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「あの頃のように」リャオ・チエカイ監督がセント・ジョーンズ島を舞台にした理由

2014年10月29日 15:20

リャオ・チエカイ監督「あの頃のように」

リャオ・チエカイ監督
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[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭・アジアの未来部門でワールドプレミア上映された「あの頃のように」は、3話が連なるオムニバス。更生施設から海を泳いで脱走する少年が主人公の「第1話:はみ出し者の丘」、子ども時代に淡い思いを通わせた男女の再会を描く「第2話:明日の歌」、そして「第3話:あの頃のように」ではこれまでの登場人物とジャズ歌手が出会うが……。舞台となったシンガポールの南にあるセント・ジョーンズ島の風景がノスタルジックをかき立て、静ひつな物語に心を揺さぶられる。そんな作風が納得の物静かでシャイなリャオ・チエカイ監督に話を聞いた。(取材・構成/金子裕子)

――セント・ジョーンズ島を舞台にした理由は何ですか?

リャオ・チエカイ監督(以下、リャオ):シンガポールの本島は、ほぼ15年の間にすごく変わりました。でもこの島の風景だけは僕の子どもの記憶のままで変わっていなかったのです。この島の歴史はユニークで、かつては移民がシンガポールに入る前の検疫チェックの中継地だったのです。加えて、1950年代~60年代にはアヘン中毒患者のリハビリ施設があった。つまりこの島は、人が隔離・幽閉される場所だった。ところが、そういう過去のある場所が現代では子どもたちのキャンプ施設があったり、多くの人がバカンスで訪れたりしている。そういう変化が皮肉だなと思いました。

――3話綴りのオムニバスにしたのは理由がありますか?

リャオ:最終的な脚本はグラディス・ンと共同執筆ですが、スタートは僕の短編からです。2012年12月に第2話「明日の歌」の短編を撮っていました。そして、昨年シンガポールで開催された「ビエンナーレ」に出展の要請を受けて、第1話の「はみ出し者の丘」を作りました。僕としては子どもが大人になるという“変化”を描きたいということで、第3話の「あの頃のように」を足したのです。僕にとっては変わっていないセント・ジョーンズ島は過去であり、「はみ出し者の丘」で少年が島から見る観覧車やレーザーショーの光にあふれた街が現代ですね。

――再会した初恋の相手グオフイと心が通わないペイリンを演じたエシュリー・ガオと、島を訪れてグオフイと知り合うジャズ歌手レイチェルを演じたシェリル・タンが印象的な演技を披露します。キャスティングはどのように?

リャオ:エシュリーは映画初出演になります。オーディションでセリフのない部分の表現や即興をしてもらったのですが、何をやってもナチュラルで良いなと思いまた。レイチェル役のシェリルは、ウィー・リンリンさんというシンガポールの監督が推薦してくれました。かつてリンリンさんの映画のオーディションをシェリルが受けて、その時はキャスティングされなかったのですが「すごくいい」と記憶に残っていたそうです。シェリルはもともとオペラなど古典的な歌唱トレーニングを受けていて、ミュージカル女優としても活躍しています。ちなみにグオフイを演じたジョシュ・ライは、テレビの連続ドラマなどに数多く出演している人気者なんですよ。

――ジャズ歌手という設定は、キャスティングの後ですか?

リャオ:キャスティングと並行して脚本を書き進めました。彼女は歌がうまいということで、ジャズ歌手の設定が良いなと思いました。彼女が歌うシーンで登場するバンドのメンバーは、シェリルがシンガポールでライブをやるときのバックバンドの人たちなのです。

――1話と2話では音楽がわずかで、その代わり波音や生活音や人の息づかいの“音”が流れます。そして3話でレイチェルの歌やギターの弾き語りなどの音楽が際立っています。サントラの作り方はどのように?

リャオ:2010年にTIFFに出品したデビュー作「赤とんぼ」は、音楽はオープニングクレジットとエンドクレジットのみで、他にはいっさい入れなかった。音楽は入れ過ぎても少な過ぎてもいけない。どこが適当かと自問自答して、行き着いたのは自然に流れるということを念頭に置いて、かつ音楽によって語らせなくてはいけないということでした。例えば、お互いに愛情を表に出せないペイリンとグオフイの関係を匂わせるために、ふたりのしめつけるような感情を音楽で表現するとか。実は1話と2話にも音楽は入れているのです。でもよくあるサントラではないので、音楽としては認識しづらいのです。マット・ケリーというイギリスの作曲家によるものですが、彼は楽器で音を作らずに、水の入ったコップで音を作る。今回、3話を通して水が重要なファクターだったので、彼のスタイルとフィットして音楽を意識させない音響になったのだと思います。

――映画を作るエネルギーはどこから沸いてくるのですか?

リャオ:映画に対する愛だと思います。ほかの人の作品を見ていて、「僕もこんな映画を作りたい!」という気持ちがある限り作り続けます。小津安二郎、タルコフスキー、最近ではポルトガルのミゲル・ゴメス監督の「熱波」などに刺激されていますね。

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