バハールの涙

劇場公開日:

バハールの涙

解説

「パターソン」のゴルシフテ・ファラハニが、捕虜となった息子の救出のためISと戦うこととなったクルド人女性を演じるドラマ。「青い欲動」のエバ・ウッソン監督が、自らクルド人自治区に入り、女性戦闘員たちの取材にあたって描いた。弁護士のババールは夫と息子と幸せな生活を送っていたが、ある日クルド人自治区の町でISの襲撃を受ける。襲撃により、男性は皆殺しとなり、バハールの息子は人質としてISの手に渡ってしまう。その悲劇から数カ月後、バハールはクルド人女性武装部隊「太陽の女たち」のリーダーとして戦いの最前線にいた。そんなバハールの姿を、同じく小さな娘と離れ、戦地で取材を続ける片眼の戦場記者マチルドの目を通して映し出していく。2018年・第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。

2018年製作/111分/G/フランス・ベルギー・ジョージア・スイス合作
原題:Les filles du soleil
配給:コムストック・グループ、ツイン
劇場公開日:2019年1月19日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第71回 カンヌ国際映画祭(2018年)

出品

コンペティション部門
出品作品 エバ・ユッソン
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(C)2018 - Maneki Films - Wild Bunch - Arches Films - Gapbusters - 20 Steps Productions - RTBF (Television belge)

映画レビュー

5.0複雑な背景を持った民族を題材に普遍的な人類の間違いを描いた

2020年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

イラク北部のクルド人自治区のヤズディ教徒の女性兵士が描いた作品なのだが、このヤズディ教徒の置かれた政治的立場がまず複雑だ。まずイラク政府とクルド人の対立がある。独自の国家を持たず国境をまたがって自治区を構成しているクルド人は自分たちの国を持つのが悲願だから周辺濃くと常に緊張関係にある。クルド人の大半はムスリムだが、そのクルド人の中の少数民族がヤズディ教徒だ。彼らはしばしばムスリムとは対立関係になるので、少数民族の中のさらなる少数民族のような立ち位置で、中東の民族だがムスリムではない。そのため、イスラム系武装勢力とはしばしばぶつかり合う。
しかし、本作で描かれるのは戦場での性搾取に立ち向かうために武器をとった女性たちだ。性的搾取は、世界のどこでも起きている「普遍的な間違い」である。主人公は家族を奪われた。奪われたら人は戦うしかなくなる。人類史の繰り返すの過ちを強烈なリアリズムで描いた傑作だ。

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杉本穂高

4.5息子救出のため戦う母。その悲壮な決意に胸を射抜かれる

2019年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

興奮

静かな村がISに襲撃され、夫や親を目の前で殺されて、女性たちは拉致され性奴隷に。さらに奴隷市場で売買される。しかし自暴自棄になることなく、勇気を振り絞って命がけで脱出。だがそこで話は終わらない。やはり拉致され兵士養成施設にいる子供たちを救い出すため、母親たちが自ら兵士となり戦場に向かう。なんという壮絶なストーリー!

端正な顔立ちのゴルシフテ・ファラハニが演じるバハールは架空のキャラクターだが、エバ・ウッソン監督はISに拉致されたクルド人女性たちに取材しバハール像を創り上げた。クルド人の苦難の歴史や、アラブ社会でISが行ったことについて、予備知識があればプラスにはなるが、知らなくても問題ない。子を思う母の強い愛という普遍的なテーマを描いているからだ。

アメコミヒーロー映画でも女性が主人公の作品がぼちぼち作られているが、バハールと「太陽の女たち」こそリアルなスーパーヒロインだ!

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高森 郁哉

4.0男は虐殺され女性は性的暴行に晒される戦争。子供は拉致され戦闘員にされる。

2021年11月2日
iPhoneアプリから投稿

悲しい

怖い

難しい

「戦地の情報は1回クリックしてそれきりよ。殆ど無関心なのだから」紛争地を取材する女性は呟く。

シリア戦ではアメリカの尖兵となって活躍したクルドは、トルコから虐待を受ける国のない民族。ISから、男は虐殺され女性は性的暴行に晒され、子供は拉致されて戦闘員にされるのは、相手に大きなダメージを与える内戦の常識。

イランの女優ゴルシフテ・ファラハニが、悲しみを秘めた勇敢なクルド人女性武装部隊のリーダーとしてなかなかの味を出している。

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ezu

3.0人種なのか、宗教なのか?

2021年2月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

難しい

毎回この手の作品を見て「何でこんなにややこしいの?」と不思議でならない。

他の人の解説の通り、島国の我が日本では理解できないかもしれないが、片手でスマホをポチポチするこの時代にいくらなんでも拉致したり、奴隷にしたりの思考回路が理解できない。

ただただ不快であるが、それも現実に今も世界で起きている事として認識しなければならないのだろう。

描かれているのは、女としての強さや、優しさ、それは戦士としても記者としても描かれており、非常に素晴らしいと感じた。

しかしながら戦場の緊張感や、戦闘員とは程遠い(訓練されているわけではないから当たり前だが)あたりが逆にリアリティーがあった。

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