加瀬亮、自殺した芥川賞候補の遺作映画化「海炭市叙景」に主演

2009年12月26日 17:30


骨太な作品になること必至
骨太な作品になること必至

[映画.com ニュース] 加瀬亮が、芥川賞候補に5度ノミネートされながら41歳で自殺した作家・佐藤泰志の遺作を映画化する「海炭市叙景」に主演のひとりとして出演することが分かった。

佐藤は、「きみの鳥はうたえる」「黄金の服」などで芥川賞候補に選出されたが、41歳で自殺。「海炭市叙景」は、佐藤の故郷である北海道函館市をモデルにした架空の地方都市・海炭市を舞台に、バブルが破綻した80年代にさまざまな事情を抱えた人々が必死に生きる姿をオムニバス形式で描く。

同作は、春夏秋冬を9編ずつにまとめ36編で完結する予定の長編小説だったが、佐藤の自殺により夏までの18編で物語は途絶え、未完成のまま刊行された(原作は既に絶版)。製作実行委員長を務める菅原和博氏は、「救いのない話が多い世界観に引き込まれた。街全体を見渡しているからリアリティがあり、登場人物は私であり友人であり隣人だった。これは地元の人間が主導して映画にすべきだと思った」と話し、「ノン子36歳(家事手伝い)」の熊切和嘉監督、スローラーナーの越川道夫プロデューサーを迎えた。

映画は、18編の中から6編を抜粋し、熊切監督と何度となくタッグを組んできた宇治田隆史が脚本化。失業して身を寄せ合うように暮らす兄妹、後妻が息子を虐待していることを疑いながらも問いただせずにいる自営業の男、娘の出産を待ちながら淡々と仕事をこなす路面電車の運転士、みぞれが降るなか引越しの荷物をひたすら待ち続ける妻子持ちの男などの姿が描かれている。

加瀬にとっては、「アンテナ」以来8年ぶりとなる熊切作品。ほかに、谷村美月小林薫南果歩の出演が内定。市民から約1000万円の寄付を呼びかける募金活動も奏功し、東京では「海炭市叙景」ファンドも設立され機運は高まるばかり。作品に登場する「函館どつく」の大型クレーン「ゴライアスクレーン」が6月下旬に解体されたため、それに先駆けて5月に4日間かけて同所周辺を撮影。本格的な撮影は2010年2月のクランクインを予定し、同11月ごろの公開を目指す。配給は未定。

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