世界的チェロ奏者、ロストロポービチ氏死去
2007年4月27日 12:00
世界的なチェロ奏者で、指揮者のムスティスラフ・ロストロポービチ氏が4月27日、モスクワの病院で死去した。80歳だった。詳しい死因などは不明。
27年旧ソ連南部・現アゼルバイジャン共和国の首都バクーに生まれた。モスクワ音楽院でチェロと作曲を学ぶ。70年、社会主義を批判したノーベル賞作家ソルジェニーツェンを擁護したことから、クレムリンのソ連首脳部より“反体制派”と見なされる。妻と娘2人とともに74年、ソ連を出国しフランスへ亡命。4年後、ソ連の市民権を剥奪される。ゴルバチョフ政権下のペレストロイカで市民権を回復し、90年に祖国でコンサートを開いた。
今年2月にモスクワの病院で腸のガンで手術を受け、3月退院。同月27日に80歳の誕生日をクレムリンで祝ったが、4月12日に再入院していた。
指揮者の小澤征爾氏と深い親交があり、来日回数も多く、日本人のファンも多い。
妻のオペラ歌手ガリーナ・ビシネフスカヤとの出会い、反体制芸術家としてソ連政府から追われたその後のロストロポービチの人生をつづったドキュメンタリー映画、アレクサンドル・ソクーロフ監督・脚本の「ロストロポーヴィチ/人生の祭典」が奇しくも、シアター・イメージフォーラムで現在公開されている。生前の彼の圧倒的名演奏をまぶたに焼き付ける最後のチャンスとなった。