劇場公開日 2018年3月30日

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「「報道の自由」とは誰のもの」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「報道の自由」とは誰のもの

2018年3月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

アカデミー賞 作品賞ほかノミネート作品

1971年 ニクソン政権下のアメリカ

ベトナム戦争で敗戦すると予測していながら、戦争を続けていたことを証明する文書を入手した新聞社 ワシントンポスト紙が、政府から訴えられるかもしれないという圧力の中で、その文書を記事にするかしないかの選択を迫られる

アカデミー賞作品賞ノミネートも納得の素晴らしい作品だった

「今、国民に伝えるべきこと」を記事にするために、どんな圧力にも屈することなく戦い続ける社主、編集長、記者たちの勇気に感動し、彼らを応援しながら観た作品だった

「『報道の自由』とは、一体誰のためのものなのか」
というテーマの中、スピルバーグ監督の素晴らしさは誰が見てもわかるように、監督の思いがストレートに伝わるように描くところにある

この映画では、その裏で起きていた政治的な駆け引きよりも、記者たちの戦いにフォーカスを当てて描いているため
たとえ、ニクソン元大統領を知らなくても、戦う記者たちの勇気に感動できる作品になっている

そして、主人公のキャサリンは、ついこの間まで「子供を育てることが生きがい」という主婦だったのに、思いがけずワシントンポスト紙の社主になり、会社の命運がかかった選択を迫られる

ついこの間まで「会社のことは主人に任せています」と言っていれば良かった彼女が、180度方向転換を余儀なくされ、会社を背負うことに

かと言って「私はわかりません」とは言って逃げ出せない立場にある

彼女の苦悩には、多くの女性たちが共感すると思う

彼女を主役にしたことで、この映画は「政治には無関心な人」や「ゴシップ記事にしか興味がない女性たち」でも理解でき、共感できるように作られている

それは、報道は国民のためにあり、国民は報道を通して政府を監視する義務があるからで、
無関心のまま、その監視を怠ると、いつのまにか政府にその自由を奪われてしまうのだ

これはフィクションではなく事実であり、大統領が報道各社を名指しで「フェイクニュースだ」と言う時代だからこそ、今、観るべき作品なのである

社会派ではあるけれど、エンターテイメント作品としてめ楽しめるので、全ての人にオススメの作品

とえ