極限下でのサバイバルの原動力になったのは?「アライブ/生還者」

2009年4月24日 12:00

現在は建築家として活躍するストラウチ氏
現在は建築家として活躍するストラウチ氏

[映画.com ニュース] 1972年10月に起きたアンデス山脈での飛行機墜落事故の全貌を、生き残り16人の証言と再現ドラマを交えて綴ったセミドキュメンタリー映画「アライブ/生還者」(ゴンサロ・アリホン監督)が現在上映中だ。本作に生き残り16人のうちの1人として出演しているエドゥアルド・ストラウチ氏に話を聞いた。

南米チリで行われる親善試合に向かうウルグアイのラグビーチームのチャーター機がアンデス山脈付近で乱気流に巻き込まれ、山中に墜落。45人の乗客のうち、29名が奇跡的に一命を取り留めたが、酷寒の雪山でのサバイバル生活で、1人また1人と倒れていく。そんな過酷な状況下で生き残った16人が事故現場を訪れて当時を振り返る本作。

「墜落した当初は、この状況がいつまで続くのか分からないという不安感が大きかったが、次に嵐、風、寒さ、雪崩といった自然の厳しさが我々を襲ってきた。だが、最も恐ろしかったのは、どこからともなく聞こえてくる奇妙な音だった」

事故から10日後に捜索打ち切りの知らせをラジオで聞いて「失望したが、すぐに“自力でここから脱出しなければ”と決意した」と語るストラウチ氏。「実際何度も諦めかけたことはあったけど、少しでも弱気になったら、前向きに希望を持つように心掛けた。私は楽天家というわけではないが、自分を愛してくれる人のことを考えると自然と力が出た。それが原動力となったのは間違いない」と振り返る。

そして、この事故を語る上で必ず出てくるのが、生き残るために人肉を食べたという事実だが、事件当時から現在に至るまで良心の呵責を感じたことは一度もないという。「食べなければ死んでしまうということは分かっていたので、自分の中で悪いことをしたという意識はない。生還して普段の生活に戻った後も周囲からいろいろと言われたが、気にしても仕方のないこと。それよりも生還したことの方が自分にとっては重要。今でも生還した仲間の子供たちに会うと、命のかけがえの無さを実感するんだ」

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