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実在のスパイ事件を映画化「フェアウェル」監督 米仏大統領に思い入れ

2010年7月30日 15:43

事実の映画化だからこそ、困難を極めた「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」

事実の映画化だからこそ、困難を極めた
(C)2009 NORD-OUEST FILMS
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[映画.com ニュース] 東西冷戦構造終結の引き金となったともいわれる「フェアウェル事件」を映画化したフランス映画「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」。同作でメガホンをとったクリスチャン・カリオン監督が語った。

1980年代初頭、ソビエト連邦KGBのウラジミール・ベトロフ大佐(コードネーム“フェアウェル”)が、祖国の共産主義に限界を感じ、息子に未来ある国を残したいという思いから、敵国フランスに極秘情報を漏えいさせた。スパイという特殊な任務に就く人間の苦悩を描いたリアルサスペンスで、主人公フェアウェル役をエミール・クストリッツァが熱演している。

カリオン監督の前作「戦場のアリア」は、第1次大戦下、敵対する兵士たちがクリスマスに親睦を深めたという実話の映画化だった。そして今回も、歴史的事実の映画化。劇中に登場する当時の仏ミッテラン大統領の側近も務めた作家ジャック・アタリらに会い、リサーチを敢行したが「多くの情報のつじつまが合わなくて、一時期混乱したこともあった」と振り返る。「客観的にも整合された物語にたどりつくには、どんどん難しくなったように見えた。でも、ある時、フェアウェルの生死がはっきりしていないということに気づいてから、確証できない出来事については避けるようにした。事実に邪魔されてストーリーがぶれ続けたと認めるには、少々時間がかかったよ。客観的な映画作りなんて存在しない。独自の方法でフレームに納めたり、あるショットより別のショットを選んだりするというのは、あるひとつの視点をともなう。だから客観性はないし、ただひとつの真実なんていうものもないんだ」

とはいえ、映画の中でミッテランと米レーガン大統領を描くことができるという点にもひかれたと話す。「このプロジェクトを引き受けたのは、実を言うとふたりの大統領を描く映画が作れるからだった。僕は政治の世界が好きなんだ。最初のシナリオからも、ミッテランとレーガンだけはそのまま残した。僕と観客双方が共感できるような、人間らしさのある大統領になるよう、それぞれのキャラクターを掘り下げてね。大統領の半生を描いたオリバー・ストーンの『ニクソン』に該当するような映画は、フランスになかったしね。スティーブン・フリアーズの『クイーン』も大好きだよ。一大スキャンダルの渦中にあるイギリスの権力の回廊を、あの作品では真に俯瞰(ふかん)して見ている。あの映画を見た後、僕はスクリーン内のミッテランとレーガン像が、実物に迫るよう模索しようと決意したんだ」

フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」は7月31日から公開。

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