「アクト・オブ・キリング」の大量虐殺を被害者視点で見つめる新作、初夏公開

2015年2月26日 13:00


インドネシアの大量虐殺を被害者視点で見つめる
インドネシアの大量虐殺を被害者視点で見つめる

[映画.com ニュース] 「アクト・オブ・キリング」で加害者視点から描かれたインドネシアの大量虐殺を、被害者の立場で見つめたドキュメンタリー「ルック・オブ・サイレンス」が、初夏に劇場公開されることが決定した。

アクト・オブ・キリング」は、1960年代に虐殺を行いながら、今でも国民的英雄として暮らしている実行者が、嬉々として過去を再現する姿を映し出した問題作。ジョシュア・オッペンハイマー監督が再びメガホンをとった本作は、虐殺により兄の命が奪われたあとに誕生した青年アディを主人公に、前作とは異なる角度から「責任なき悪」のメカニズムをあぶり出す。

生まれたときには、すでに兄を失っていたアディは、オッペンハイマー監督が撮影した加害者のインタビュー映像を目にし、強い衝撃を受ける。亡き兄、今も恐怖にとらわれた母のため「加害者に罪を認めさせたい」という思いから、アディはオッペンハイマー監督とともに加害者を訪問する。

虐殺の被害者が、現在でも権力を握る加害者と対じすることは、想像を絶する危険がともなう。それでも、メガネ技師のアディは無料の視力検査を行うことで、加害者の警戒をかいくぐり、核心をついた質問投げかけていく。ティザーポスタービジュアルは、視力検査用メガネを着用した加害者の顔にフォーカスし、光を失った瞳と「あなたはなぜ、兄を殺したのですか」という言葉が深い闇を思わせる強烈なデザインに仕上がっている。

第71回ベネチア国際映画祭で審査員大賞、国際映画批評家連盟ゴールデンマウス審査員大賞、ヨーロッパ映画批評家協会最優秀ヨーロッパ地中海映画賞、人権映画ネットワーク賞の5部門に輝いた。「ルック・オブ・サイレンス」は、初夏に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で公開。

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本作は、1965年9月30日深夜にインドネシアで発生し、この国のその後の運命はもちろんのこと、国際関係にも大きな変化をもたらした、いわゆる「9・30事件」後の大虐殺を描いたドキュメンタリー作品。

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