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ノルウェーの人気女優アーネ・ダール・トルプ、「1001グラム」監督の演出手法を明かす

2014年10月29日 16:30

ベント・ハーメル監督と主演のアーネ・ダール・トルプ「キッチン・ストーリー」

ベント・ハーメル監督と主演のアーネ・ダール・トルプ
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[映画.com ニュース] ノルウェーの測量研究所で働くひとりの女性の成長の軌跡を、「1001グラム」で温もりを持って紡ぎだしたベント・ハーメルは、ノルウェーを代表する監督。日本でも「キッチン・ストーリー」や「クリスマスのその夜に」などで知られている。初めて女性を主人公にした作品を発表した監督と、ノルウェーの人気女優で主演のアーネ・ダール・トルプに話を聞いた。(取材・構成/稲田隆紀)

――重量の原器という非常にユニークな題材ですが、発想はどこから生まれましたか?

ベント・ハーメル監督(以下、ハーメル):数年前にラジオ番組で、メートルとキロの話を聞き、ノルウェーに施設があって、正確なキロの原器があることに興味をそそられました。その後、メキシコに旅行したときにオスロのその施設で働いている人に出会ったのです。興味をそそられたと話したら、施設を訪問するように言ってくれました。実際に見学してそこから話を広げていきました。

――そのきっかけから、どのようにストーリーを展開していったのですか?

ハーメル:ストーリーすべてが同時に思い浮かびました。1キロの原器があることはそれだけで面白いのですが、その原器が象徴するものがいろいろあると思いました。人々がいかに正確な1キロの原器にするか、それを取り巻く苦労や人間模様というものが全部いっしょに頭に浮かんだのです。作りたいものを思い浮かべて、そこから初めて必要なリサーチをはじめます。今回は、全く知らない世界でしたから、科学的なリサーチを入念にして、脚本の段階では最終的にこの作品は人間の物語に仕上げていきました。

――監督が女性を主人公にした作品を手掛けるのは珍しいですね。

ハーメル:僕にとっては女性を描くことはひとつのチャレンジでした。これまでは人生を長く生きた男性を描いてきました。すでに人生の蓄積というものがあり、魅力的になるからです。まわりからもよく、「いつになったら女性を描くんだ」とからかわれてきました(笑)。結果的に今回は女性を描いたのですが、深く意図したわけではありません。主人公はなにより人間です。男性だったとしても、それほど描き方を変えなかったと思います。孤独感を感じているひとりの女性が、父親を亡くしたことによって喪失感も感じますが、最後には人生に希望を見いだす。その過程は男性でも女性でも同じだと思います。

――アーネさんは監督と仕事をしてみてどんな印象をお持ちでしたか。

アーネ・ダール・トルプ(以下、アーネ):ハーメル監督は、独特の世界をもっています。彼が作ったことが一目瞭然で、彼の“指紋”がすべてのフレームに残っているのです。彼の世界観の一部になって演じることは、大きな責任を感じることでした。もちろん、彼の作品はとても好きなので仕事をさせていただいたのは嬉しいことでしたが、それまでとはまったく違うロジックで演じることが必要で、自分なりに演じ方も変えました。なぜなら、彼の映画のなかでは、例えば廊下をただ歩くシーン、小さな物を動かすシーンなどの動作ひとつひとつまで集中して演じなければいけませんでした。俳優はキャラクターを咀嚼して肉と血に変えて演じますが、この作品ではフォルムを大事にしなければならなかったし、無機質な雰囲気も出さなければいけませんでした。その新しいアプローチは楽しかったし、自分には合っていると思いました。

――監督の要求も高かったのですか?

アーネ:ひとつのシーンのなかで、いろんなものが同時進行していくことを求められましたね。すべてがうまくマッチしなければ気がすまないのです(笑)。監督によっては編集でまとめる人もいますが、ハーメル監督は違います。長回しも多いのに、どこかの動きが合わなかったりするともう最初から撮り直します。

――監督は動作のひとつひとつについても、細かく指示を出されるんですか?

アーネ:指示は全く出ませんでした。自分で考えて動く。有機的に役になりきったら動きができると考えている感じです。

ハーメル:求めているものは、俳優がひとつの空気感を出すこと。それが役にとって的確な動きを生むと信じています。ただ、力量のある俳優を選ばなければいけません。

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