津軽のカマリ

劇場公開日:

津軽のカマリ

解説

津軽三味線の巨星・高橋竹山(初代)のドキュメンタリー。1910年に青森で生まれた竹山は、3歳の時に患った麻疹によりおおよその視力を失ってしまう。庶民の暮らしが貧しい時代、竹山は生きていくために三味線を習い、自らのものにした。竹山は、自身にとって恨めしくもあり、愛おしくもある北東北の地に拠点を置き、津軽の音を探し続けた。生前、「津軽のカマリ(匂い)がわきでるような音をだしたい」と語っていた竹山の映像や音声、生前の彼を知る人びとの証言から、高橋竹山の人生や心情を紡いでいく。監督は「スケッチ・オブ・ミャーク」の大西功一。

2018年製作/104分/日本
配給:太秦
劇場公開日:2018年11月10日

スタッフ・キャスト

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(C)2018 Koichi Onishi

映画レビュー

3.5高橋竹山という人物を収め尽くした意義ある記録

2021年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

正直、個人的な感覚では三味線の音色だけでは感傷的になることはできない。けれども、それでしか生きていくことができない真の芸人の一生が表現されていた。
脂ののった演奏、生きるために絞り出した演奏、死の間際まで拙く弾き続けた演奏、それら全部をこの作品だけで聴くことができる。
今は亡き人物の記録、しかも全国各地渡り歩いた苦労人を語る上で、二代目とか所縁の人物が色々と必要になるのは仕方がないにしても、それら説明的なところすべてが邪魔に思えてしまうぐらいに、高橋竹山という人物が凄まじすぎた。

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SH

4.0高橋竹山

2019年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

津軽三味線の大家、高橋竹山本人のインタビューや弟子たちの証言から高橋竹山の生き方をトレースする。
凄まじい人生を明るく話し、見事な三味線を披露する竹山には圧倒される。
それにしても弟子たちに女性が多いのが興味深い。

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いやよセブン

4.0私は自分で自分の罪を恨んで三味線を弾いているんですよね。

2019年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

かつて津軽では、目の見えない者は男はボサマ、女はイタコになるしかなかったという。
ボサマ。メーグ(盲)、門付け、ホイド、とも呼ばれた彼らは芸人ではなく、物乞いとみられていた。今では考えられないが、戦後辺りまではそうだった。津軽は、江戸の昔から飢饉に悩まされ食うに困った地方。そんな土地で百姓もできない者がどういう仕打ちを受けてきたのか、想像するまでもないだろう。おそらく、常人には耐えられないものだ。竹山が言う「自分の罪」とは、盲人として生まれてきたことか? もしそれを自分が背負って生まれたきた罪だというのなら、どれほど神様は薄情なのだろう。だけど、神様は、彼に三味線を与ええてくれた。その音色に、何十年もあとの今も、心震える人間が存在する。「貧乏から教わったことがいっぱいある」と彼は言う。貧乏はしないに越したことはないが、おかげで死んだのちも足跡は残した。二代目のことは、よく知らない。地元から見られる評価がどうかは門外漢には無縁のことだが、彼女の演奏は、初代とは違うにしても、なにか訴えるものがあるのは感じた。もしかしたら、二代目を継がなければ、違った生き方ができたのではないか?とも思えた。

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栗太郎

4.0目が見えるというハンディもある

2018年12月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

‪高橋竹山。‬
この名を知らないわけではないけど、ちゃんときいてたわけでもないし、よく知らないのだけど、この機会にちゃんときいてみたい、知りたいという欲求でドキュメンタリー映画を観にいきました。
#津軽のカマリ。
監督はあの、「スケッチ・オブ・ミャーク」の大西功一氏。
宮古島に行ったことがあるけど、あのドキュメンタリーには度肝を抜いた。
今回は津軽だが、そのメッセージを確かめる意味でも観ておきたかった。
凄まじい人生の中で三味線の感性が研ぎ澄まされていく半生を、本人の語り、お弟子さんやお孫さんらの証言で浮かび上がらせていく。
当然、メインの主人公は初代の高橋竹山なのだが、大西監督の中では二代目高橋竹山が主人公だったようだ。
竹山さんの妻も、夫婦揃って盲目。
昔は目の見えない男は三味線を、女はイタコになるしか生きる道がなかった。
過酷な人生の中で、目に見えない天才的な才能が彼らを助ける。
たしかに初代の圧倒的な演奏力にかなうものはいない。
何人かのお弟子さんたちの演奏もすごかったけど、なぜあの二代目が二代目を襲名することになったのか。
地元青森では二代目として認められなかったという。
初代は目が不自由であることが世の中でハンディとなり、三味線の世界へ命がけで入っていった。
そのことを、目が見える二代目は絶えず気にしてたように感じた。
風や鳥と話ができる初代。
そして三味線の演奏。
もしかしたら、それらを修得するのに目が見えることがハンディとなるのかもしれない。
終盤のシーンで、二代目が青森で公演するとき、目をつむってひたすら演奏する姿に、初代とは違う演奏かもしれないけど、初代に似せようとか客にきかせようとかではなく、ただ魂から演奏していたのがわかる。
そこから発せられるエネルギーのような音楽が、二代目にふさわしい高橋竹山だった気がしました。
名古屋上映での映画館は、名演小劇場でした。
ここに久しぶりに来れてよかった。
ここでも昔、初代高橋竹山が演奏したことがあるそうです。

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fuhgetsu
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