにすごいのか? 日本上陸に際して何か秘策はあるのか? 周囲の関心が高まるなか、我々取材班はこのほど、米ロサンゼルスのビバリーヒルズにある彼らの拠点を訪ねる機会を得た。

まず、Netflixの事業内容を簡単に紹介しておこう。世界50カ国に展開し、6500万人の会員規模を持つ、世界最大級のインターネット映像配信(VOD)事業者だ。料金は月額制で、比較的安価な定額に固定されている(北米では7.99ドル/月から)。日本では、すでに先行して上陸しているHuluや、ドコモが提供するdTVと同じビジネスモデルと考えていい。テレビのような時刻で区切られた番組表は存在せず、オンデマンドで見たいときに見たいだけ、ドラマや映画を見ることができるサービスだ。

これまで我々が得てきた情報によれば、彼らの強みは、おおまかに3つある。


オリジナル第1弾「ハウス・オブ・カーズ 野望の階段」 は4個のエミー賞を受賞「劇場版 シドニアの騎士」

オリジナル第1弾「ハウス・オブ・カーズ 野望の階段」
は4個のエミー賞を受賞
(C) 2014 MRC II Distribution Company L.P.
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まず、PCはもちろん、スマートフォンやタブレット、プレイステーションやXboxなどのゲーム機など、ありとあらゆるデバイスに向けて動画コンテンツが提供されているところ。インターネットにつながってさえいれば、いつでもどこでも好きなだけ番組を視聴することができる。

2つめは優れたレコメンド機能。作品の種類を7万あまりに分類し、6500万人の会員の視聴データと照合。視聴者ひとりひとりにオススメ番組をレコメンドするのである。このアルゴリズムが非常に良くできていると評判なのだ。

そして3つめは、オリジナル番組に力を入れている点。デビッド・フィンチャー製作総指揮、ケビン・スペイシー主演の「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を皮切りに、Netflixでしか見られないオリジナルの番組やシリーズを次々に制作している。この3つの強みを武器に、Netflixは世界を席巻しているというわけだ。

NetflixのVOD事業は07年にスタートしている。それからおよそ8年の時を経て日本にやって来るわけだが、この8年というタイムラグをどう考えればいいのだろう? アメリカのVOD事業者は、Apple(iTunes)、Google(Google Play)、Amazon(Amazonインスタント・ビデオ)さらにはHuluなどがすでに上陸済みだ。最後発と言ってもいいNetflixには、果たしてどれほどの勝算があるというのか。早速、ロサンゼルスでの取材をスタートしてみよう。

「なぜ、いまこのタイミングで日本上陸なんですか?」。そんな素朴な疑問に、Netflixの最高コミュニケーション責任者、ジョナサン・フリードマンが答えてくれた。


ジョナサン・フリードマン 「日本のユーザーはレベルが高いから、十分に調査した」「劇場版 シドニアの騎士」

ジョナサン・フリードマン
「日本のユーザーはレベルが高いから、十分に調査した」
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「日本は我々にとって大事なマーケットだから、十分に準備したかったんだ。日本のマーケットはかなり独特で、日本人は日本で作られたコンテンツを視聴するのが大好きなんだ。だから、日本でサービス開始する際には、日本のクリエイターと一緒に作った番組が最初から必要だと考えたんだよ。Netflixがどこかの国に上陸するとして、数年サービスを行ったあとで、その国オリジナルのコンテンツを作り始めるのが通常のやり方だ。だけど日本では、サービスインと同時に日本のコンテンツを用意する。これは世界で初めての事例になるんだよ。そもそも日本進出は、私たちにとって初めての西洋以外のマーケットへのチャレンジ。さらに、初めて2バイト言語のインターフェースを作成するというチャレンジでもあるんだ。日本語字幕を作るにしても、日本語は、漢字・ひらがな・カタカナとあるだろ? ユーザー・インターフェイスも、スマートテレビで見る場合、スマホで見る場合、タブレットで見る場合と、いろいろと作らなくてはならない。吹き替え版だって必要だ。PRについても考えなくては。すべてに渡って考え抜いて、ここまでできるんだというレベルまでこぎ着けるための時間が必要だったんだ。日本のユーザーは非常にレベルが高いからね」

Netflixはこれまで、「テラスハウス」の新作や桐谷美玲が主演する「アンダーウェア」の制作をフジテレビと共同で行うことを発表している。それ以外に、何か具体的なコンテンツプランはあるのだろうか? とりわけ、アニメが気になる。かつてNetflixは「シドニアの騎士」を海外向けに配信し、大成功を収めた実績がある。その辺の事情については、最高コンテンツ責任者のテッド・サランドスが語ってくれた。

「アニメの企画は複数進んでいるが、制作決定にいたるのはまだ先になりそうだ。日本の外だと、フランスと北米で日本アニメは非常に人気があるので、世界に向けて日本のアニメをより大きなスケールで作ろうと思っているんだ。シリーズものもあれば、長編映画も検討しているよ。制作は全部4Kでやる。映画の方は予算もデカいよ。全世界配給もNetflixがやるんだ。日本は、Netflixのコンテンツプロデューサーが存在する、アメリカ以外で唯一の国なんだよ」

彼らが北米で制作したコンテンツを日本で配信するのはもちろん、日本で作ったオリジナルのアニメを、世界中に向けて配信するというプランが着々と準備中なのである。まさに世界50カ国以上で展開するNetflixならではの、国境を軽々と越えたビジネスがスタートしようとしている。

Netflixの日本上陸は、インバウンドだけではない。アウトバウンドも周到に準備されている。AppleにせよHuluにせよ、これまで外資系のプラットフォーム事業者は数多く日本に進出しているが、アウトバウンドのことまで考えて乗り込んでくるプレイヤーはいなかった。それは逆に、最後発だからこそ可能な戦略とも言える。彼らには、日本に埋まっているコンテンツの鉱脈が見えているに違いない。

Netflixは、9月2日からサービス開始である。(取材・文:編集部 駒井尚文

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