「真昼ノ星空」はハッピーかアンハッピーか?
2006年6月27日 12:00
06年のベルリン国際映画祭や昨年の東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門でも上映された、鈴木京香、香椎由宇、台湾のワン・リーホン主演の「真昼ノ星空」。本作で劇場映画3本目となる中川陽介監督に話を聞いた。
「真昼ノ星空」は、沖縄・那覇を舞台に、台湾から来た殺し屋と日本人女性の恋を描いたストーリー。中川監督の前作「青い魚」「Departure」に引き続き、今回も沖縄が舞台となっている。「沖縄を舞台にすることにしたきっかけは、チャン・イーモウ、チェン・カイコーの香港、台湾を含めた中国系の映画を見始めてからですね。『恋する惑星』『欲望の翼』など、ウォン・カーウァイの映画には特に衝撃を受けました。中国、香港は自分の国、文化に誇りをもっている。そういう映画を作りたいと考えたときに、那覇に出会いました。沖縄映画というよりも、アジアのどこか片隅をイメージしてもらえればと思っています」
2人の平凡な女性と、その間に入ってくる台湾からきた殺し屋というストーリーの設定については「寓話性を持たせたいと思ったんです」と語る監督。
「どんな職業が孤独なのか、色々と考えて殺し屋にしました。寓話性といっても、脚本家が机上の空論のような形で書いた話そのままではダメですね。人生なんて全てハッピーなわけはないから、ラストで結ばれてハッピーというのは嘘っぽい。この作品のラストの感じ方も人それぞれのようで、ベルリン映画祭でも“ハッピーなのかアンハッピーなのか、どっちなんだ!?”と聞かれましたが、僕はどちらでもいいと思っています。全て理解してもらえなくてもいい。1回目観た時は“なんとなく好き”とだけ感じても、2度3度観てだんだん分かってくるものでしょう」
「真昼ノ星空」は現在公開中。