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本物のヘビも多数出演 “クメール映画の父”ティ・リム・クゥン監督が語る黄金期のカンボジアホラー

2012年10月27日 19:00

“クメール映画の父”ティ・リム・クゥン監督「怪奇ヘビ男」

“クメール映画の父”ティ・リム・クゥン監督
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[映画.com ニュース] 1960年代からポル・ポト政権が始まる75年まで、東南アジアで高い人気を誇った黄金期のカンボジア映画2本が10月28日、第25回東京国際映画祭アジアの風部門で上映される。カンボジア映画史で伝説的な存在として知られるティ・リム・クゥン監督に話を聞いた。

「今回上映される作品にかかわった人で、今も生きているのは私と女優のディ・サベットだけです」。クメールルージュによりほとんどのフィルムは焼却、映画人は退廃芸術家として粛清された。クゥン監督は大量虐殺を生き延び、カナダに移住。自作フィルムを秘密に保管することに成功した。

このほど上映される貴重な作品は監督の代表作「天女伝説プー・チュク・ソー」(67)、「怪奇ヘビ男」(70)の2本。ともに自然豊かな農村などを舞台とし、当時人気のカンボジアスターのほか動物や小鳥なども”出演”。牧歌的な雰囲気のなかで展開するユーモアあふれるファンタジー&怪奇描写が魅力だ。

プノンペンから20キロほど離れたメコン川を臨む景勝地キエンスバイにスタジオを持ち、60~70年代にかけて13本の作品を製作した。カンボジアに伝わる民話を発展させて脚本を書くこともあるといい、魔法の石や指輪の力で物が消えたり変身したりというような特撮シーンは当時大人気で、欠かせない要素だった。また、インド映画で見られるような主要キャストが歌い出すシーンも特徴的だ。「カンボジア人は歌が好きなので、必ず歌が入ります。歌唱シーンはカンボジア人の観客を満足させるために、必要なものなのですよ」。


「怪奇ヘビ男」の一場面「怪奇ヘビ男」

「怪奇ヘビ男」の一場面
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カルマや来世などという表現がたびたび出てくるのは仏教国カンボジアならではのものかと問うと「映画には人を教育できるという特徴があると思います。善行善果、悪行悪果というのはもちろん仏教の教えですが、悪いことをする人にはならないように一般的な道徳として、映画を見る幅広い人に伝えたいと思ってそのように入れ込みました」と監督独自の考えであると語る。

当時の東南アジア全域で高い人気を誇ったホラー作品「怪奇ヘビ男」の撮影秘話を聞いた。「大きなヘビ以外はすべて本物のヘビです。今だったらコンピューターで何でも作れますが、あの時代では無理でしたのですべて本物を使うしかなかったのです。何度も撮影しているとヘビも疲れたり、死んでしまったりするので、ヘビ頭の女の子のシーンは8回撮り直しました。彼女にとって初めての演技でしたが、すごくがんばってくれましたよ。彼女のお母さんはヘビを怖がって逃げてしまいましたが(笑)。その後似たような映画が何本も作られましたが、あの作品を超えるものはないと思います」。

21世紀の今公開されることで、新鮮な驚きをもたらしてくれる監督の作品。是非新作も見てみたいとリクエストすると「私は映画をやめたわけではなく、今もシナリオは書き続けています。いい映画はいいシナリオがなければできません。機会があったら映画化したいと思います」と笑顔で快諾してくれた。

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