娯楽色を全面に打ち出した理由は?「雲南の花嫁」監督が語る

2008年7月25日 12:00


哲学科出身のチアン・チアルイ監督
哲学科出身のチアン・チアルイ監督

[映画.com ニュース] 中国・雲南省の少数民族・ハニ族の少女の淡い初恋を美しい大自然とともに描いた「雲南の少女 ルオマの初恋」に続く、チアン・チアルイ監督による“雲南3部作”の第2作「雲南の花嫁」。26日に日本公開を迎える本作について、来日したチアルイ監督に話を聞いた。

本作は、結婚後3年は夫婦別々に暮らさなければならないという雲南省の少数民族・イ族に古くから伝わるしきたりのため、愛する夫と離れ離れの生活を送ることになった妻フォンメイの揺れる心を描いたラブストーリー。明朗快活で自由奔放なフォンメイを「セブンソード」(05)、「ラッシュアワー3」(07)に出演し、ポスト“チャン・ツィイー”として注目されるチャン・チンチューが演じている。

ベルリンやモントリオールなどの国際映画祭で高い評価を受けたデビュー作「雲南の少女 ルオマの初恋」は、ドキュメンタリー風の演出が特徴だったが、本作では作風をがらりと変えて、娯楽色を全面に打ち出したチアルイ監督。その理由は、中国映画の本国での観客動員の減少にあるという。「20年前の中国映画界は国産映画が中心でしたが、90年代後半から『タイタニック』や『スパイダーマン』といったハリウッド映画や、香港のアクション映画が大量に入るようになり、現在では中国映画は国内であまり観客を動員できないんです。そうなると、文芸映画と言えども、監督としてどうやって見る側を引き付けるかを考えざるを得ない。そこで、今回は明快なストーリー、美しい映像、そしてテンポのいい編集を押し出したスタイルに切り替えてみたんです」

そんな努力が実を結んで、本国ではヒットを記録した本作。だが、観客動員を意識した作品だけを作り続けて行こうとは思っていないようだ。「映画界全体の観客動員が減っている現在の状況では、もっと動員できるエンタテインメント作品に挑戦する可能性もある。ですが、私は大学の哲学科出身。1本の映画を通して何かじっくりと自分の思考を表現できなければ、映画を撮る意味が無いと思っているんです。なので、これからも文芸ものをメインに撮っていくと思います」

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