「オデュッセイア」を脚色。コーエン兄弟来日記者会見

1930年代のミシシッピー州の片田舎を舞台に、宝の山を探し当てる3人の脱獄囚の冒険物語「オー・ブラザー！」。このほど、本作の監督・製作・脚本を手がけたジョエル＆イーサン・コーエン兄弟が7年ぶりに来日、7月16日、ホテル・オークラ（東京・虎ノ門）にて記者会見を行った。

「アメリカにとって南部はとてもエキゾチックで異国情緒あふれる所。そこに惹かれたんだ」とアメリカ南部を舞台に選んだ理由を語ったコーエン兄弟。続けて彼らは音楽の重要性にも触れ、「アメリカ南部は大衆音楽の故郷なんだ。音楽は脚本の段階からとても重要な要素となっていたんだよ」とコメント。どうやらアメリカ南部はコーエン兄弟が表現する一貫したテーマ、“アメリカという大地と文化の原風景”の象徴たる要素を含んでたようだ。そして、そのテーマ実現のために彼らが選んだ原作は、世界最古の叙事詩といわれる「オデュッセイア」。「脚本を書いている途中で『オデュッセイア』を思いついたんだ。『オデュッセイア』はマンガで読んで知っていたからね」とにこやかに語る兄弟。この原作は多くの監督が映画化を夢見て果たせなかっただけに、本作品の成功は兄弟の脚本執筆能力を示す形となった。本年度アカデミー賞で最優秀脚色賞、最優秀撮影賞にノミネートされた本作は、10月、シネセゾン渋谷・銀座テアトルシネマ他にて公開。