【ベネチア国際映画祭】アル・パチーノに「監督ばんざい賞」

2011年9月7日 12:55


舞台で共演したジェシカ・チャスティンと
舞台で共演したジェシカ・チャスティンと

[映画.com ニュース] ベネチア名物のゴンドラ・レース、レガッタが開催され大変な人出を見せた9月4日(現地時間)、アル・パチーノが第68回ベネチア国際映画祭を訪れ、かつて北野武監督も受賞した「監督ばんざい賞」を授与された。受賞セレモニー後には、自らの主演・監督作「Wild Salome」を披露し、喝采を浴びた。

「Wild Salome」は、パチーノがジェシカ・チャスティンらと舞台で上演していた演目だが、“サロメ好き”が高じ、その舞台裏から映画の企画までを一種のフェイク・ドキュメンタリーとしてまとめたもの。サロメにかけるパチーノのこだわりと熱狂ぶりが伝わってくる。「ツリー・オブ・ライフ」とはまったく異なる妖艶な演技のチャスティンも印象的だ。

さらに前日には、招待作品としてスティーブン・ソダーバーグ監督作「Contagion」が上映され、レッドカーペットには監督とともにマット・デイモングウィネス・パルトロウローレンス・フィッシュバーンらが顔をそろえた。新種のウィルスが出現し、世界各地に瞬く間に広がる物語は、パニックに陥りながらも使命感に燃え、希望を失わない人々の様子が感動を誘う。ソダーバーグらしい、切れ味のいい鮮やかな手さばきが生きている。

コンペ作品としては、デビッド・クローネンバーグ待望の新作「A Dangerous Method」も高い評価を得た。20世紀頭のウィーンを舞台に、フロイト(ビゴ・モーテンセン)、ユング(マイケル・ファスベンダー)とその患者(キーラ・ナイトレイ)をめぐる友情と確執、精神分析を橋渡しにした恋愛関係を描く。

クローネンバーグとしては珍しくオーソドックスな作りながら、配役の妙、意味深いセリフ、ディテールに凝った映像で、どっしりと見応えのある作品になった。三者三様の熱演が光る俳優陣のなか、特にユング役のファスベンダーには早くも男優賞の声がささやかれたが、比較的無名の俳優に軍配のあがりやすいベネチアだけに、どう転ぶかは予測がつかない。(佐藤久理子)

Amazonで今すぐ購入

DVD・ブルーレイ

Powered by価格.com

関連ニュース

映画ニュースアクセスランキング

本日

  1. 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」出演俳優たちが印税請求

    1

    「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」出演俳優たちが印税請求

    2024年4月24日 11:00
  2. 渋谷凪咲、ホラーで映画初主演! 「ミンナのウタ」のDNAを引き継ぐ清水崇監督作「あのコはだぁれ?」7月19日公開

    2

    渋谷凪咲、ホラーで映画初主演! 「ミンナのウタ」のDNAを引き継ぐ清水崇監督作「あのコはだぁれ?」7月19日公開

    2024年4月24日 04:00
  3. 「傲慢と善良」藤ヶ谷太輔&奈緒が主演! 辻村深月のベストセラーを映画化 監督は萩原健太郎

    3

    「傲慢と善良」藤ヶ谷太輔&奈緒が主演! 辻村深月のベストセラーを映画化 監督は萩原健太郎

    2024年4月24日 07:00
  4. 大友克洋「MEMORIES」初DCP化、4月26日からホワイトシネクイントでリバイバル上映開始

    4

    大友克洋「MEMORIES」初DCP化、4月26日からホワイトシネクイントでリバイバル上映開始

    2024年4月24日 09:00
  5. 田中圭、山下智久と9年ぶりの共演!「ブルーモーメント」に主人公の幼なじみ役でサプライズ登場

    5

    田中圭、山下智久と9年ぶりの共演!「ブルーモーメント」に主人公の幼なじみ役でサプライズ登場

    2024年4月24日 22:02

今週