雲南に魅せられた監督が語る「雲南の少女 ルオマの初恋」
2007年6月15日 12:00
[映画.com ニュース] 約20もの少数民族が共存する中国・雲南省の棚田を舞台にハニ族の少女ルオマと、都会からやって来たカメラマンの青年アミンの恋愛を描き、ベルリン国際映画祭をはじめ、多くの映画祭で話題をさらった「雲南の少女 ルオマの初恋」。同作の公開を控え来日したチアン・チアルイ監督に話を聞いた。
世界自然遺産となっている美しい棚田を舞台に2人の若者の恋愛が描かれる本作だが、監督の最初のアイデアでは村に住む老人たちの恋も併行して描くつもりだったという。「かつて別れさせられたルオマの祖母と老いた農夫の2人がいまだに恋愛感情を持っているというサイドストーリーがあったのですが、もし本編に入れてしまうとメインであるはずのルオマの初恋が薄れてしまうんです。だから思い切ってカットしました。それに映画館での上映を考えると、90分くらいに収めることが大事だと思いました。というのもこの映画は歴史巨編とかそういうエピックではなく、小さなポエム、詩のような雰囲気を持った作品ですからね」
この「雲南の少女 ルオマの初恋」は「花嫁大旋風」(04)、「芳香之旅」(05)へと続くチアルイ監督の雲南3部作の第1部。3部作を作るほどに雲南に魅せられた監督に、その魅力を聞いてみると「雲南は、近代化、工業化の影響を受けていない中国最後の浄土とも言える土地で、とても心が洗われます。20を超える少数民族が共存しているからか、本当に自由で開放的な雰囲気がありますね。私にとって雲南は憧れと夢が詰まった土地で郷愁を誘うようなところです」と語ってくれた。6月16日より、東京都写真美術館ホールにてロードショー。